昨夜は海の幸を堪能したのみならず、地元の酒・ラムも愉しんだ。
現地で呑むことができるラムは2種類あり、精糖の過程で産出される(廃)糖蜜を醸造したもの(工業生産ラム。一般的にラム酒と言えば、この製法)と、当に精糖の原料であるサトウキビの搾り汁から醸造したもの(農業生産ラム)がある。
廃糖蜜は性状が安定していて、各地に輸送の上でラム酒以外にも様々な食品原料として多用されるのに対し、サトウキビの搾り汁は直ぐに酸化してしまうため、醸造所をサトウキビ生産地に置かなくてはならず、即ち大消費地やインフラの整った地域から遠いためコストが高く、ラム酒生産量の3%程度しか流通していない…とされる。
「農業生産ラム」の新鮮で爽やかな味わいと、雑味を誤魔化す香料や着色料の入っていない「工業生産ラム」のパンチの利いた味わいの両方で、心地良く酔わせてもらった。
今日は終日移動日で、朝の便に搭乗して那覇、乗り継いで宮古~多良間というルート。
佳い酒のお陰か、帯同する同僚ともども朝早く目覚め、朝食を摂って早めにチェックアウト。空港へ向かう前に、改めて島の中を巡ることにした。
島の中心地に、古い蒸気機関車とディーゼル機関車、そして客車・貨車が保存されている。
1983(昭和58)年まで、島内のサトウキビ収穫用に活躍していた専用鉄道の車両(シュガートレイン)で、2007(平成19)年に近代化産業遺産の指定を受けている。
専用鉄道は2フィート6インチ(≒762mm)の軽便規格で、島内を一周する環状線と、枝分かれする支線からなり、総延長30km弱。最盛期には8輌のディーゼル機関車と300輌以上の貨車・作業用台車が、製糖工場の稼働に合わせ24時間体制で運行していたという。
蒸気機関車・ディーゼル機関車は、当地に保存されている車輌のほか、観光鉄道に活用できないかと本島に持ち込まれた各1両があり、計画頓挫で一時は放棄されていたものの、現在は那覇市内の壺川東公園で保存・展示されている(但し、蒸気機関車は腐食が著しく下回りのみ)
また南大東島の中でも、観光資源として復活させる動きがあるようだが、現時点では具体的な整備計画が見えていない。
車輌だけでなく、島内には何か所か軌道や集積場(駅)・機関庫など施設の跡が残されている。
こちらも、観光案内図に示されているところを幾つか回った。
島内中心部にある機関庫は、現役当時のまま今でも倉庫として使われている。路線廃止後も暫く機関車が周辺に放置されていたようだが、現在は全て片付けられてしまった。
軌道関連では、道路を横断する部分で踏切の跡(レール内側にガイドレールを敷設してある)や、やはり踏切跡で道路工事をしている現場で、路外に置かれている掘り出されたレールを見ることができた。
最盛期に来てみたかったものだと惜しみつつ、こうして当時を偲ぶ車輌や軌道が残されていることに感謝し、願わくば一部でも復活の日を迎えてほしいと祈る。
動力源にはラム酒、、、ではなく燃料用に精製したアルコールを用いれば、CO2の排出を実質的にゼロに抑えられ、観光の振興と環境対策を両立できよう。
レンタカーを返却し、空港売店で「ラム」をお土産に購入。
名残惜しい初の南大東島訪問を終えた。
暫くは天気予報で示される島名を眺めながら、麗しき滞在とシュガートレインを懐かしむことだろう。
さてさて、次に向かう先も、沖縄の離島・多良間島。
宮古島からは空路の他、行程2時間ほどのフェリー便(日曜を除く毎日運航)もあり、南北大東島のような「絶海の孤島」(沖縄本島から400㎞弱)ではないが、強風や波浪など天候次第で空路・フェリー共に欠航が多いと、現地で工事に携わる代理人さんから知らされていた。
工事用の機材と車輌を持ち込む都合上、航空便は使えないのでフェリー一択なのだが、タイミングが悪いと1週間も欠航が続き、作業が始められないまま待ち惚けを食らうこともあるという。
そして南大東~那覇~宮古までは順調に飛び、最終行程の多良間便に搭乗しようとカウンターに向かったところ、非情な「欠航」の通告。聞けば機材の故障が原因で、そもそも予備機材も無く逼迫した運航体制だったため、已むなく欠航に至ったのだとか。
明日面会する予定だった多良間島の現場代理人さんに連絡し、お詫びと取り敢えず予定の延期をお願いした。
併せて、今日の多良間での宿泊を延期(明日の午前便で渡れればキャンセル)・宮古での宿泊を手配。航空会社都合で欠航となった補償として、宿泊代相当の金銭は貰えている。まだ冬休み期間ではないので、以前も宿泊したことのある繁華街のホテルを押さえることができた。
新型コロナ禍後の経済対策で実施されている、宿泊者への補助(金券を支給)も適用してくれる、とのことで、私はたまたま携帯に画像で保存していたワクチン接種証明書を、帯同する同僚は急遽奥方にワクチン接種証明書の画像を送ってもらい、それぞれチェックイン時に提示して食事やお土産の原資を得た。
機材故障に因る欠航には面食らったが、その後の手配はとんとん拍子に進み、穏やかに宮古での夜を迎えた。
早ければ明日の午前便で多良間入りし、現場で代理人さんと面会。業務をこなし午後の便で宮古に戻り羽田便に乗り継げたら、クリスマス前には余裕で東京へ戻れる。
ただ、悪天候(強風に伴う波浪)でフェリーは既に明日の欠航が決まっている。
フェリーを止めた強風で、航空便が欠航しないとも限らない。機材故障とて、当該機材が設備の整った那覇に居れば対応も早かろうが、離島に居た場合はどうなることか。
不安を頭の片隅に抱えたまま、床に就いた。
Posted at 2024/05/03 02:07:39 | |
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鉄道 | 日記