習熟

　今日は今年度のキックオフ講演会として公益財団法人河川財団「令和2年度川づくり団体全国事例発表会」(事前登録制・参加費無料)を聴講した。
　河川財団が管理する基金からの援助を受けた、沿川住民の自主的な環境整備や、河川敷におけるユニークな野外学習を取り入れた学校の事例等を紹介する。
　よって、純粋な技術分野の講義ではなく、環境や教育の分野が大きな比重を占める。
　発表者も、当然に堅気(！)の方ばかりである。


　外形的には、度々参加しているオンライン・イヴェントには違いないのだが、この度はライヴ配信ではなく、聴講者の都合の良い時間帯にyoutubeへアクセスして聴講するオンデマンド型(配信期間4/1～15)となっている。
　単にオンデマンド配信するだけなら、主催者HPにURLを貼っておけばいいが、わざわざ事前登録制にしているのは、本イヴェントが土木学会認定CPD行事となっており、参加者の求めに応じてエヴィデンスを発行しなければならないためだ。
　なお聴講の確認は、主催者が設定した質問に答え(聴講していないと全くわからない内容)、得られた知見や感想を書き残して提出することで行っている。

　技術分野の話題が薄いイヴェントを、土木学会が有効な継続研鑽＝CPDとなる行事であるものと認定しているのは、土木技術者が担う河川工事が竣工した後、どのような利用がなされるのか、これまでの河川整備では応じきれていない地元住民の要望が埋もれていないか、その結果として今後の河川整備はどうあるべきなのか、気付きを得てエンジニアの仕事にフィードバックを期待してのことだろう。

　尤も生臭い話をすれば、河川財団の業務は多くが旧建設省河川系の事業と密接に関わっており、代表者は国交省OB(局長級)。同省の次官・技監級が会長職に就くこともある土木学会関係者を知らぬはずがなく、CPD行事に認定されれば、実務上の要請からポイントを蓄積しなければならない建設系エンジニアの参加が確実に見込める……といった事情もあるかもしれない。


　ただ、参加費を徴収して主催者がボロ儲けしていたなら、天下り財団の非行として糾弾されても致し方ないが、今回のイヴェントを含め河川財団の行事で参加費を課されたことはなく、あくまでクリーンな公益事業。有意義なコンテンツに触れて知見を得た上で、経済的負担なくCPDポイントも蓄積できる。

　昨年度はコロナ禍への対応が手探り状態で、各主催者ともお試しとして無料でオンライン・セミナーを実施したところが多かったのだろうが、昨年度末～今年度は、ノウハウが蓄積して安定的に運営できるよう習熟した反面、資料購入等の名目で課金する有料のオンライン・セミナーが増えた。
　そんな中で、費用負担なくCPD行事に参加できる河川財団の存在は非常に有難い。
　引き続き、積極的に参加していきたい。