苦言

　昨日7歳の誕生日を迎えた長男よりも、むしろ次男(4歳)の方が物覚えが良かったりする。
　幼児番組の台詞や、ホントは長男が聴いている(はずの)英語教材のフレーズを、いつの間にか記憶していて口にすることがあり、しばしば聞く人を驚かせる。
　その次男が先日、とんでもない言葉を口走った。

　｢早稲田をぶっ潰せ～♪｣………(゜-゜;)




　子どもたちが気に入っている明治大学のチャンステーマ｢狙い撃ち｣｢ハイパーユニオン｣の前に流れる｢ギャバン｣という曲に載せるコールが｢(相手校)をぶっ潰せ｣で、明早の対抗意識から動画サイトに投稿されている例は｢早稲田をぶっ潰せ～｣となっていることが多い。
　

　ちゃんと｢ギャバン｣の節回しになっていたので、聴く人が聴けば｢あぁ明治の応援だな｣と分かってくれるだろうが、それでも4歳の子がシャウトしていたら驚くだろうし、東京六大学の応援を全く知らない人が町場で耳にしたら｢なんだこのガキは｣と思われるに相違ない。
　


　明治大と早稲田大は応援コールに｢ぶっ潰せ｣を組み込んでおり、良識的な方々から｢如何なものか｣との苦言を目にすることがある。そんな方々に、応援に連れて行った幼い子どもが真似をした……なんてことが知れたら、ますます否定的な主張を勢いづかせそうだ。しかし私自身は｢決して上品な物言いではないが、いいじゃないか｣と思っている。


　東京六大学の関係においては｢倒せ｣にしろ｢ぶっ潰せ｣にしろ、その叫びの背後には対戦相手に対する敬意と感謝が満ちている。
　倒すべき敵、ぶっ潰したいライバルが存在し続けてくれるからこそ、自分たちも一生懸命に闘うことができるのだと知り、有難さを噛みしめつつ｢慶應倒せ｣｢法政ぶっ潰せ｣｢立教倒せ｣｢東大ぶっ潰せ｣と叫ぶのだ。





　その次男にぶっ潰されそうな早稲田大に関連して、不愉快な画像を見つけた。




　天王山となった第5週・立教大-早稲田大戦を前に、両校の応援団・チア・ブラスバンドが互いのキャンパスを訪問。デモンストレーションを通じて、学生たちに神宮球場への参集・応援を呼びかけるイヴェント。

　このうち立教大の演技を記録したものだが、観客側にいる何者かが｢立教｣とコールすべきところへ、執拗に｢ワ･セ･ダァ｣と大声を被せてくる。


　良識ある早稲田大の学生・関係者に問う。この行動に、立教大への敬意・感謝が込められていると言えるだろうか。
　特に最後のエールの所などは、もはや愛校心の発露ではなく、悪質かつ無礼な妨害行為と断じていい。


　このデモンストレーションは、両校で共に東京六大学リーグを盛り上げようと企画されたイヴェントであって、敵愾心を煽るものではなく、ましてや相手校を侮辱することなどあってはならない。
　共演する早稲田大の応援団やチアのメンバーは、かくも醜悪な同窓の狼藉を抑え込むことはできなかったのだろうか。



　ちなみに立教大-早稲田大の対戦は、早稲田大が勝ち点を挙げ、立教大が悔し涙を流したことは記事にした通りだが、第7週を迎える今日現在、前週(第6週)で法政大に勝ち点を奪われた早稲田大は優勝戦線から脱落。一方で、空き週だった立教大は優勝争いに粘り強く踏み止まっているのが救いと言えば救いか。

　今シーズンの実質的な最終週となる第7週で、明治大が法政大から勝ち点を挙げれば逃げ切って春秋連覇。明治大が敗れた場合は、星取り如何で慶應大と立教大にも優勝の道が開かれる。




　一緒に応援に行く我が子たちには、対戦相手への敬意と感謝を理解して貰えるよう、努めている。観戦する際は余程急ぎの用事が無い限り、試合後のエール交換までスタンドに残って立ち続ける。
　次男はまだ意義を理解できないが、長男は互いに健闘を讃え合う様子を胸に刻み、幼い頭でその意義を掴み取ろうとしているようだ。

　
　表向きの文字面の激しさや安直な対抗意識に惑わされず、物事の本質を理解できる人間であって欲しいと願っている。