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2016年12月10日 イイね!

相双

相双 全国紙・産経新聞が運営するニュースサイト「産経ニュース」の配信記事から『【東日本大震災】「止まっていた時計、動き始めた」常磐線不通区間再開』に注目。

 福島県の海沿い部分を総称する「浜通り」のなかでも、北部の相馬郡・中部の双葉郡を併せて「相双地区」という。
 今日、相双地区を縦貫する常磐線が仙台まで開通。震災被害が比較的軽微で、離れ小島状態ながら早期に運行が再開された相馬~小高間が、漸く全国の路線網と接続された。



 津波に攫われた荒野に、ポツンと赤い電気機関車が残されている映像を、鉄道ファンであればご記憶だろう。今回の開通区間の北端が、この現場に当たる。
 津波で貨車やコンテナは圧し流され、山側の広範囲に散らばっていた、あのショッキングな脱線事故の発生地点を含む区間が運行を再開したことに、これまでの復旧・復興のイヴェントとは異なる感慨を覚える。

 JR東日本としても車輌点検や運行管理の手間が軽減され、輸送サーヴィスの質的向上を図る足掛かりとなるだろう。



 記事を読んだ私は、タイトルから或る人が記した、敗戦の日における心の移ろいを遺したエッセイを思い出した。

 終戦の詔勅がラジオ放送され、敗戦の絶望感と、もう空爆はないんだという安心感が綯交ぜになった複雑な気持ちが人々を支配、時計すらも動きを止めたかのような虚脱感に澱む空気を切り裂き、汽笛が鳴り響く。
 時が止まっても、列車は動いている。あぁ私たちは、まだ生きているんだと実感し、目が覚めた……といった内容だったと記憶している。


 かつて国家存亡の危機に直面しても、鉄道は運行を続け、新しい秩序へと変化する世の中の「時計」を動かし続けた。
 未曽有の震災で止まってしまった時計を、再び動かすに足るパワーが、今も鉄道には備わっていると信じる。



 しかし、この区間の南側は、我が国が誇ってきたはずの原子力技術が、自然の猛威を前にして敗れ去った「戦後処理」の苦闘が続く。
 被災当時の人間を傷付け、インフラを破壊し、山野を荒廃させただけでなく、何世代にも亘って汚染の影響が及ぶ。

 第二次世界大戦当時とは比べようもない超長期かつ、科学技術の革新まで含めた、広範な復旧・復興の歩みを着実に進めていかなければならない。
 

 本日開業した区間にしても、津波で孤立した、あの赤い電気機関車以降に新たな貨物列車は未だに運行されていない。恐らくは南側区間が復旧して、東京まで直通できるようになるまで無理だろう。
 常磐線全線に、再び貨物列車が雁行するようになって初めて、本当の意味で相双地区の日常を回す「時計」も動き始めるのではないか。


 福島における「戦争犯罪人」の断罪と併せて、一日も早く全ての鉄路が啓かれるよう、願って已まない。



Posted at 2016/12/12 18:02:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記

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