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　全国紙・産経新聞が運営する関西版ニュースサイト「産経WEST」の配信記事から『平城宮にペルシャ人の役人が働いていた！！　７６５年木簡が証明　「国際的知識で登用か」と専門家』および

　地方紙・沖縄タイムズが運営するニュースサイト「沖縄タイムズ+(プラス)」の先月27日付け配信記事から『研究者ら「予想外｣　世界遺産・勝連城跡からローマ帝国コイン出土』に注目。



　記事の本筋から離れるが、勝連城跡でのコイン発見の記事は、産経のサイト上では見付けられなかった。
　沖縄の政情に冷淡で、差別的とすら感じる言論を垂れ流す惨軽のこと、世紀の発見を黙殺したか、逆に関連取材を地元から拒否されて記事化できなかったか、どちらかだろう。

　どうでもいい分析はこの程度にして、歴史的な発掘の話題に戻る。



　沖縄の発掘調査では、記事タイトルにある通りローマ帝国の銅貨が発見された他、オスマン帝国が17世紀に発行した銅貨も見付かっている。

　奈良で発見された木簡とは、900年もの長い時の隔たりがあるが、いずれも遠くユーラシア大陸の西方から、東端の更に先に浮かぶ島国へ、人材と貨幣が伝わっていた事実を明快に証明する。


　当時のイスラム世界は、7世紀に最初の大帝国(ウマイヤ朝)が興り、木簡が記される15年前にはアッバース朝が更に版図を拡げて、中東から地中海世界を席巻した。
　科学や土木・建築技術の発展も目覚ましく、広大な支配地域を維持するために道路・運河など交通インフラが綿密に整備され、その影響はヨーロッパ文明の礎にもなったとされる。



　万難を排して、貪欲なまでに他国の先進的な技術・文化を得ようと努力した先人たちの意気込みが、遠く現代のノーベル賞に繋がっていると見るのは、飛躍が過ぎるだろうか。

　江戸時代の徹底した鎖国政策中ですら、決して他国に叡智を求めなかった訳ではない。窓口を長崎の出島に、相手を中国・オランダに絞って統制を強めただけであり、諸外国の文物や情報は伝わっていた。沖縄での発見も、まさに鎖国中の日本との中継貿易で栄えた地域ならではの出土品だと考える。



　一方で、1300年前は最先端の文明を誇った地域の現状、即ち宗教原理主義組織の台頭と、戦乱に明け暮れ荒廃する様子を鑑みるに、大国が辿る栄枯盛衰の理を表す。

　物理学の理論で説明される、巨大な星が自らの重みに耐え兼ねて崩壊してくプロセスに似て、国家や人間の営みも、自然の摂理に支配されているのではないかとすら感じる。

　振り返れば、傍迷惑で傍若無人な大国で無かった期間の方が圧倒的に短い某国とて、運命から逃れられないのは歴史が証明している。


　それは日本とて同じである。
　これからも世界の叡智を血肉として、一日でも長く繁栄を維持させていかなければならない。