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イイね!
2017年03月13日

決手

決手  職場の近くで、相応の規模だった公共施設の解体工事が始まった。
 とは言え壊すべき建物は、既に無い。どんどん重機が運び込まれるのを見て、初めは新築工事が始まるのかと思った。

 よくよく観察してみれば、確かに上屋は解体されて姿を消していたが、地下室および基礎部分が残されており、これから撤去にかかるらしい。

 地下構造物を不用意に撤去すると、周りの地盤に変状を来すことがあるので、敷地境界に鋼矢板を打込んで仕切り、影響を及ぼさぬよう準備してから本格的な解体工事が始まった。


 最初に投入されたのは、バックホウ(一般的には「パワーショベル」と呼ばれる建機)のバケット部分を取り外して装着された、巨大なドラム状のカッター(参考情報URL参照)。地下室天井部分に着々と溝を刻み、2日ほどでそれなりの広さの天井が完全に抜け落ちた。
 バックホウ本体は国産だが、カッターおよびカッターを駆動させるアタッチメントは、ドイツからの輸入機である。

 次いで抜け落ちた天井や、露わになった壁の部分は、掴んで破砕するタイプのアタッチメントで壊していくが、ここからは国産機が投入されていた。
 しかし、これらは破砕する対象物の断面が露わになっていればこそ効果的に使えるマシンで、建物を支えていた地下室の平滑かつ強固な天井部分には、全く歯が立たない。

 結局のところ、高性能で特徴的なドイツ製マシンが突破口を啓かなければ、国産マシンは出る幕が与えられなかったのだ。
 連綿とドイツ車を愛用(ただし皆ドイツ製ではないが)している立場としては、若干ならず鼻が高い反面、業界インサイダーとしては引っ掛かりを覚えてしまう。



 軟弱地盤におけるトンネル工事長大な橋梁架設など、ゼネコンが海外進出して大規模プロジェクトを受注している実績からして、日本が高い土木・建築技術を持っているのは間違いない。
 ところが場面々々で目を凝らして観察すると、実は海外の技術に依存している点が少なくない。

 新設工事であれば、全ての建設工事における基礎マテリアルたるコンクリートを、長距離・高揚程・大量打設できるポンプ車は、先に紹介したカッターのようにドイツ製(但し中国資本傘下)だ。
 昨今重要度が増しているメンテナンス工事では、鉄道会社が軌道工事に用いている特殊車輌はスイス製かオーストリア製、道路の橋梁点検に用いる大型特装車はイタリア製が導入されている。



 一般論として建設産業に限らず、事業を推進するに当たり何もかも国産品・国内技術で完結させる必要はなく、多少コストが高くとも海外の製品を有効活用して、利益を極大化すればいい。

 しかし、「あの製品・技術が無かったら、この先へは進めない」というクリティカル(=決定的・決め手)な部分を、自らの手中でコントロールできないという状況は、若干ならず歯痒さを覚える。
 先に挙げたコンクリートポンプ車など、中国資本の発言力が増大すれば、小日本へなぞ売ってやるもんかと、取引関係を打ち切られるかも知れぬ。

 長期的な視点に立てば、自前の技術開発および製品化を進め、建設産業の「安全保障」に配慮する必要があるように思う。





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Posted at 2017/03/24 23:02:26

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この記事へのコメント

2017年3月26日 12:15
大陸や半島資本が入ってくると、日本にとっては面倒くさいことになりそうですが、純粋に日本製だけですべてを固めてしまうと、どこかのトランプマンが横やりを入れてくるでしょうし。。。。。バランスを取るって難しいですね。

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「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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