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2020年04月14日 イイね!

五百

五百 アメリカで創刊された男性向けファッション・ライフスタイル雑誌「GQ」の日本語版サイト配信記事から『オークションに出品された超希少なGクラスとは?』に注目。

 新車紹介が中心の同誌で、珍しい中古車の記事であるが、美術品を扱うサザビーズのオークション出品車と聞けば、納得の扱いではある。
 しかし内容に些か問題があるので指摘しておきたい。

 まず最初の段落の中見出しにある「初代Gクラス」の表記。
 500GEは、1979(昭和54)年に最初のモデルがリリースされたパートタイム四駆モデル・W460ではない。
 形式で言うとE-4632281。数字部分をご覧になっての通り、1990(平成2)年に初めてのモデルチェンジで誕生したフルタイム四駆モデル・W463のスペシャルヴァージョンである。

 そして記事中段の「シュタイア・プフ版の500GEは、マーケットの期待がメルセデス版には及ばないだろうとの判断から、ロング版のみを500台限定で生産することになった。」との記述。
 そもそも、メルセデスの500GEにもショート版は存在しない。よって、東欧諸国向けだからヴァリエーションを絞ったという事実も無い。
 この辺り、何かしら参照した資料があり、ライター氏が読み違えて記述を誤ったものと想像するが、その資料が公開可能なのであれば示してほしいものである。


 それにしても、プフ版の500GEが存在するとは、長年のゲレンデオーナーにしてファン乍ら存じ上げなかった。
 グリルやバッジを交換してプフ仕様に仕立てることもできるので、「なんちゃってプフ版?」との疑念を抱かないわけではないが、有名オークションへの出品車であれば、よもやその辺りの真偽はクリヤになっていることだろう。

 私も愛車としていたW463の最初期モデル「300GE」は、3リッター直6エンジンを搭載してリリース。W460で搭載された2.3リッター直4エンジンからすれば動力性能が向上したが、それでも非力感は否めなかった。


 時はバブル経済の真っただ中。
 ハイエンド・モデルを求める富裕オーナーの需要を満たすべく、AMGの協力を得て開発されたのが、メルセデスの旗艦たるW126・560SELに搭載されていた5リッターV8エンジン(M117型)を奢られた「500GE」だった。
 動力性能は300GEの170PSから、5割増に近い240PSへと大幅アップ。外装はグリルガードを標準装備してオフロードモデルであることを主張しつつ、エレガントな紫色に近い深みのある青系の特別色「アメジストブルー」を与えられた。

 また、運転席パネル部分を写した画像を、注意深くご覧いただきたい。
 ゲレンデの操作パネルと言えば、中央上段の一等地に、センター・リヤ・フロントと3つのディファレンシャルロック操作ボタンが配置されているのが特徴だが、500GEには操作ボタンが2つしかない。
 これは、ハイパワーなV8エンジンを詰め込むに際し、どうしてもフロントのデファレンシャルロック機構との干渉を解決できず、後にも先にもこのモデルだけ省略されてしまったことに因る。

 フロントのロック機構は、前輪の片方だけ岩に載り、残る3輪は泥の中でスリップして脱出できない……といった特殊な状況でのみ使用する機構であり、オンロード中心の走行が見込まれるであろうハイエンドモデルでは、省略しても実用上の問題は全く無い。



 実は、私にとって最初のゲレンデとなったNauticalBlueの300GELを購入するに際し、候補として最後まで争ったのが「500GE」だった。
 冒頭記事にある通り、本国生産が500台限定。日本への輸出は正規モデルが40台+並行輸入が数台程度で、当時でも極めてレアなモデルだった。
 惹き込まれるような深い塗色の美しさ、8発エンジンが絞り出す動力性能、そして限定モデルの希少性は大きな魅力だったが、ゲレンデのゲレンデたる所以でもある3つのディファレンシャルロック機能が揃わないこと(使う使わないはさておき)、サンルーフを装備しており故障や雨漏りを懸念したこと、そして300GELも500GEに引けを取らぬほど希少なモデルであったこと(詳しくは愛車紹介参照)から、購入には至らなかった。
 よって数あるゲレンデのモデル中、個人的に思い入れの深いモデルだ。


 ちなみに、オリジナルでもハイスペックなM117 エンジンに、AMGが手を加えてボアアップし6.0リッターとしたモデルも注文生産され、日本国内でも僅かながら流通している(参考情報URL参照)。
 こちらは、500GEの中でも更に希少なモデルである。

 さて「プフ版500GE」がオークションを経て、どんなオーナーの手に渡るのかは不明であるが、ゲレンデの歴史の1ページを飾るモデルであることは間違いがなく、大切に将来へ引き継がれていってほしいと願う。




Posted at 2021/07/04 17:49:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | ゲレンデ | 日記

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