歳末

　緊急事態宣言の発出後も、出勤時刻の繰下げ／退勤時刻の繰上げこそあったものの、ほぼ通常営業を続けてきた私の勤務先だが、いよいよ世の中が危機的状況に陥ると見越して、次週以降の在宅勤務が決まった。
　各自、支給されているノートPCを持ち帰り、アクセス環境を整えて自宅または指定されたシェアオフィスでの勤務が、月曜日から始まる。

　必要な資料をクラウド上にアップしたり、どうしても参照せねばならないペーパー資料を見繕って、PCと一緒に荷造りするなど、午後からの職場はどことなく忙しない。
　上司が冗談めかして「まるで”よいお年を”って感じだね」と発言したが、周辺の一同、等しく間髪を挟まず頷くと同時に、果たして盆暮れの休み程度で済むものか、これまた等しく思案していた。
　緊急事態宣言の想定ですらゴールデンウィーク明け、その時点で事態が好転していなければ、更なる延期も想定し得る。

　
　退勤時間の繰上げがなく、次週以降も原則的に出勤を求められる上司など管理職に、それこそ歳末のように「暫くお目に掛かれませんが」「次の出勤までよろしく」と挨拶して、職場を辞した。
　さてさて個人的にも、勤務先としても、初めての本格的リモートワーク。
　多々生じるであろう問題を克服して、感染症蔓延の影響を極小化できるか。
　自身の感染リスク低下に安堵しつつ、不安は解消されない。