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2019年12月20日 イイね!

御霊

御霊 遠くアフガニスタンで凶弾に斃れた中村医師の御霊は、今夜確かに四ッ谷・外堀公園内に建つ土木学会講堂に集う私たちと共にあった。


 急遽挙行された今夜の”追悼上映”は、例会であれば三脚の椅子を入れた机が並ぶ広い講堂から、全ての机を撤去してスペースを作り、更に椅子を並べて席を作ってなお収容し切れるかどうか……という申込者があったのだとか。
 土木学会が開催する様々なイヴェントの中でも、業界関係者で独占されておらず、比較的堅気(!)の筋が多い「イブニングシアター」であるが、今回は輪を掛けて援助団体関係者?市民活動家?という方が多かったように見受けた。
 もしかして、弊サイトでも呼び掛けを行った効果があったのだろうか。


 プログラムの前半は、生前の中村医師が土木学会に招かれ、講演・対談した際の記録映像。やや粗い画質ながらも、訥々と淡々と現地の様子を語る様子がリアルに再現され、眼前に中村医師ご本人がいらっしゃるような気分になる。

 後半は土木映画2作の上映。
 『民衆のために生きた土木技術者たち~八田與一編』および
 『アフガンに命の水を~ペシャワール会26年目の闘い』

 八田與一は台湾総督府の技術者で、現在でも現役で農地を潤し続けるダムおよび水利施設の整備に尽力した。
 異国で、かつ水利施設の整備を通じて現地経済の発展に貢献した点が、中村医師と共通する。
 
 そして中村医師の本業である医療にしろ、八田與一が所属した台湾総督府の植民地経営にしろ社会・経済の「上部構造」は、給水や農地整備といった「下部構造」=インフラに支えられてこそ活きる現実に気付き、その地に暮らす人々の福祉を第一に土木事業に注力、かの地の人々に永く感謝されている点もまた、両者同じである。


 二人の功績は、全てのエンジニアにとって励みとなるべきものである。
 一方で、それぞれのエンジニアが手掛ける事業は、本当に民衆の為になっているのか、単に建設業界や社会的経済的支配層だけが潤う状況になっていないか、深い自省自戒を求めている。

 中村医師は、かの地における内戦の混乱の中で命を落としたが、八田與一もまた、台湾から一旦内地に戻って後、軍の命でフィリピンのインフラ整備に赴く船上で、米潜水艦の雷撃を受け殉職している。
 佳き土木技術者たらんとするなら、インフラ整備を通じて社会・経済の安定を期し平和を導くためにも、そのインフラを破壊から護り末永く民衆の支えとするためにも、戦争から最も遠い存在であらねばならない。


 手が届きそうな程、近くに感じることができた御霊の、永久に安らかならんことを祈り合掌。
 

2019年12月18日 イイね!

評定

評定 今日を以て、長男は年内の学校行事を終えて冬休み入り。
 一般的な学校スケジュールからすれば、やや早めの終業式を経て貰うモノと言えば、今学期の成績である。

※以下限定公開
Posted at 2020/01/05 22:35:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2019年12月05日 イイね!

水利

水利 「市民のための工学」=土木の振興を通じて、文明社会の発展に尽力する公益社団法人土木学会事務局のリリース記事から『中村哲医師訃報に対するお悔み』に黙祷。

 アフガニスタンの復興に情熱を捧げ続けた医師・中村哲氏が、現地武装勢力の凶弾に斃れた。
 中村医師および現地代表の地位にあった「ペシャワール会」の貢献は、医療や物資の支援だけではない。報道等でも、バックホウ(いわゆるパワーショベル)に搭乗するシーンが紹介されているのを、各位目にしたろう。

 中村医師の故郷、九州・福岡の黒田藩が江戸中期に施工した筑後川の山田堰および堀川用水に範を求め、高性能な重機や緻密な施工技術を必要としない、近代化以前の古典的かつ簡便な工法で水利施設を建設。技術移転を受けた現地市民の手で自律的に施設の拡張・維持管理を進めつつ、荒廃したアフガニスタンの国土を緑化し、農地を拡大することに成功した。

 土木学会では2011(平成23)年に、土木技術映像委員会が主催する「イブニングシアター」で中村医師を招聘し、記録映画と現地情勢の解説を講演していただいた。
 また2017(平成29)年に「技術賞」を贈呈し、その大きな功績を称えた。


 体制の側か、対抗する側かを問わず、アフガニスタンにおいて中村医師の存在は一目置かれており、現地情勢に詳しい識者に拠ればアフガニスタン人が手を下したとは考え難い一方、戦乱に乗じて現地に根を張った外国人勢力が売名的に暗殺行為に奔ったのではないか、との指摘があった。
 それが真実であれば、既に殺戮が自己目的化し、大義を喪ったとしか思えない内戦の不毛さに呆れ、アフガニスタンの一般市民に害為す外国勢力の増長に、果てしない怒りを覚える。

 とは言え、ここで感情に任せ軍事的な報復を志向しては、中村医師の理想に反してしまう。
 中村医師が、自身は素人と謙遜しながらも土木=水利施設整備事業に邁進したのは、インフラ整備を通じて農業生産を始めとする経済活動を回復させ、残酷なゲリラを善良な一般市民に戻すことで、医療や物資支援とは別の切り口で内戦の終息と社会の安定を期したからである。
 この発想は、何も過去~現在の内戦で荒廃した途上国だけが持つべきものではない。

 先進国の最たる存在であるドイツでも、将来において核戦争等で軍隊や統治機構が壊滅してなお、国民が自律的にインフラを復旧させることで秩序維持・社会の安定を期し、THW(Technisches Hilfswerk:技術支援隊)なる非軍事組織を津々浦々に配置している。

 
 市民生活の向上に資するべき土木技術の普遍的な価値を、インフラという非軍事分野から平和を導く可能性を、遠く海外から、かつ門外漢の立場から再認識させてくれた中村医師の功績に、エンジニアの一人として深く首を垂れ、永遠の不在を衷心より悼む。



プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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