度胸

　日付以外のコンテンツに関し信頼性に多大な疑念のある(笑)「東京スポーツ新聞」が運営するニュースサイト「東スポWeb」の配信記事から『中日ドラ１・柳がプロ初勝利！闘将が認める「ハートと頭」』に歓喜す。

　日頃スポーツ新聞など買わない私が、今朝に限って手にしてしまった(但し「東京中日スポーツ」)。
　昨年の明治大主将にしてエースの柳(横浜高→明治大→ドラゴンズ)が、プロ入りして初めての勝利を挙げた。
　他紙では、小学校6年生当時に事故で亡くなった父君へ、最高の『父の日』を贈った孝行ぶりを讃えるコンテンツが多かった。

　我が家にも、悲しい事故に直面した当時の柳少年と同世代の、野球を愉しむ少年がいる。先頃救急搬送されて、危機的な状況に陥った父親たる自分と、ついつい重ね合わせてしまう。
　我が子の孝行ぶりを喜ぶのと同時に、柳投手の父君が目にすることが叶わなかった景色を、私は絶対に見てやるんだとの決意を新たにした。


　一方、冒頭紹介した東スポの記事は、その辺りのウエットな話題に全く触れておらず、硬派な話題に終始しているところが却って「天邪鬼」ぶりを発揮している。

　明治大OBというだけでなく、主将にしてエースだった点が共通する星野仙一が、柳の強心臓ぶりを手放しで評価するが、度々週末昼間の神宮球場で観戦していた感想としても、ほぼ同じである。

　絶対に「勝てる」必殺の武器は無いが、反面ミスが極めて少なく辛抱が利くので「負けない」。
　そのうちに味方打線が目覚めるか、それも無ければ自らのバットで得点し、気が付けばリードを守り切って勝っている。

　昨日の試合を見ていても、強気のピッチングにシフトしながらギャンブルプレーには奔らず、苦しいピンチに陥ってなお安定感を喪わない、スキルの高さと度胸の良さが際立っていた。


　同期の星(宇都宮工業高→明治大→スワローズ)との対戦は、既に実現している。
　個人的には、明慶戦以来の対決となるカープの加藤(慶應高→慶應大→)および明治大の先輩である野村(広陵高→明治大→)との投げ合いが実現するのを、楽しみに待ちたい。



　眉秀でたる若き竜の前途が、光輝に満ち溢れんことを。