昨日、NDロードスターを試乗してきました。
バイパスと、ワインディングを半々くらいのボリュームで走りましたが、良さも悪さも見えたので思ったことを。
キーを手に取って、車を探しに行くと、あるはずの場所に車がない!
どういうことかと思ってうろうろすると、手前に停まっていたISの陰にすっぽり収まっていて見えていないだけでした。
何とも小さい車です。乗る前から気分が高まりました。(笑)
乗り込むとエンジンのスタートスイッチがステアリングの左にあり、
これは好みの問題ですが僕はドアを閉めた手でそのままエンジンスタートさせるという一連の動きに慣れているので勝手に煩わしさを覚えました。
車によってはエンジンかけてすぐにシフトレバーに手が移動するという思想ですが、
個人的には右側にスイッチがあればシフトレバーを握りながらエンジン始動できるので、、、
脱線してきたのでヤメます。(笑)
走り始めると、視点が低くてノーズが長い独特のプロポーション通りの取り回し感ですが、
BMW Z4と比べるとすぐに慣れるレベルで特に違和感はありません。
慣熟走行しながらバイパスへ向かいます。
A/Tはベースが86,BRZのA/Tと同じなので、
フィーリングは普通。メーカーが「車への搭載要件を満たすA/Tがこれだった」と明言するくらいなので、特別なA/Tを乗せるつもりは無かったと思われます。
ただ、パドルでダウンシフトするときにブリッピングしたり、
86にはないアイドルストップに対応するなど、部分的な刷新は図られていて現代の車らしさは感じさせてくれます。
走り始めると、さっそくそのアイドルストップが作動。
これは結構いいと思います。特に違和感なし。
高級車のアイドルストップと比べると少し見劣りするフィーリングを見せますが、
軽自動車のアイドルストップと比べると上質と言っても差し支えなく、
長距離ドライブの強い味方になりそうな気がします。
バイパスに乗って、前後を確認して加速したり減速したりしながら変速させてみると、
そのブリッピングが結構気持ち良く、スポーティな印象を受けます。
パドルを連打して2段落とそうという操作にもそこそこ追従するのでストレスを感じません。
スポーツモードがあるので今度はそれに切り替えてみると、
同じアクセル開度でもノーマルモードよりも高い回転数、すなわち低いギヤ段で走行するようになります。
低い回転だとやっぱりパワーが出ないですから、再加速のレスポンスを高めるためにパワーが出ない低回転は使わないという思想ですね。
まぁこの辺りはスポーティな車のA/Tでは普通です。
ここでDレンジのノーマルモードに戻して、キックダウンを試します。
キックダウンとは、アクセルを一気に踏み込むことで低いギヤ段に変速し、
滑らかな加速を行うためのA/T制御です。
A/Tのロードスターにはキックダウンスイッチがアクセルの後ろに設けられていて、
そこまで踏み込むとダウンシフト、その一歩手前で止めるとむやみにダウンシフトせずに加速するという使い分けができます。
キックダウンさせるかさせないかを明確にドライバーが選べるのは◎ですね。
シフトチェンジってマニュアル車のものと思われがちですが、
A/T車にはA/T車なりのシフト操作があり、Dレンジではアクセルでシフトコントロールすることになるので使いやすいことは良いことです。
というわけで、アクセルオフから一気に全開まで踏み込んでみると。。。
全っ然前に進みません。。。(^-^;
正直がっかりな挙動です。
多分、パワーがないからとかそういう次元ではないと思います。
ダウンシフトして駆動力が発生するまでは1拍、いや2拍以上遅いんですよ。
さらにダウンシフトしてからもパワーバンドに入るまでタイムラグがあるので、本当に駆動力が遅れて遅れて発生する感じ。これは慣れないと思いますよ。
ならばダウンシフトさせずにそのギヤ段で加速してみようとキックダウンスイッチの手前まで踏み込んでみると、これはもう1.5LのNAなので大した加速は出来ません。
普段乗っている車が3.5Lなので、そのフィルターは外して考えないといけないとは思いますが、
ここまでもたつくと、車が軽いというメリットを体感できないんですよね。
ギヤ比がダメなんじゃないかと思ってしまいます。
ということでギヤ比を確認すると、ファイナルが4.100らしいですが、これってマークXの2.5L車と同じギヤ比と言うことですから、1.5LのNAエンジンの車に使うギヤ比じゃないですよ。正直。
ここまでがバイパスの走行で見えた良さと悪さ。
もしや自分の理想が高すぎるのか・・・?と葛藤。(笑)
多分ですが、この調子だと中間加速についてはM/T車のほうがかなり優れていると思われます。
気持ちが折れてきたところでワインディングに到着。
今度はスポーティな車として欲しい性能を確保できているかの確認です。
車の基本は走る・曲がる・止まるだと言いますが、
この3拍子が揃っているのはスポーツカーでは当然のこと。NDロードスターはどうでしょうか?
