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2014年12月13日 イイね!

介入

介入 時事通信社のニュースサイト・時事ドットコムの配信記事『大韓航空に偽証強要疑惑=サービス責任者「侮辱された」-韓国』に呆れる。

 世に「ナッツ副社長」と揶揄される航空会社役員の蛮行を聴き及び、私は2つのシーンが脳裏に浮かんだ。




 一つは、ニューヨーク市警察と中国系マフィアの攻防およびマフィア同士の抗争を描いたバイオレンス映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のワンシーン。
 対立組織の長老を暗殺した若きボス、ジョーイ・タイ(=ジョン・ローン)は、実行犯のアジトであるチンピラの溜り場を訪れ、暗殺成功と引き換えに負傷した若者を直接労う。

 ボスから優しい言葉を聴き、傷の痛みに苦しみつつも安堵する実行犯。
 しかしジョーイは溜り場を出る間際、冷酷にも実行犯を処分するよう配下の者に命じる。

 実行犯の若者は、チャイナタウンの地下にあるもやし工場の栽培プールに沈められた状態で市警の刑事、スタンリー・ホワイト(=ミッキー・ローク)らに発見された。


 今回の「ナッツ副社長」に当て嵌めれば、袋に入れたままのナッツを受け取り、満面の笑みで「貴方のお名前は?」と尋ねる。「とてもてきぱきとサービスしている姿が素晴らしいわ~」と誉めそやしておいて、帰国後に「あの便に搭乗していた○○をクビにしろ」と命じる……といった感じになるか。

 マフィアのボスを持ち上げるつもりは更々ないが、組織の支配者として君臨するなら、どちらのやり口の方が(悪)賢いか。映画ファンでなくとも即座に判断を下せよう。 

 要するに、そこまでの(悪)智慧が備わっていない、所詮は世間知らずのお嬢様のご乱心だったということだ。




 もう一つは、先ごろ新幹線車輌が全線を通過した「青函トンネル」建設の原動力となった「洞爺丸事故」にまつわるエピソード。

 台風襲来(実際には温帯低気圧だったとされる)で荒れ狂う海に船出し、当時の最新鋭船「洞爺丸」を1,000名以上もの乗客・貨物を満載した貨車・進駐軍用の寝台車もろとも転覆沈没させてしまった船長の判断については、船長自身が殉職していることもあり真相は闇に埋もれたままとなっている。
 船長本人の証言を得られないが為、とある裏付けのない無責任な証言が独り歩きしてしまった。


 一等船室の客として洞爺丸に乗船していた食品製造会社の社長は、天候回復を待ちなかなか出港しない状況に嫌気し、船員の許可を得ぬまま下船。間一髪で命を取り留めた。

 事故発生後、遭難者名簿に自分の名があるのを見つけ、自分が無断で船を降りたのを棚に上げて国鉄の当局者を責めるなど、手前勝手な行動が鼻に付くこの人物が、マスコミの取材に対し「船内で見た」と前置きして「国鉄の偉いさんが出港する・しないで結論の出ない会議をしていた」と話した内容が、後々海難審判や国会審議でも取り上げられ物議を醸す。

 確かに当時の北海道支社支配人および道内各管理局の局長が、東京本社の会議に参加すべく乗船しており、たまたま食品製造会社の社長と乗り合わせたらしい。


 船の運航と乗員乗客の安全に責任を負う船長とはいえ、やはりサラリーマン。トップから「会議に間に合わせろ」と圧力を掛けられ、無謀な出港を決断させられてしまったのでは、という憶測がこの証言から派生していった。

 実際には、国鉄の北海道支社支配人および局長は、本州への到着が遅れてもいいように複数の列車を押さえていた他、緊急事態であれば致し方なしとして航空便の利用も考えていた。
 そんな状況で、自身の命をも危うくするような無茶な圧力を掛けたとは考え難い。食品製造会社々長の発言も、品性下劣な目立ちたがり屋が過剰なリップサーヴィスをした結果、「会議をしていた」なる事実無根の脚色を施したものだったようだ


 とは言え、乗客の旅の便利を考えれば、定時運行されるに越したことはない。
 船長としては、もちろん大多数の一般乗客の安全と便利に配慮しながら、遙かに高い地位を占める上司の乗船を知り、少なからずプレッシャーを感じていた……のかもしれない。
 国会審議などでは船長の過失を云々するだけでなく、その心情を慮る発言も残されている。



 さて再び大韓航空の件に戻ると、重役が搭乗している、というだけで乗務員へ少なからずプレッシャーを与えているのだとしたら重役が為すべきことは唯一つ。仮に粗相があったとしても余計な口出しや指図などせず、大人しく席に座っていることだ。

 それを下らない理由で騒ぎを起こし、しかも法律違反に当たる機長判断への介入を為したのだ。
 その後の運行をこなした機長や乗務員が受けた心理的な負担は相当なものがあったろう。

 機長が判断を誤り、大事故が発生していた可能性もある。
 そんな事態に至ればご乱心のナッツ副社長も死亡し、事故の真の原因が深海の底に沈み、或いはジャングルの奥に埋もれて解明できなくなってしまう。

 乗り合わせた利用客以上に、大韓航空と「ナッツ副社長」は事故に至らなかった幸運を感謝すべきだ。


 さて我が家の年末年始、大韓航空に予約を入れてしまっているのだが、それまでに企業体質が改革されているだろうか。些か不安が残る。




Posted at 2014/12/14 00:06:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | オピニオン | 日記

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何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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