比較

　天候不順が続いた平日から一転、汗ばむほどの気候となった土曜日の神宮球場周辺は、大変な賑わいよう。
　隣接する第二球場では、春の東京都大会準々決勝2試合(早稲田実業対関東一高／日大三高対二松学舎大付属)を挙行。
　
　陽が落ちてからのナイターは、首位スワローズが、上位を窺うベイスターズと対戦。かなり早い時間から、入場を待ちわびるファンが周辺道路の歩道上に列を成していた。


　ナイターの前は、当然に我等が東京六大学野球。第二週のカードは、第一試合・前週明治大との開幕戦で引き締まった試合を見せ連敗記録更新阻止を狙う東京大と、その東京大に最後の白星を献上した、今季初試合の早稲田大との対戦。そして第二試合・明治大に前季の優勝をさらわれ悔し涙を呑んだ、やはり今季初試合の立教大と、前週の対慶應大戦で接戦を制し連勝で勝ち点を得た法政大との対戦。


　東京大は貧打に苦しみつつも、一時は2-1と早稲田大をリード。しかし直後に暴投で同点にされてしまい、結局打線の援護がないままズルズルと失点し2-5で敗戦。

　立教大は絶対的エース澤田が投じた、たった1球の失投を見逃さなかった法政大の3番・田中(4年／愛工大名電)のソロホームランで先制されるも、中盤5回に打線が大爆発し6点を挙げ逆転。
　9回表にも、粘り強い投球を続けてきたエース澤田がヒットで出塁したのを皮切りに、2点を挙げ駄目押し。今季こそ優勝とのスタンドの期待を背に、順調な滑り出しを見せた。



　東京六大学野球のスタンドは、応援団が新体制に移行して初めてのシーズン。
　順調に歴史と伝統が受け継がれている学校もあれば、直面する状況にもがき苦心しているように見受けられる学校もある。

　或る学校は、チアの4年生が2名の体制。両名とも愛敬がありスキルも十分なのだが、とても個性的なメンバー5名がパワフルかつダイナミックな演技を魅せていた昨年との比較では、陣容・ダンスともに若干の不満を覚えてしまう。


　また別の学校はもっと深刻で、応援団リーダーの4年生が在籍ゼロだったため、吹奏楽部の4年生が応援団長始め幹部に横滑り。
　校歌・応援歌の指揮そのものは卒なくこなしているものの、得点時の応援切り替え(ステージとスタンドが一体となって肩を組み、校歌もしくは第一応援歌を歌う)のタイミングを逸し、少々マヌケな印象になってしまったシーンがあった。

　応援団は、スタンドに陣取る現役学生・OBOG・ファンを鼓舞し、勝利の希望と歓喜をフィールドに叩き付ける演出に全責任を負う。数ある応援曲をどう構成するか、タイミングよく舞台転換ができるか否かで、同じ得点シーンでも感動が倍半分も違ってしまう。



　上に挙げた両校の例ともに、初めて観戦する人であれば「そんなものかな」と見過ごしてしまう、些末な差でしかない。だが、その僅かな差で応援スタンドの盛り上がりが変わる可能性があるなら、修正を加える余地は大いにあろうし、その能力は既に備わっていると思う。

　後輩たちの頑張りに、私も全力でエールを捧げん。