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2016年11月10日 イイね!

敗者

敗者 スポーツ紙・日刊スポーツのニュースサイト「ニッカンスポーツ・コム」の配信記事から『クリントン氏、全米得票数はトランプ氏を上回る』に注目。



 今でも思い出す。
 筑紫哲也似の教諭が担当する高校の政治経済の授業で、アメリカの政治制度を扱った日のこと。
 若き日の私は挙手し、大統領選挙に関して素朴な疑問を呈したところ、クラスでちょっとした議論となった。

 アメリカの大統領選は、実は純粋な直接選挙ではない。
 国民の投票で選ばれるのは、「選挙人」と呼ばれる代表者(定数は各州の人口に比例)で、その頭数が雌雄を決する。

 多くの州では、投票で多数を得た候補が「選挙人」を総取りする決まりになっている。


 だとしたら人口の少ない州では大勝を重ねたものの、大票田の州で惜敗した場合などは、得票総数と確保した選挙人の数が逆転するのでは……?と。

 現在なら選挙権を付与されている高校生も居て、多少は実際の投票行動にリアリティがあるだろうが、当時の私たちにとってはまだまだ先の話。しかも教科書上の記述でしかない、異国の国家元首を選ぶ選挙など、1回の授業で理解し切るのは難しい。
 最初は先生も同級生も「?!」という感じで、私の疑問が伝わらなかったようだが、2州に絞り得票数=選挙人数に簡略化して説明すると

 A州:クリントン19票/トランプ21票→トランプ選挙人40
 B州:クリントン9票/トランプ1票→クリントン選挙人10

 上記ではトランプの圧勝となる。しかし得票総数を見るとクリントン28>トランプ22で、むしろクリントンが支持を集めている。 


 なるほどなるほど面白いことに気付いたね、確かにそういうことも有り得るねぇと、クラス内で感心して貰えたが、まぁそうそう滅多に起きることではないだろうね……というのが、先生や同級生たちのコンセンサスだった。


 ところが、である。
 今回以上の大接戦となった2000年の選挙(現職副大統領の民主党:ゴア候補/先代大統領の息子である共和党:ブッシュ候補が対決し、ブッシュが当選)に引き続き、今回の選挙でも敗れたクリントン候補が得票総数(ただし未確定)で上回る。

 私が政治経済の授業で疑問を呈してから、既に2回も「滅多に起きることではない」事態が起きている(過去においては1888年の選挙でも発生しており、今回の投票数が確定すれば通算3回目)。

 クリントン候補の支持者が覚えるであろう、失望や怒りは異国民でも理解できる。
 将来的には、選挙人を介在させる制度を廃し、民意をダイレクトに反映させる直接選挙への移行が検討されるかもしれない。
 

 一方で、クリントンを嫌ったアメリカ国民の判断もまた、否定し得ない。
 夫君が大統領として8年間、妻は国務長官として4年間国政に関与し、更に4年乃至8年間もクリントン夫妻が大統領職として君臨することへの、本能的な拒絶反応があったのではと察する。
 ただ、代わる受け皿が「何だかなぁ」という人物だったのが大きな問題なのだ。



 非常に皮肉なことではあるが、ヒラリー・クリントンは「佳き敗者」を演じ切ることで、むしろ大統領選に勝利した場合よりも歴史に名を遺す可能性がある。

 あの時、クリントン政権が誕生していたならもっとマシな世界になっていたのではないかと、一時の鬱憤晴らしでトランプへ投票してしまったアメリカ人は後悔する。
 権力の座に就いたら就いたで、政策判断のミスや本人および政権内部のスキャンダルで評価を落とすリスクから逃れられないが、実権無き「佳き敗者」は永遠に美化され続ける。

 次期政権が政策判断を下す度に、「ヒラリー・クリントン大統領」の虚像が纏わりついて当局者を酷く悩ませるのではないかと、私は推測する。


 併せて「初の女性大統領」誕生とはならなかったが、後で歴史を振り返ってみた際、トランプ氏が「白人男性最後の大統領」となるのではとの分析があることを指摘して、今後もアメリカ政治の動向に注目していきたい。



Posted at 2016/11/11 04:57:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | オピニオン | 日記

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「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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