旋風

　スポーツ紙・報知新聞が運営するニュースサイト「スポーツ報知」の配信記事から
『【ラグビー】五郎丸、厳しい練習もう一度？「いや、無理でしょ！」』
および
『【ラグビー】五郎丸、ポーズものマネに注文「指は…」…代表帰国』に注目。


　私は五郎丸が嫌いだ。
　何故って、格好良くてデカくて、それでいて嫌味な程に爽やかな笑顔を振り撒く。
　しかも学生ラグビーの名門にして、私学の最高峰・早稲田大の出身。ラガーマンとしてこれ以上の条件・輝かしい経歴が必要だとは思われない。
　偏に、憎たらしいほど羨ましい限りだ。


　しかし、独特なあのポーズでゴールポストを仰ぎ見る、純粋な少年のような表情には、正直参ってしまう。
　大の男がフィールド上で哀願するように祈り、勝利の女神と真摯に対話する。雑念も苦悩も滅却し尽くし、女神の赦しを得たと確信した刹那、ぶっとい脚を振り抜いて楕円球をピンポイントで飛翔させる。

　ボールをセットする時からのドキドキ感、キック直前の静寂と極度の緊張、ゴールを成功させた喜び……。これほどスタンドとフィールドとの一体感を愉しめるプレイヤーは、希少なように思う。


　2019年のワールドカップで、ホスト国の代表として活躍してほしい……というファンとしての希望は、今はしまっておこう。
　世界的に「桜の旋風」を巻き起こした、今イングランド大会での疲労やダメージを回復させるのが最優先。それに外野が言わなくたって、当の選手たちは心の奥に火を燈していることだろう。


　五郎丸の「少年のような表情」は、来月から始まる国内リーグでも観ることができる。
　それを楽しみに、また日本代表が実践した連続攻撃の如く反復・継続的なファンのサポートを期待して、日本ラグビーの発展を見守りたい。


　青山商事提供のスーツ（サッカー代表はアルフレッド・ダンヒルなのに？しかもイギリス発祥のスポーツを発祥の地で競うのに？）を着て、澄ました顔の五郎丸は嫌いだが、ジャージをまといフィールドで躍動する五郎丸は大好きだ。