提訴

　読売新聞のニュースサイト｢YOMIURI ONLINE｣の配信記事、『大川小児童２３人の遺族、市と県を損害賠償提訴』に注目。


　決して順調とは言い難い街の復興以上に、東日本大震災の犠牲となった方々の遺族が求める｢心の復興｣が端緒にすら着いていないという証。



　津波被害に関連しては、園児が犠牲となった幼稚園の管理責任が裁判で認められた一方、支店の職員全員が死亡した銀行の場合は｢予見困難｣を理由に企業の責任は無しとされ、司法の判断が分かれている。
　この度の提訴でも、原告・被告・司法当局いずれの立場においても難しい判断を迫られることだろう。



　当時の混乱を思い出すにつけ、ここまでの被害を誰しもが予見できたかと問われれば、私を含め否定せざるを得ない。
　しかし一方で、大川小学校を襲った津波が遡った北上川沿いの他の学校において、学校管理下にある児童・生徒の死者・行方不明者がゼロであったことも、また事実として認めなければならない。


　多くの犠牲を強いるに至った責任の所在と、その経緯の究明が進むことを求める遺族の気持ちに、親の一人として寄り添いたいと思う。




　振り返って我が子たちには、通常の学校生活においては当然先生の指示に従うべきだが、危機に直面した際、自分と回りの人の命を護る智慧と、誰に対しても臆することなく意見具申する勇気を身に着けて欲しいと願っている。