横領

　全国紙・読売新聞のニュースサイト｢YOMIURI ONLINE｣の配信記事から『安い食材で給食費浮かし…教員、１５００万着服』に呆れる。

　未来を担うべき幼き子どもたちの食事をくすね横領していたという、ドブネズミもしくはゴキブリ以下の所業。
　同じ県内の旧・長岡藩に伝わる「米百俵」の精神とは真逆の、教員が犯した汚らわしく浅ましい行為。学校及び教育委員会・行政は、どう子どもたちに釈明し謝罪するのだろうか。
　記事の内容が正しければ、7年間で1500万円を横領とあるので年額214万円ほど。単年度の学校給食提供日数190日と仮定した場合、1日当たり1万1,278円を連綿と盗み続けていたことになる。公務員の立場に在った点を加味しなくとも、有り得ない罪深さだ。

　資料に拠れば事件が起きた糸魚川市の学校給食は、各学校付属の施設で調理・提供される｢単独調理場方式｣が15校、｢給食センター」等の大規模調理施設で一括調理し各校に配達する｢共同調理場方式｣が6校、その他(民間のケータリング?)が1校となっていて、システムが混在している。

　横領犯は学校専従の管理栄養士だったようなので、勤務先学校の給食は「単独調理場方式」と思われる。



　私の経験を思い返すと、小学校は「単独調理場方式」、中学校は「共同調理場方式」だったが、圧倒的に「単独調理場方式」を採っていた小学校の給食の方が美味しかった。
　「共同調理場方式」は調理コストを圧縮できるものの、大量の料理を揃えたり各校へのデリヴァリーに時間を要するため料理が冷めてしまう。
　食中毒が発生すると広範囲に影響が及ぶ、調理→提供までの時間的距離的長さから異物混入のリスクが高まるなど問題も多い。

　逆に｢単独調理場方式｣は、自校分だけの調理なので料理を熱いまま提供できる・各校で独自メニューを組み立てられる・食中毒の拡大や異物混入の危険性を低減できる・調理担当の職員が身近にいらっしゃるため所謂｢食育指導｣に役立てられる等々の利点がある。
　欠点は、家庭の負担が重くなるコスト増だけ……かと思いきや、まさか｢学校専従の管理栄養士が横領する｣などという犯罪リスクが潜んでいたとは。


　尤も、糸魚川市でも採用している｢共同調理場方式｣の食材購入に関連して、同じような手口で横領を繰り返していれば更に莫大な額を抜かれていたはずで、今回の事件を「単独調理場方式」そのものの欠点とするのは適当でない。

　しかしながら個々の学校の会計処理に監視の目が行き届かず、長年の横領を見逃してしまった点は否定し得ない。
　糸魚川市は再発防止策を徹底するとともに、返還された横領額全額を子どもたちに還元し、少しずつでも長期に亘って給食を豪華にしてもらいたいものだ。

　心ある糸魚川市民よ、喰い物の怨みは恐ろしいのだと知るべし。