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midnightbluelynxのブログ一覧

2020年11月24日 イイね!

川砂

川砂 出版大手・講談社が運営するウェブマガジン「現代ビジネス」の配信記事から、
 本日付『砂をめぐり住民同士が殺しあう…アフリカで起きている「砂戦争」のリアル』および
 一昨日付『邪魔者を生きたまま焼き殺した…インドの「砂マフィア」がヤバすぎる!』に注目。

 両記事に共通する用語の誤りがあるので、指摘しておきたい。
 いずれも川砂の過剰採掘が原因で橋が崩落したエピソードに触れているが、
「橋げた(桁※)周辺の砂が堀り取られて橋が崩落」(本日付)
「(崩落の原因として)砂の採掘によって橋げた(桁※)が露出していた」(一昨日付)
※部は筆者追記
と記述している。

 橋梁の構造は、下部工と呼ばれる橋脚部分と、上部工と呼ばれる橋桁部分に大別される。日本においては工事の発注も、供用開始後は一体の橋ながら別々に行われる。
 川砂の過剰採掘で直接的に影響を受けるのは、川底に基礎を設けて設置される下部工=橋脚部分であって、上部工=橋桁ではない。
 日本においても、台風に因る増水で橋脚周辺の川底が掘り下げられ(=洗堀)、橋脚が不安定となり橋が歪む、または落橋する事故が度々起きている。

 最も大規模だったのは、1982(昭和57)年台風10号が襲来した際、東海道線(当時国鉄)富士川橋梁の旧下り線(老朽化で廃橋)・下り線(上り線鉄橋を新設し、旧上り線を転用)が流失した事故だろうか。
 洗堀現象は、橋脚の川下側で渦が発生し強く掘り下げられることから、最も新しく、かつ上流側にあった新上り線だけが無事で、橋の前後に渡り線を設けた上で単線閉塞信号を仮設し、流出した下り線の2径間が復旧するまで交互通行が実施されていた。

 ライター氏は土木に明るくないものと推察するが、それにしても土木において最重要にして大量消費する「砂」を扱う記事をアップするのであれば、基礎的な専門用語についてはきっちり押さえておいて貰いたい。



 改めて記事の内容に戻ると、日本において生コンクリートの製造工場は、川沿いに立地していることが多い。
 これはかつて、日本でも川から骨材(砂利・砂)を調達していた時代の名残であるが、現在は航路浚渫や発電所取水口の堆積土砂排除を除き、河川からの骨材採取は原則的に禁止されている。

 些か残忍な描写の多いコンテンツであるが、どうせ治安に問題のある未開の異国でのことでしょう……などと受け止めてはならない。
 確かに直接行動に程度の差はあるが、我が国にも「砂マフィア」は暗躍しており、採取場所が川から海ないし山へ移行した後も、利権に絡んだ事件が発生している。
 標的とされた人物は、いつの間にか消息を絶ち、本人のものと思われる遺書が出てくるのと相前後して遺体が発見される。警察は通り一遍の捜査で事件性無しと判断し、真相は永遠に闇の中……といった話は、噂レヴェルを含めれば複数耳にしたことがある。

 良質なコンクリートを製造するためには、単に「砂」と呼ばれるマテリアルを混和すれば良いのではなく、セメントのアルカリに反応して膨張するといった岩質の問題がないか、細かい砂(細目)と粗い砂(粗目)がバランスよくミックスされているかなど、厳密な品質管理が求められる。
 特に粗目の砂は貴重になっており、現在は岩石を細かく砕いて製造する「砕砂」に置き換わっているエリアが多い。

 高い品質が求められ、大量に用いられる(生コン体積の3割超が砂)一方で、調達が困難となっている状況に、社会の闇が付け入る隙間が生じている。


 前段で「骨材」なる用語を記したが、そこへはもしかしたら「人骨」も混じっている…のかもしれない。






2020年11月15日 イイね!

共産

共産 公共放送・NHKラジオ第一放送の朝時間帯情報番組「マイあさ」内のコーナー「著者からの手紙」から、『垂直から水平へ。的場昭弘著「未来のプルードン 資本主義もマルクス主義も超えて」』に注目。

 元・経済学専攻の学生として、久方ぶりに政治・経済・社会を理解するに助けとなる重厚な理論に触れた思いである。


 的場昭弘氏は、神奈川大学副学長・経済学部教授の任にあり、マルクス経済学の研究家として知られる。
 多くの方は、既にマルクス・レーニン主義を掲げたソヴィエト連邦および東欧の衛星諸国が破綻、大陸中国やヴェトナムも経済面では資本主義化して隆盛を極める中、何をいまさら「マルクス経済学か?」とお思いだろう。
 冷戦終結を前後して学生生活を送った私も、大学の選択授業で「マルクス経済学論」があったのは記憶しているが、一切受講しないまま卒業してしまった。

