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2012年12月15日 イイね!

次善

次善 まだ20世紀の頃の山陽自動車道上り線。
 猛烈な俄か雨の中で1台のアウディがスピンして陸橋に激突。ゴルフに行く途中だったらしいドライヴァーは大した怪我をしていないようだが、炎上しかけた愛車から急ぎ取り出したゴルフバッグとともに、陸橋が覆い被さり何とか雨だけは避けられる路側で悄然と立ち尽くしていた。


 「あ~ぁ、アウディ燃えてるよ」
 「こいつ、命よりもゴルフ道具の方が大事なんかねぇ」

 などと感想を述べながら事故現場を通過する車中には、広島市内の事務所から運転手を務める私の他に当時の上司2人(直属の上司および中国地区の総責任者)。私を含め3人で岡山市内の業界団体に挨拶へ行き、総責任者は更に単身鳥取へ向かう予定で切符を手配していた。

 しかし折からの悪天候で速度規制が掛かっていたのに加え、その事故のせいで山陽道は渋滞が発生、なかなか前へ進めない。
 業界団体への挨拶は直属の上司と私だけで済ませるにしても、このまま岡山ICで降りて岡山駅へ向かっていては、岡山市街地の混雑で恐らく列車に間に合わない。

 幸い、玉島ICを過ぎて倉敷市内に入った頃から天候が回復し、渋滞も解けてきた。そこで私は機転を利かし、岡山ICを通り過ぎて山陽ICまで走行。ICから程近い山陽本線・瀬戸駅まで総責任者の上司を送る作戦に出た。
 結果は、大成功。列車の出発5分前に駅に着き、総責任者の上司は予定通りの列車で目的地へ向かった。


 それ以来、私のドライヴィングは当時の直属の上司(現在は出世してもっと高い地位にいる)の「語り草」になってしまった。「絶対間に合わないスケジュールを、間に合わせた奴がいる」と。

 事故は勿論、違反も一切無し。犠牲になったといえば、倉敷JCT辺りで回復した天候に誘われて中央分離帯から飛び出してきた鳥を跳ね飛ばしてしまったぐらいか。その鳥は可哀そうに、右前のボンネットに激突した後、助手席に座る直属の上司の目前のガラス上に血痕を遺し、バックミラーの中で路上に落ちて転がっていった。
 そんな衝撃的な出来事も、「語り草」のスパイスとして散りばめられているらしい。

 


 直属の上司は、私が当初予定に間に合わなかった場合の行動まで考えていたことに驚いたのだと思うが、当時から岡山市内の渋滞にはうんざりしていたし、仮に当初予定通り行動できたとしても、かなりタイトなスケジュールになるであろうことは事前に読んでいた。
 そこで「次善の策」として、地図上で次のICの場所と最寄りの鉄道駅、そして岡山駅発の列車がそこへ到達するまでの所要時間を調べてあったのが奏功した……というのが実態である。




 日常的な行動でも、常に「次善の策」を考えながら動いていて助かることがよくある。
 今日は子どもたちと午前中プールに行き、その脚で都心へ向かうスケジュールで出掛けていた。
 自分の経験上、プールの後は睡眠薬が混じっていたのではないかと思うほど眠くなるので悪い予感がしていたのだが、案の定子どもたちは仄暖かい地下鉄線電車(東京メトロ副都心線)内で寝入ってしまった。
 都心での用事を楽しく済ませるためにも、できれば電車内で眠らせてあげたいところ。さりとて2人を抱っこして乗換えを敢行する体力はないが、もう間もなく乗換え駅が迫ってくる。さてどうしようか……。


 私の決断は、そのままスルー。乗換えるはずだった駅を乗り過ごし、そのまま子どもたちは熟睡を続けた。
 実は、遠回りになるが目的地近くまで行く乗換駅が、その先に3つある。当初予定の乗換えをして下車する駅が最も近道で便利だが、遠回りをする路線や少し歩けば辿りつける駅までのルートを考え合せると、選択肢が大きく拡大するのだ。

 子どもたちの様子を見ながら、目覚めてくれたタイミングでどこかの乗換え駅で下車できればイイやと割り切った。
 最後の3番目の駅は終着なので、ここまで行ったら折り返しの時間も寝ていられる。目覚めないまま折り返しても元来たルートを辿るだけなので、幾ら疲れていてもどこかの地点で目覚めるだろう。


 さすがは我が子と言うべきか。
 全ての検討結果を無駄にすることなく(笑)、次善の策3番目の終着駅に到着直後目を覚ましてくれた。

 下車駅から目的地までの歩行距離は「次善の策」中で最も長くなるが、その道中の殆どは私が学生時代を過ごした懐かしい街中。目的地周辺よりも遥かに安くて美味しいランチの店が多く、運動して一眠りした子どもたちにとっても、腹ごしらえに丁度いい。
 美味しい洋食をたっぷり食べて、次の目的地へは予定通りの時刻に辿りついた。



 文字通り「次善の策」では結果的にベストにはならないが、15年以上前の岡山へのドライヴ、そして今日の子どもたちとのお出掛けのように「当初の予定とはちょっと違ったけど、まぁいいか」というレヴェルまで持ち込めれば、「次善の策」も大成功だろう。 
 むしろ「怪我の功名」と呼ぶべきなのかもしれないが。



Posted at 2012/12/15 22:50:01 | コメント(2) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記

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