まず走る(加速)はさっきの感じだと、少なくともA/T車は足りていない感じでした。
では曲がるはどうだったかというと、これは◎にまでは届かないまでも、○くらいの性能は感じられました。
真っ直ぐ走っていた時は感じられなかった車の軽さも、曲げてみると軽い車の挙動です。
正直
DECK号に乗ったことがあるので、素のロードスターに乗ったら何をどうやっても絶賛する気にはならないんですが(苦笑)、
それでも走る楽しさを味わうにはまずまずの操縦性だと思います。
ただ、ステアリングから感じる接地感が乏しいというか、一つ間違うと吹っ飛んでいくんじゃないかという不安が消えない感触だったので、
これはタイヤのグリップがおそらくイマイチなんだと思います。
タイヤを見たら僕の嫌いなAD●AN sport V105でした。残り溝はありましたが(爆
軽いので多分そんなにタイヤに厳しくないですし、ZII☆やNEOVAあたりをチョイスしたほうが気持ちよく走れそうな気がしました。
少しペースアップしてみるともう一つ気になるのがブレーキ。
ストロークが深く、すぐにフェードしそうな気配を感じるのでこれを信用して気持ちよく走るというのは不可能です。
この日の僕はブレーキを踏んで走る気を多少なりとも削がれました。
軽い車のはずなのに、思ったように止まらない。これはちょっと、勿体ないですよ。
加速の時も思いましたが、軽い車にはモッサリ動いて欲しくないんです。
シャキシャキ走ってほしい。なのにシャキシャキ走れない。。惜しい。
好みの方向性が違うのできっと買うことはありませんが、僕がNDを買ったとしたら多分最初に変えるのがブレーキだと思います。だって、それだけで車に対する信用度が格段に上がって楽しく走れそうですから。
また、ワインディングを走るとここでA/Tのことが気になり始めました。
3-2のマニュアルダウンが一拍遅い。
コーナー進入時、ブレーキングをしながらパドルを叩くのですが、
期待したところで変速が開始されず、違和感。。。
2↔3,3↔4といったところはスポーツカーの変速の要ですから、ここを真面目に作らないと本当に陶酔できない車になってしまいます。
陶酔したければM/Tを変えとか、ボクスターにしろとか何とでも言えますが、
ロードスターを手に取った人はロードスターに陶酔したいはずです。
なんかモヤモヤです。。。
さて、ここまでいろんなことを思いましたが、
結局買ったユーザーが満足出来れば商品としては成功ではないかと考えると、
そこは◎と言って良いと思います。
何といってもオープンカー。
この価格帯で買える、普通車のオープンカーが他にあるかという話。
ライバル不在ですから、車のパッケージングが自分のニーズに合うのであれば何も他と比べることはありません。買えばいいのです。
買って不満が出れば、あとは弄れば良いので、ノーマルの性能がどうだという議論はこの手の車ではあんまり意味がありません。書いておいてなんですが。(笑)
マークXだって、ノーマルではただ快適なだけで走って楽しいだなんてアクセル全開にした時以外感じませんでしたからね。どこがスポーツセダンだと。(爆
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おまけ
加減速で感じたモヤモヤの検証のために、昨日の夜にマークXに乗って来ました。
やっぱり、アクセルに対しては期待通りの駆動力が、ブレーキに対しては期待通りの制動力が発生します。
思うに、人馬一体とはただ車が軽くてキビキビ走ればいいだけではなく、
ドライバーがこうしたいと思った時に車がその通りついてきてくれて初めて達成できるものです。
そういう意味では、NDはノーマル状態では人馬一体とは程遠く、
ユーザーがポテンシャルを引き出すための努力を注いで、人馬一体に近づけていく中で楽しみを感じる車なのかなと想像します。
そのベースとして、軽いということは最大のアドバンテージであると。そんなことを考えました。