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midnightbluelynxのブログ一覧

2021年01月26日 イイね!

田洲

田洲 今日は、年末から延びゝゞになっていたゲレンデの12か月点検に、お世話になっているショップへ赴く。
 平日ではあるが、緊急事態宣言下で出勤時間の繰上げ・退勤時間の繰下げを実施している状況を逆手にとって、朝一で入庫し出勤・退勤後に受け取って帰宅という、極めて効率的なスケジュールで出掛けてきた。

 特段の不具合や重大な故障もなく、オイル交換・グリスアップを済ませた機関・脚回りは、明々白々に軽く静かになった。
 安定的に性能を維持するものの、オイル交換などメンテナンスを施しても効果を感じにくい国産車と異なり、メルセデスのエンジンはこの辺りが分かりやすく、お金と手間の掛け甲斐がある(笑)。


 帰宅すると、もう一つ嬉しいことが。
 先日オークションサイトで落札した、鉄道レールが届いていた。

 出品者情報に拠れば、陸羽東線で用いられてたレールだそうで、製造所・規格・製造年等の情報を陽刻した「ロールマーク」部分をフルに残してカットした逸品。テネシーのレールは、角ばった独特の字体で知られている。
 
「ОH TENNESSEEー6040ーASCEー5-1922」
 
 ОH……平炉(現在では用いられていない古いタイプの溶鉱炉)
 TENNESSEE……USスチール・テネシー製鉄所
 6040……重量および断面形状(記号)。60lb(30kg)/mレール
 ASCE……規格を定めた米土木学会(American Society of Civil Engineers)の略号
 5……製造月
 1922……製造年(和暦大正11年)

 但し、古レールとしては決して珍しいものではなく、私の地元沿線駅(北池袋・東武練馬・上福岡)を含め、全国的に駅上屋支柱などで使われている。
 なおかつ、惜しいのは発注者の記号が無い点。
 国有鉄道の敷地境界杭等でも用いられる記号「工」(=レール断面に似ているため)の場合もあれば、I.G.R(Imperial Govrnment Railway)/I.R.J(Imperial Railway of Japan)等の略号が刻まれる場合もある。

 わざわざロールマーク部分を遺してカットしているのであれば、発注者記号だけ外すとは考えられず、製造年「1922」に続く空白も大きいことから元々刻まれていなかったものと推測する。




 テネシー製鉄所は1907(明治40)年にUSスチール傘下入りするまで、Tennessee Coal, Iron and Railroad Company(TC&I/テネシー石炭鉄鋼鉄道会社)として操業しており、原料である埋蔵量10億トンの石炭・同6億トンの鉄鋼石の採掘から製鋼、原料・製品の鉄道輸送まで一貫して手掛ける、アメリカ南部最大の鉄鋼企業だった。

 アメリカが陥った「1907年恐慌」に際し、大手証券会社が同社の株式を担保とした巨額の借入金を抱えて倒産寸前に追い込まれていいたところ、救済策として担保価値を保全するべく、USスチール(名門カーネギーなど母体に1901年発足)に吸収されることとなった。
 この合併は、当のUSスチール内部にも反対意見があったようだが、結局強行された。また合併を主導した銀行はTC&I株式の担保価値の保全を目指しながら、TC&Iへの融資を引き揚げて株価下落の危機感を煽り、合併せざるを得ない状況へ追い込んだとされる。

 この一連の合併劇を主導し、私財を投じてアメリカ経済を回復させつつ、関連する金融取引でさらに巨万の富を獲たのがJ.P.モルガンで、現在も大手金融機関の商号としてアメリカ経済に君臨している。
 また、当時のアメリカには中央銀行が設置されておらず、国家の経済政策として流動性を確保し恐慌から脱する手法がとれず、モルガンなどの富豪が提供する資金に依存せざるを得なかった。
 この構造的な脆弱性を克服するため、現在につながる連邦準備制度および連邦準備銀行(ニューヨークはじめ12行が設立されている。


 コレクションの充実と併せ、アメリカ鉄鋼史・経済史の勉強ができた。
 単なる「屑鉄」と蔑む勿れ、近代産業・社会の歩みを映す足跡なのである。

Posted at 2021/05/16 11:47:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記
2021年01月21日 イイね!

漏油

漏油 今朝の通勤時、異様な光景に遭遇した。
 地下鉄乗入運用中の東武鉄道9103Fの7号車サハ9403の新木場・渋谷方面左側第4ドア幕板部から、盛大に油漏れしている。
 かすれ具合から、気付かずに寄りかかってしまった利用者の上着を汚損した可能性が高い。

 時節柄、コートを着用している方が大多数かと想像するが、被害に遭った衣類がカシミヤやファーなど素材に拘ったもの、高級ブランドものでないことを祈るのみである。
 早速、東武鉄道の公式サイトを通じて苦情と対応を申入れた。



 この部分には側扉を駆動するドアエンジンが格納されており、同機械部分の整備不良と思われる。
 ドアエンジンは、今日の車輌のように幕板部に配置される場合と、ドアがボディーに納まる戸袋部の下~座席下の空間に配置される場合がある。
 また機構としては、

