口金

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト「YOMIURI ONLINE」の配信記事から『長崎９棟火災、消火栓金具古く初期消火できず』に注目。

　
　日頃から消防・防災活動への理解と協力を求めながら、いざ住民が火災に際し消火活動を試みたらホースの口金が合わず、消火栓につなげられなかった……なるお粗末。

　あってはならないことであるが、冷静に省みれば起こり得るミスである。

　

　仕事柄、消火栓機器の業界とも付き合いがあり、記事で問題となった地下式消火栓やホースの調達について打ち合わせをすることがある。以前から口金のサイズや接続方法に違いがあることを存じ上げていたが、私が携わる業務では新設や全面更新が多く、当然接続可能なホースをセットして納められるので今回のようなトラブルは発生し難い。

　ところがホースだけ更新されるような場合は、まず第一義的には行政が消火栓口金の確認を、販売するメーカーの側も顧客サーヴィスの一環として注意喚起や情報提供を心掛けなければ、同じような不具合はまた起きるだろうし、現在も全国各地に「使えない消火栓」が存在しているかも知れない。

　長崎市に限らず、全国の自治体で点検を進めるべきだ。



　折しも今年は阪神淡路大震災発生から20年の節目。そして明日は、4年前に東日本大震災が発生した日。
　　
　阪神淡路大震災では応援で被災地入りした他県の消防車が装備するホースが、今回の事態のように神戸市の消火栓とマッチせず、消火活動の開始が遅れた例があったと記憶している。

　防災・減災に万全を期するためにも、長崎の火災で犠牲になった方に報いるためにも、消火栓機器の備えに遺漏なきを期して貰いたいものだ。