 互いに核兵器を突き付けあい、不毛なイデオロギー論争に明け暮れた異常な対立構造がベルリンの壁と共に崩壊し、我々は平和でより良き世界へ足を踏み入れた、自由主義体制・資本主義経済の優位性が確定したのだと、誰もが思っていた。
 そんな状況下で、オワコンと化した「マルクス経済学」など顧みられようもない。

 通っていた予備校の政治経済の先生なぞ、「大学でマルクス経済学習うなら、いまからロシアへ亡命して革命を起こしてください」などと茶化していたのを思い出す。


 しかし、その後の社会・経済を俯瞰すれば、我々が勝ち得たはずの「より良き世界」が幻想に過ぎなかったことを、痛いほど思い知らされる。

 資本主義経済は飽くなき膨張を続け、グローバル化の果てに封建時代ですら無かった醜い格差社会を生み出し、大多数の人々が閉塞感に喘ぐ。
 産業が近代化する過程で生じた歪を解析し、その解決策を体系化したマルクスが生きた時代と比べ、何が違うというのか。むしろ経済の状況は悪化し、文明社会としては退化していないかとすら危惧する。

 その閉塞感打破のソリューションを探るに際し、改めてマルクス経済学を学び、エッセンスを汲み取ることは、決して無意味でも時代遅れでも、況してや反社会的な行為でもない。極めて有効な知的行動と心得る。


 まもなく大統領選本番を迎えるアメリカにて、臆することなく社会主義を標榜する民主党左派勢力が存在感を増している。
 これは、左右の別なくアメリカ市民の精神に根差す「自由への渇望感」と、国家や資本の支配から独立した自由な市民が主導する「下からの社会主義」が、深くシンクロしているからだと考える。
 このムーブメントを短絡的に「アメリカの共産化」などと評するのは、現職トランプ大統領の野卑な物言いに増して愚かしいことを、的場昭弘教授の研究が証明してくれよう。

 ルソーが定義するところの自然状態、もしくは唯物論における原始共産制においても「自由」は存在したが、トランプ大統領が「ファースト!」「グレイト・アゲイン!」と叫び散らかす「国家」は、後天的かつ人工的・便宜的に作り上げられたもので、人間にとって根源的な存在たりえない。


 我が国においても、マルクスの名を口にすれば脊髄反射的に、即ち自律的な思考や判断を経ることなく保守派からの苛烈な攻撃に晒され兼ねない。
 そのマルクスがライヴァル視したとされるフランスの思想家・プルードンの思索を辿ることで、左側からも右側からも手垢に塗れた「マルクス経済学」を超越し、誰も見たことの無い新たな領域に到達できるのでは、との期待が膨らむ。


 かつて戦乱や恐慌に直面し行き詰まった古典的な自由主義体制および資本主義経済は、部分的に社会主義・共産主義的な政策(ケインズが理論的支柱を建てた積極的な財政出動など)を導入し、命脈を保った。
 やはり行き詰まり感を否定し得ない現在、コンピュータや自動車の分野で生産体制の改革が進み、資本主義経済の貌を変えつつある。
 川上の資源から川下の小売までに関与して市場を独占し利益を揚げてきた大企業が衰退、代わって高性能の部品や独創的なソフトウェアの開発・製造・販売を手掛ける新興企業が台頭する中、大企業を頂点とする権威的・官僚的で硬直した垂直分業から、各社対等でしなやかな水平分業体制へのシフトが指摘されている。

 これは当に、冒頭インタヴュー記事のタイトル「垂直から水平へ」そのものではないか。


 リアルかつダイナミックな実経済が、生き残りを賭け我らに先んじてプルードンの理論を学習し、既に血肉としているのだとしたら、極めて興味深い。


 佳き書物の紹介に触れ、老いと共に冷めつつあった知的好奇心、或いは知性への敬意が、再び熱を帯びるのを自覚した。









 


Posted at 2021/06/15 21:55:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | オピニオン | 日記
2020年11月01日 イイね!

助舟

助舟 今日から11月。日曜日なので出勤はしないが、私は折り目がしっかりプレスされたスーツと、ピカピカに磨き上げたダンヒルの革靴を身に纏い、人影の少ない朝の四ツ谷界隈にいた。
 小学校受験関連のイベントがあるのか、いわゆる「お受験ルック」の親子が手を繋いで歩いている程度で、感染症の蔓延に慄く東京都心は、極めて閑散としている。

 我が身を振り返れば、スーツだけではない。
 いつもはカジュアルなカシオ・G-SHOCK(迷彩柄の英国陸軍コラボモデル)を愛用しているが、今日に限って高度なGPSソーラー機能を備えたシチズン・アテッサを着用。全く隙の無いスタイルを演出してみた。


 さて、そんなに気張って何故週末の四ツ谷?と問われれば、(以下限定公開)

プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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