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2012年11月27日 イイね!

絵本

絵本 今夜の読み聞かせは「汽車のえほん」シリーズ第6刊「みどりの機関車ヘンリー」。
 物語前半では、急行用の大型旅客用機関車ゴードンに次ぐサイズの機関車ながら、度々故障に見舞われていたヘンリーの不調の原因が明らかにされ、対策と改修が施される。


 石炭を燃焼させる火室の小さいヘンリーにとって、このところの炭質の悪化は致命的で蒸気が上がらず、定時運行に支障を来していた。
 そこで局長は、価格は高いがカロリーも高い良質のウェールズ炭をヘンリー専用に購入。この対策が奏功しヘンリーは運用に復帰する。


 復帰後、順調に列車運行に携わっていたヘンリーだったが、鮮魚専用の特別貨物列車「フライングキッパー」を牽引中、大雪で凍結したポイントのせいで追い越すはずだった先行貨物列車に追突。脱線転覆してしまう。
 この事故からの復旧を機にヘンリーは大規模改修を受け、ウェールズ炭を用いなくても十分な蒸気を得られる大きな火室を得、ゴードンに比肩する大型旅客用機関車として活躍することになる……というお話(最後は森本レオ調で)。



 機関車に顔が描かれ、機関士・助士や車掌と会話しつつ列車を走らせるというファンタジーながら、特にこの6巻はリアルな鉄道シーンや、イギリス経済・産業史に即したエピソードに溢れている。

 良質な石炭が掘り尽くされ炭質が悪化していく一方で、世界的にも熱量の高さで知られるウェールズ炭を持ち出してヘンリーを救済したり、ヘンリーを改修する工場の所在都市としてブリテン島中部(イングランド北西部)のCREWE市が登場する。
 CREWE(クルー)市には、民鉄各社が群雄割拠していた鉄道黎明期から一貫して蒸気機関車製造の一大拠点工場があり、戦後の国有化・再度の民営化を経た現在でも電気機関車・ディーゼル機関車の整備工場が置かれている。
 自動車ではロールス・ロイス/ベントレーの工場があるが、ベントレーの創業者は民鉄時代のグレート・ノーザン鉄道所属エンジニアだったので、こちらも鉄道とは無縁でない。


 鮮魚専用の貨物列車というのも、なかなかマニアック。「kipper(キッパー)」とは燻製ニシンのことで、新鮮なまま消費地に届けるべく貨物列車ながら「天翔るニシン」なる列車名を与えられていることも、物語中の鉄道マンの心意気を表現していて楽しい。
 かつて日本でも山陽・東海道本線を東上し築地市場まで直行する特急貨物列車「とびうお」号、同じく大阪市場行きの「ぎんりん(=銀鱗)」号があり、使用されていた冷蔵貨車は大宮の鉄道博物館で公開されている。


 ヘンリーの改造も、目的と実態に適ったもの。
 ボイラーの火室部分が大きく拡大され形状も変更。それに合わせてキャブも延長され、運転環境の改善が図られた様子。蒸気発生量増加に対応するためかシリンダーに蒸気を送る主蒸気管も改良され、ボイラー前部からシリンダーに掛けて斜めに太く描かれている。


 「フライングキッパー」を牽引して暁の平野を走る情景も美しく、「汽車のえほん」シリーズのなかでも最高傑作と言っていい一冊である。



 大規模改修を受けたヘンリーの復帰を確認して、子どもたちは眠ってしまった。
 続きは、また明日。


 

Posted at 2012/11/28 07:19:31 | コメント(4) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記

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