• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

midnightbluelynxのブログ一覧

2021年07月12日 イイね!

線引

線引 地方紙「千葉日報」のサイトから、本日付『八街児童死傷事故 「非線引き自治体」とは何か? 虫食い開発で基盤整備に遅れ 通学路だけじゃない郊外特有の課題 【急上昇ニュースのウラ】』にオブジェクション。

 弊ブログでも意見を申し上げた、八街市での小学生轢過殺人事件(「事故」などでは断じてない)について、空港建設の候補地となっていたエピソード等、地域の歴史的経緯を交えて地元紙ならではの切り口でまとめた記事……と言えなくもないが、内容については相当な問題を孕んでいるものと心得、指摘させていただく。

 なお、冒頭記事の内容は、概ね都市計画に関する行政の動きであるが、技術士の部門としては、私も登録している「建設」の範疇に在る。
 よって自主的な研鑽の一環として、改めて都市計画の初歩を学習し直している。


 八街市域における都市計画を推進する上で、「市街化区域」と「市街化調整区域」に峻別(=線引き)して乱開発の抑制と地域環境の保全を図るのではなく、そもそも人口が急激には増えず積極的な開発の手が入らない前提で、前段の「線引き」を行わない「非線引き区域」を選択するメリット・デメリットを概説している。
 その上で、あたかも八街市が選択した「非線引区域」であることが、秩序ある開発、ひいては通学する子どもの命を護る歩道整備の足枷となっているかのように記しているが、ちゃんちゃらおかしい。


 記事に拠れば、「非線引き地域」は「市街化調整区域」よりも土地価格が高く、用地買収が困難で歩道整備が遅れたとある。
 開発が抑制されている「市街化調整区域」の地価が安いとしても、道路が「市街化調整区域」で完結するものではない。当然に「市街化区域」も通るわけで、そちらは「非線引き区域」よりも遙かに地価が高い。
 また「非線引」を選択したことで農地の取引が活発になり、市の財政が潤った、とある。その税収増で、街路整備を進められたのではないか。

 「非線引き区域」だから道路用地が調達できなかったとする根拠が、極めて薄弱である。


 元々線引きが為されていた自治体が、「非線引き」に移行した例がある。
 四国の中心都市、高松市およびその周辺自治体である。
 市街化区域に人口が集中する一方で、都市機能が老朽化し機能不全に陥ってしまう前に、中心市街地の人口を郊外に出して均衡ある開発を期しつつ、中心市街地の再開発を進めて活性化を図る目的で実行された。
 開発行為における市街化区域の優位性が消滅したことに加え、中心市街地からの人口流出で、旧市街化区域の地価が下落している。
 近年は市街地中心部の再開発が進んだことから、改めて市街地中心部への人口回帰も見られ、郊外での宅地開発および人口流出は落ち着てきたとされる。

 高松市の場合は「非線引き区域」への移行時点で、都市計画道路の整備率が8割を超えるなど、既に基本的なインフラが整っており、八街市とは成り行きが異なる。
 しかし線引きが有ろうと無かろうと、高松市として、或いは八街市としての都市計画を練り上げているわけで、そこにプロットされた都市計画道路を粛々と整備し、安全な街路を造り上げていけばいいだけのことだ。
 「”非線引き”だから秩序ある開発ができなかった」という言い訳は、全く通用しない。


 これらを受け記事においては、現職市長は「非線引き」が選択された後に就任しており、「批判を受けるのは気の毒」と擁護している。
 果たして、これも妥当な行為と言えるだろうか。

 地元出身者にして、市長として既に3期目。その前は市議を3期務めており、市議会議長も経験している。
 議員・首長として合計20年以上も市政に関わっていて、街路の危険性や「非線引き」に伴うデメリットを認識していなかったとは、到底考えられない。
 自身の任期中に生じた問題でないとしても、市民の生命・安全に影響する状況であるなら、議会人として、または最高位の行政マンとして、迅速に解消へと動かねばならない責任がある。

 因みに、市のHPで公表されている「都市計画マスタープラン」(参考情報URL参照)は、2016(平成28)年5月27日付となっており、現職市長がコミットしたものである。
 そして、行政および都市計画の方針として「都市計画区域に区域区分を定めない」と明記している。


 千葉日報が、何を意図してこのような行政ベッタリの記事を掲載したのかは不明であるが、よもや現職市長に忖度して貸しを作り、今後のネタ取りや営業に利用しようなどという邪な考えを持っていないことを、祈るのみである。



Posted at 2021/07/14 23:46:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ
 G320カブリオ(V6・ミッドナイトブルー)を愛車にしています。  息の長いGクラスで ...
その他 その他 その他 その他
 サントレックスの軽規格折りたたみトレーラーです。以前所有していたキャンピングトレーラー ...
メルセデス・ベンツ Gクラス ジュラシックワールド・オフィシャル (メルセデス・ベンツ Gクラス)
G550 as a movie star! Coming soon.
メルセデス・ベンツ Gクラス ドイツ連邦軍多目的車輌「ヴォルフ」 (メルセデス・ベンツ Gクラス)
 ドイツ連邦軍が1989年~1994年にかけて10,000両以上もの大量調達を果たした軍 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation