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　今日は午後から休暇を取り、都心の職場を退出。帰宅はせず、途中で急ぎ昼食を摂り、地元県庁近くの公共施設へ向かう。
　県庁の都市計画行政部門が主催する「被災宅地危険度判定士養成講習会」を受講するためだ。

　「被災宅地危険度判定士」とは、被災した市町村又は都道府県の要請により、宅地の2次災害の危険度を判定するエンジニア。
　「被災宅地危険度判定士」になるためには、都道府県知事等が実施する講習会を修了し、危険度判定を適正に執行できると認定された上で、登録を済ませる必要がある。

　多くが、土木・建築・都市計画関連部署の自治体職員(入庁後一定の職務経歴が要件)であるが、民間でも技術士(建設部門・水道部門・衛生工学部門)や一級建築士などの国家資格保持者であれば、上記講習会を受講し登録ができる。

　災害報道などで、地震で損壊した住宅の玄関先へ危険度に応じて赤(危険)・黄(要注意)・緑(調査済)のステッカーが貼られているのを、ご覧になったことがあるだろう。
　あちらは、建築士が中心となって実施する「被災建築物応急危険度判定」で、上物の調査。一方「被災宅地危険度判定」は、基礎から下の地盤や擁壁の危険度を判定する。よって建築士に加え、我ら土木系のエンジニアが必要になるのである。

　なお、都内在勤なので東京都でも受講・登録は可能なのだが、恐らくは登録人数が飽和状態なのではと想像し、ここは地元愛を発揮して居住自治体で受講・登録することにした。


　3時間ほどの講習では、実際の被災事例を教材にして、危険度判定のポイントや記録レポートで押さえるべき事項を学ぶ。加えて、被災地に赴くに際し必要なもの・あると便利なものの紹介など、発災状況によって今直ぐに出動を要請されても対処できるよう実践的な内容に終始していて、大変参考になった。
　一方で、実地経験のない私でも、講習をベースに危険度判定の業務に従事することは可能と思うが、判定をブレなく安定的に下せるか(特に「危険」「要注意」「検査済(＝当面は安全)」各カテゴリの境界領域にある被災例)が些か不安であり、この辺りは場数を踏まなければ自信はつくまい。


　逆に私の方からは県庁側への要望として、「被災宅地危険度判定士講習会」を、建築士会など建設関係団体が認定するCPD(＝継続研鑽)行事としてもらいたい。
　実際に他県では実施されていて、参加者には3H=3ポイント(重み係数1.0)が付与される。
　認定されていなくても、エヴィデンスを発行してもらえればCPDポイントの蓄積は可能だが重み係数が0.5に減じられ、3H=1.5ポイントにしかならない。
　エンジニアの積極的な参画を促したいなら、低コストで効果的な方法と考える。

　また或る県では、入札に際して「被災宅地危険度判定士」登録をしているエンジニアが所属している企業に加点し、優遇する措置を取っている。
　少々生々しいニンジン(笑)ではあるが、やはり加点要素である建設業者の地元貢献(除雪作業への参加や災害発生時の初動対応等)の一形態と考えれば、全都道府県で実施されていてもおかしくない。


　私は、技術士の社会貢献の一つとして、受講・登録を志し、完了した。
　同じく建設部門の技術士資格を持つ方、または建築士・施工管理技士など建設系の資格をお持ちの方も、貴重な学習の機会を得つつ新たな肩書を授かり、かつ大きな社会貢献が可能な「被災宅地危険度判定士」に、是非ともアクセスしていただきたい。