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2016年12月09日 イイね!

認知

認知 産経新聞が運営する関西版ニュースサイト「産経WEST」の配信記事から『〝自信過剰すぎる〟? 80代の6割「自分は運転大丈夫」…老いるほど強気になるワケ』に注目。


 クルマの運転に限らず、高齢者の狼藉を厳しく指弾してきた弊サイトだが、この記事に関しては比較的冷静に読み込めた。

 高齢者に限らず、誰もが陥る可能性がある「正常性バイアス」の一種であるように思うからだ。



 精神が簡単にパニック状態に陥らぬよう、危険や異常の認知にリミットを掛ける心的作用を「正常性バイアス」と呼ぶ。

 この仕組みが、ドライヴァーに最悪の結果をもたらした一例が、東名高速道路・日本坂トンネルの火災事故だ。

 トラックの追突で火災が発生し、トンネル入口の信号機が赤・情報板が「火災発生」「進入禁止」を明示しているのにも関わらず、次々と後続のクルマがトンネルへ進入し類焼。173台もの車輌が、紅蓮の炎に巻き込まれてしまった。
 ドライヴァーは赤信号や警告表示を見ても、「何かの間違いだろう」「どうにか通り抜けられるのでは」と勝手な判断を下し、即座に停止しなかった。


 そして直近で最も身に積まされる例が、東日本大震災の津波被害者だろう。
 ラジオやテレビでは巨大な津波発生と避難を呼びかける放送がひっきりなしに流されていて、住民はそれを聴いていながら、「まさかここまで来ないよね」「どうせ大袈裟に言ってるんでしょ」と受け流し、避難行動を取らぬまま破滅の時を迎えてしまった。


 多くの高齢ドライヴァーも、身体的能力の低下から危険な局面を実感しつつ、「あれはたまたま運が悪かった」「相手の不注意だって原因だ」と「正常性バイアス」が働き、健全かつ妥当なリスク分析を放棄してしまっているように感じる。それが記事で紹介されている調査結果として、如実に顕れているものと推察する。

 ただ、自身が破滅するだけなら「それも人生」と諦めて貰えばいいが、クルマの運転は他者を巻き込み、無残に死傷させる。
 そして私的に制裁を加えたいほどに憎たらしいのは、他者を深く傷つけ、滅ぼしたことすら、恍惚の彼方へ置き忘れてしまうことである。



 ステレオタイプな一般論かもしれないが、高齢者は精神の柔軟性が喪われ、頑固になりがちとされる。
 「自分は運転が上手い」「事故を起こさない自信がある」と、根拠なく思い込むのも、老化現象の一つだ。
 ならば「自分は人が思うほど運転が上手くないのでは」「自分が事故を起こさなくても巻き込まれることは有り得る」と、常に不安に駆られる高齢ドライヴァーだって、いらっしゃる筈である

 その不安をバネに、末永く安全運転に勤しんで貰う。そしてクルマを運転することで得られる便益よりも、不安に苛まれる辛さが上回ったら、即座に免許を返納できる社会的な支援体制(代替となる公共交通機関の充実・買い物や通院等のアクセス改善)を整える。
 併せて、常に安全確認・危険を感じたら減速ないし一旦停止を欠かさない、頑固なまでに慎重なドライヴァーを初心者段階から育み、そのまま歳を重ねて貰うことも、長期的には効果的な方策だ。



 また記事後半で紹介されている、高齢ドライヴァーをアシストする安全デヴァイスの普及も、絶対的に安全側へ倒れるものでなければならない。
 自動でスイスイ走らせることよりも、まずは認知能力が欠如したドライヴァーがクルマで徘徊するのを阻止すべく

○ドライヴァーを限定する認証システムを導入する(指紋や暗証番号入力)
○免許証を挿入するスロットを設け、イグニッションと連動させる
○車体の変形、衝撃を検知したらクルマを動けなくする

 といった対策から進めてみてはどうか。
 自動運転の早期実用化は無理でも、上記案なら現状の技術水準や法規制で十分対応できよう。




 私個人の運転経験を振り返ると、ふとある局面を思い出して、不安に陥ることが有る。
 そう言えば、あの交差点で左右をちゃんと確認しただろうか。
 車線変更をした際に、後方から接近するクルマがいたのではないか。
 歩行者なぞこの世に居ないかのような、粗暴な運転をしていなかったか。

 事故を起こさなかったのは、単に運が良かっただけなのでは……と振り返り、青ざめる。
 再度同じ局面に遭遇したら、次こそは主体的にリスクを回避したいと願う。

 運転に限らずあらゆる場面で、歳を重ねても危険や異常を正しく認知できる人間であり続けたい。



Posted at 2016/12/10 23:09:07 | コメント(1) | トラックバック(0) | 自動車 | 日記

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