わもちゃんさんのインプレを参考に,オーディオ(FMトランスミッター使用時の雑音の低減)環境の改善を目的に,2週間ほど前に
シルキーユニット(静電気防止装置)を同行号に導入してみた。

残念ながらFMトランスミッター使用時の雑音には効果がないようだが,
スピーカーの音量レベルと解像度のアップは明瞭だった。しかも,メーカーのうたい文句や
わもちゃんさんの追加インプレとも同様に,
変速のスムースさや正確さ,エンジンレスポンスの向上(油脂類やフィルタを新しくしたときのような),
転がり抵抗の低減などが感じられる。
エキマニと触媒をPIPERから純正へ戻してから失われていた同行号の活気が蘇ってきたようで嬉しい。これらの点の他に,
エンジンブレーキがスムースかつ自然に効くようになり扱いやすくなった(メーカーの注意書きにあるような「エンジンブレーキが効かなくなる」という感触ではない)。同行号のがさつだった部分がまさに「シルキー」な上質さをまとったかのようだ。
燃費には目立った効果は見られていないが,デッドニングその他で車重が増すとともにすでに14万km近くを走行している同行号にとっては,カタログ燃費を維持できていることでも十分である。
何かが改善されると,今まで気にならなかったことが気になり始める(静穏化のときと同じだ)。
アイドリング時のエンジン回転の不安定さや振動だ。これは
エンジンブッシュを強化タイプに替えたせいで強調されてしまっている問題ではあるものの,これまでのアーシング,プラグやプラグコードの交換などで解消できていなかった問題だ。そこで,シルキーユニットとともに製造・販売されている
グランドブースター(プラグアース)に目をつけた。シルキーユニット同様に入手しやすいわけではなく,やや割高感もあるが,他に代わる製品は見つからない。原理や構造はシンプルだが,自作しても手間の割には安くは上がりそうにない。グランドブースターの旧版は某オクなどで安く入手できるようだが,ここは安さを求めず改良が加えられている
新グランドブースターを購入してみた。さっそく,取り付け(→
フォトギャラリー)。


取付後,まだそれほど走行を重ねていないが,
シルキーユニットを装着したときほどのインパクトは感じられない。
それでも,常用域での「シルキー感」が増していることが分かる。期待通りアイドリングは安定し,信号待ち中や走行中にアクセルオフするとエンジン音がほとんど聞こえないかのように感じられる。スピーカーからの音もさらにレベルが上がるとともにクリアになったように感じられる。駐車時にハンドルが軽くなったように感じるのは気のせい?トルクやパワーのアップは感じられないが,相変わらず転がり抵抗が減った感覚を覚える(タイヤの空気圧を変えたりエコタイヤを履いたときのような)。

今回のインプレは,プラグアース取付後の
脇町(徳島県美馬市)へのドライブからの感触で得た。
蕎麦好きの同行が知人から脇町にある蕎麦屋
楽庵の存在を知らされ,ここ2-3週間ほどずっと行きたかったのだ。ここ2-3日はひどく寒いので冷や麺の蕎麦はそう早くは売れきれにならないだろう・・・とタカをくくっていたら,たどり着いたときには(おそらく)売れきれで営業時間終了を待たずにしっかり閉店となっていた。残念。
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脇町には以前から訪れてみたい場所がもう一つあった。小劇場オデオン座である。オデオン座は楽庵の隣に位置している。

オデオン座の存在を知ったのは,山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」でオデオン座が舞台となったときだから,もう十数年も前のことになる。渥美清が亡くなって「男はつらいよ」シリーズを撮ることができなくなり,急遽この映画が作製されることになったというような記憶がある。当時は自分が最も映画にハマっていた頃で,小津安二郎の作品に衝撃を受け,邦画を積極的に観ていた。自分がつげ義春に最もハマっていた時期でもあり,ちょうどその頃の第?次つげブームに大きく貢献したと考えられる竹中直人監督作品の「無能の人」が発表された数年後だったと記憶している。

「無能の人」に続く竹中作品「119」には,小津作品をオマージュとしたかのようなシーンが数多く含まれていた。自分はさらに竹中の次作「東京日和」をリアルタイムで観ようと追いかけた。北関東に住んでいた当時,「東京日和」の上映館は少なく,けっこうな距離と時間をかけて茨城県の霞ヶ浦湖岸にほど近い土浦市というところまで「東京日和」を観に行った。やや記憶が曖昧なのだが,現在は取り壊されているらしい旧市街にあった霞浦劇場という映画館だった。


「東京日和」という映画はとくに話題になるような映画ではなかったが,自分好みの映画だった。この作品以上に強い印象を覚えたのは,古き良き時代の映画館を彷彿とさせる霞浦劇場の木造の建物だった。外装は戦後間もない頃の工場か倉庫のようにも見えるのだが,建物の中はイタリア映画「ニューシネマパラダイス」中に登場する「映画と映画を観る行為へのオマージュを表すための映画館」を想起させてくれるものだった。自分は作品の内容以上にそのような映画館を見ることができたことにコーフンした。
映画を見終えてからも劇場内を探索していると,壁に過去の名画のポスターに混じって最新作や次期上映予定の作品のポスターが貼られており,その違和感のなさにまた感心した。当時の次期上映予定の作品のひとつが「虹をつかむ男」だった。しばらく後で観た「虹をつかむ男」は,「男はつらいよ」に限らない日本映画へのオマージュとなっており,竹中作品よりも直接的に小津作品の名シーンや台詞を劇中に引用していた。それと同時に「ニューシネマパラダイス」へのオマージュともなっていると感じた。自分は「虹のつかむ男」に登場し,日本のどこかに実在するというオデオン座に関心を持った。しかし,当時はオデオン座はどこにあるのか全くイメージがつかなかったし,オデオン座のある地名を聞いても自分が一生行くこともない遙か遠い小さな町にあるようにしか思えなかった。

「東京日和」は当時交際していた女性と観に行ったのだが,いま思うとそれが「最後のデート」だったような気がする。夫婦の絆を示した「東京日和」を観た直後なのにもかかわらず,なんとなく白けた雰囲気で彼女と食事をしたときの雰囲気はいまでも鮮明に思い出すことができる。あのころ自分が映画にハマっていたのも,その女性と疎遠になっていたことが大きな一因だったと思う。
そのあと自分は日本の何カ所かを転々とした後,四国に住むようになった。四国に住んで数年,オデオン座の前を通ることはあっても直接足を向けることはなかった。しかし,この数週間の間にいくつかの偶然が重なり「オデオン座に行きたい」という気持ちになることができた。いくつかの偶然については,いつかまた書いてみたい。
Posted at 2009/12/20 23:33:23 | |
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