 エアシリンダー式
 ラック・アンド・ピニオン式
 リニアモーター式

 などが採用される。
 油が漏れているとなると、油圧シリンダー式を想像するが、旅客用鉄道車輌のドア駆動装置としては採用されていない。
 理由としては、後述するが大量に調達する必要があり、他方式の方が安価なこと、火災の危険が無いこと等が挙げられる。
 よって、漏れているのは油圧の作動油ではなく、潤滑油と思われる。

 
 当該電車は1987(昭和62)年に、当時の営団地下鉄(現・東京メトロ)有楽町線への直通運転開始に対応して製造された9000系電車の量産車で、同系列は全て東武東上線に配属されている(スカイツリーライン系統へは、検査時以外乗入れない)。
 3編成がアルナ工機(清算され消滅)、1編成が富士重工業(現・スバル。但し富士重工業時代に鉄道車輌生産からは撤退)、そして2編成が東急車輛(現・総合車両製作所)で製造されたうち、東急車輛製の1両。
 既に製造から30年以上が経過し、老朽化の進行で主要機器の大規模更新が必要な頃だろう。

 また、ドアエンジンは1両に8基(片側4カ所×2)、10両編成では80基、東武東上線には9000系を含め650両以上の電車が配属されているので、管理が必要なドアエンジンは5,200基以上にものぼる。
 
 年々老朽化し、日々過酷な通勤輸送に供用される機器の状態を見極めつつ、大量のメンテナンスをこなさなければならない現場の苦労は、察するに余りあるが、さりとて接客設備の一部であり、利用者の損害は些かなりとも許されない。


 メンテナンス体制の強化と併せ、メンテナンスの手間を軽減でき、漏れるほど潤滑油を注さなくてもよい機構の開発を進めてほしい。


Posted at 2021/05/30 10:52:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記
2021年01月07日 イイね!

担台

担台 個人サイト「未来鉄道データベース」から発展した鉄道関連情報サイト「鉄道プレスネット」の配信記事から『京成線の駅に残る「担ぎ台」行商専用車の終了から8年、今後どうなる?』に注目。

 アングル材を箱型に組んで、樹脂製の座面を敷いただけの、手作り感満載・簡素なアイテムであるが、京成線の歴史的遺物というだけでなく、沿線の社会・経済史を紐解く上でも重要なレガシーと心得る。

 そう遠くない段階で、鋼材の発錆・座面の劣化などメンテナンスが必要になるものと思われるが、大切に活用して貰いたいと願う。


 近年開通した路線や、古くからの路線であっても高架化・複々線化などでファシリティが一新されてしまっている場合は、このような歴史的アイテムは存在しえない。
 それでも、夜行列車の利用者を迎えたホーム上の洗面台や、荷物輸送を支えた横持ち用の器具など、かつての鉄道文化および社会・経済・風俗の様子を伝える「レガシー」がまだまだ残されている駅が多いと思う。

 その由来を伝承し、文化財として後世につなげる試みが、もっと広がってほしい。
 個人的には、愛してやまない古レールを用いた上屋などの構造物が、部分的にでも、或いはロールマーク部分の部材だけでも、保存・展示を徹底してもらいたい。





Posted at 2021/06/04 09:38:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記
2020年07月16日 イイね!

委託

委託 老舗有力経済誌・東洋経済が運営するサイト「東洋経済ONLINE」の配信記事から『「日本式」がベスト?岐路に立つ英鉄道の民営化~コロナ禍で「フランチャイズ制度」見直し論』に注目。

 コロナ禍に苦しむ鉄道事業運営について、鉄道なる運輸システムそのものの始祖にして民営化の先駆者たる英国の事例を紹介・解説するコンテンツ。
 なるほどと思う反面、図表の構成や用語の解釈で些か分かりにくい点や混乱が見られるので指摘しておきたい。

 鉄道事業に携わる諸機関の相関を示した図表の中で、「運輸省(Department for Transport)」とは別に「鉄道・道路庁(Office of Rail and Road)」がプロットされている。
 両方とも運輸行政に携わる中央省庁には変わりないのだが、「運輸省」の責任者が国務大臣たる運輸長官であるのに対し、「鉄道・道路庁」は内閣からも運輸省からも一定の距離を置く「非大臣省庁(Non-Minsterial Departments)」となっている。
 司法・王室財産の管理など、過度に政治の影響が及ぶのを回避すべき分野について、中央政府の職務を遂行する目的で設置されており、職員の身分は国家公務員である。
 内閣は担当大臣を任命(「鉄道・道路庁」の場合は運輸長官)するが、非大臣省庁は担当大臣から直接的に統制を受けず、代わりに運営に当たる委員会メンバーが指名される。
 
 いわゆる「我田引鉄」「道路族議員」に見られるような、鉄道・道路行政に対する政治の干渉を排し、中立・公正な政策遂行に徹するべく敢えて運輸省とは別組織とされており、日本における「省」→「庁」の関係(=中央官庁の外局)と同等に捉えてしまうと認識を誤ってしまうので、補足を附したい。


