メタル=ベアリング部分のクリアランスを測定するゲージです。この製品では精密には測定できないけれど、メタルやジャーナル部を傷つけることなくおおよその範囲で測定できるので、けっこう広く使われているようです。もちろんKFエンジンの修理書でもこれを使用してクリアランスを測定するよう指示されています。
測定用の目盛りが印刷された袋状の紙の中に、めちゃ細い緑色の棒みたいなものが挿入されていまして、ハサミで測定場所に必要な長さに切って、測定物に載せます(下写真の8番目と9番目)。手間がかかってめんどくさいですが、念のためこの作業をクランクシャフトを3分の1回転ずつ(120度)位置を移動させながら測定しておきました。そのため測定作業時間がかなりかかりました。
プラスチゲージが落ちないように、またオイル通路の穴の周囲を避けて設置し、締結の順番に従って規定トルクでベアリングキャップを締め付けていきます。またこの作業をされる方ならご存じでしょうがベアリングキャップの位置と向きも刻印されていますので、当然指定された場所に正しい向きで設置いたします。ちなみにカムシャフトのベアリングも設置場所と向きが刻印されていますね。
第10番目の写真に測定結果を判別するための写真を掲載しておきました。左右のプラスチゲージの潰れ方に差は無いようなので歪みはないようです。またプラスチゲージは落ちないように真上に載せたのでキャップ側の穴の周囲に潰れたゲージが付着していますが、ここからはオイルは噴出しないものの、ゲージのカスが残るとまずいので後で綺麗に除去しておきました。
で、ベアリングのクリアランスが広いとプラスチゲージがあまり押されないので、潰される範囲が狭くなり、逆にクリアランスが狭いとよく押し潰されてゲージが広くなります。ここの写真の例で行くとおおよそ0.035mm=35μぐらいのクリアランスでしょうか。
ダイハツのKFエンジンの修理書(2010年及び2013年式)によると、ここのオイルクリアランスの基準値は0.004~0.022mm、使用限度は0.060mmなので、測定値0.035mmはちょっとクリアランスが広がりすぎかもしれませんね。
使用回転数が高い軽四車のエンジンで30万kmも走ったのだから、見た目にはスラッジも汚れも無くピカピカなクランクシャフトだったので費用的な面で再利用したものの、やはりクランクシャフトのジャーナル部がわずかながら摩耗していたようです。
おそらくこのことが、このクランクシャフト以外は全て新品の部品で組んだのに、新車と同じような超静かなエンジンアイドリング音にならなかった主な原因なのでしょうね。まあ普通なら30万kmも使いオイル管理が悪ければ、ベアリングなど使用限度以上に摩耗しているのでしょう。
今回、親メタル(正確には、クランクシャフトベアリング)の厚みの選択は、単純にシリンダーブロックのジャーナル符号と(下写真3番目 2222)、クランクシャフトジャーナル符号を見て(下写真4番目 1112)、単純にベアリング符号3・3・3・4に相当する部品を選択したわけですが、もう一段分ぶ厚くした4・4・4・5(下写真7番目,最も分厚い5番でも4番からでは10μも分厚くならない)に変更しても5μほどしかクリアランスが狭くならないので、やはりクランクシャフトも新品にしておくべきでした。
とはいっても限度値まではまだだいぶん余裕があるので、トヨタ プレミオを買ったこともあり、もう廃車までこのまま使いきるつもりです。オイルパンだけ剥いでクランクシャフトが交換できる構造なら新品交換してもいいのだけど、CVTとの分離が必要なのでもうやらないつもりです。
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プラスチゲージ全体を写したもの。これ1400円ほどもしてビックリですが、お手軽に測定できるので購入。
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目盛り部分を拡大撮影。プラスチゲージはいくつか種類があるがこの品番が最も狭いクリアランスが測定可能。
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シリンダーブロックの端っこに打ち込まれている符号。新品のこのシリンダーの場合は2222と表示。
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今回再利用したクランクシャフトだが、ジャーナル符号はプーリー側から1112と刻印されていました。
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シリンダージャーナル符号と、クランクジャーナル符号、クランクピン符号を図示したもの。
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ピストンとクランクシャフトとを連結するコネクティングロッド。このピストンキットは全て2の符号でした。
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シリンダー符号+クランクシャフト符号=ベアリング符号から、3番を3つ、4番を1つ取り寄せ。
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新品で取り寄せた親メタルをシリンダーにはめ込み。どちらも新品なのでまばゆいばかりです。
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きれいに清掃したクランクシャフトの上に、緑色の細い線状のプラスチゲージ4つを載せました。
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前の写真を拡大した写真がコレ。オイル穴付近がキズ多数ですが、後でピカールで磨いておきました。
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測定したベアリングのうち1個を撮影。大雑把な値しか分からないものの0.035mmのようです。
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クランクシャフト側はこれで測定できるものの、親メタルの測定は難しく、実際に1個キズ付けてしまい交換。
購入価格 | 1,397 円 |
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入手ルート | ネットショッピング |
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