 もう一つは、「コンセッション方式」である。
 確かに、イギリスの地方自治体が管理する路線を民間企業に委託運行させる運営方法を「Concession」と呼ぶようである。
 しかし「コンセッション方式」と表記してしまうと、PFI事業において、民間事業者が運営主体となってインフラ管理を担うスキームに受け止められてしまう。
 イギリス地方自治体の運輸事業における「Concession」は、民間への「運行委託」であり、若干のインセンティヴを設定する場合もあるものの、利用者の多寡は受託した民間事業者の利益に影響せず、赤字リスクは全て運営主体である地方自治体が負う。
 一方でPFI事業における「コンセッション方式」は、民間事業者が運営主体となり、事業計画の立案・資金調達を担い利用者から直接的に対価を受け取ることで利益を上げる一方、利用者の減少に伴う収入減や、運営および資金調達コストの上昇といったリスクを負う。

 もし、コロナ禍に因る利用者減に苦しむ列車運行会社(Train Operating Company)に、運営リスクを全面的に負うことになるPFI事業における「コンセッション方式」を適用したらどうなるか。立ち行かなくなる以前に、誰も契約に応じなくなるのは明らかだ。
 「コンセッション方式」は、社会的にも経済的にも重要なキーワードであり、読者の受け止めに混乱が生じないよう、用法に注意していただきたい。


 今も運輸・交通政策に大きな関心を抱く者として、イギリスの鉄道事情を把握するのに役立った半面、老舗経済誌のコンテンツなれば重要な用語について、より厳格・慎重な適用を求めたい。


Posted at 2021/06/20 15:30:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記
2019年09月14日 イイね!

荷主

荷主 フジサンケイグループの出版部門・扶桑社が運営するオピニオンサイト「HARBOR BUSINESS Online」のコンテンツから、本日付『トラック運転手の労働環境はなぜブラックになってしまうのか? ドライバーを縛る「荷主第一主義」』に注目。

 運輸・物流関連の記事については、
弊ブログ主がライフワークとして研究を続けている分野でもあり、常にアンテナに引っ掛かる。
 いわゆる「働き方改革」が推し進められる中、また経済の動脈である運輸・物流業界における担い手が減少し、その確保が喫緊の課題となる中、核心たるトラックドライヴァーの待遇改善を早急に進めねばならぬのは論を待たない。


 トラックドライヴァー諸氏の境遇に胸を痛めつつ、少し視点を高くして我が国経済・社会全体を俯瞰すれば、”荷主第一主義”を貫き最も高いシェアを獲得してきたトラック輸送および「ジャスト・イン・タイム方式」の物流体制が、極めて歪な形で公共のインフラを占有していることが分かる。

 純粋な輸送部分については運行する車輌の保有者が、荷主から受け取った料金を原資に自動車関連諸税や通行料を支払うことで、荷主も間接的ながらインフラを整備・維持するコストを負担している。
 しかし、ドライヴァーの休憩を目的に整備されている公共のパーキングスペースや、駐車を禁じられている路上での「荷待ち」は、トラックドライヴァーに長時間労働を強いつつ、インフラを私企業の倉庫に代用(悪用?)し、本来荷主が負担するべきコストを免れているのである。

 直接的な物流コストを、不当にちょろまかしているだけではない。
 公共のインフラ=道路および周辺の諸施設を私企業が占有することで発生する、激しい交通渋滞・長時間駐車に因る轍掘れなど道路の破損・アイドリング中の排ガスおよび騒音・通行環境悪化に起因する事故は、大きな社会的損失=外部(不)経済として悪影響を及ぼし、解消には膨大な手間とコスト=社会的費用を要するが、その多くは税金で負担、或いは一般市民・ドライヴァーの忍耐で受容され、ここでも荷主は頬被りしている。



 適正な輸送料金の負担を通じ、荷主はトラックドライヴァーの待遇改善に協力しなければならない。
 ただ、待遇を改善しようにもトラックドライヴァーの存在そのものが希少化し、どんなに高給をはずんでも、勤務時間を短くしても、肉体的負担を軽減しても、求人を満たせなくなる可能性を否定できない。
 そうなれば、「ジャスト・イン・タイム方式」の継続はおろか、動脈たる運輸・物流は無残に梗塞し、日本経済・社会が脳死または心肺停止に至る。
 
 トラックドライヴァーの待遇改善と併せ、公共の道路インフラを倉庫代わりに私的占有する現行の「ジャスト・イン・タイム方式」を改めて、相応のコストを支払い一定程度の在庫を置く・鉄道または船舶輸送にスイッチ(=モーダルシフト)する・自社関連の輸送に伴って生じる外部(不)経済を減少させ、積極的に社会的費用負担に応じるといった策が必要だと考える。


 奴隷に労働力を依存する社会や、植民地からの収奪で成立する経済が滅び去ったのと同様、劣悪な労働条件下で勤務するトラックドライヴァーの苦痛と、静穏な生活環境・円滑に道路インフラを利用する権利を奪われた一般市民の忍耐に縋って成立する社会・経済もまた、いずれ立ち行かなくなるのは間違いがない。


Posted at 2019/09/15 15:42:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記

プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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