仕事で機会があって、GRスープラで一日ドライブに行ってきました。
(写真は
公式HPより)
グレードはSZ-R。2.0Lの直4ターボエンジンです。
やはりBMWが開発しているというところでオーバーオールでは良い車になっていましたが、ちょっと細部がイマイチというのが本音。
各ジャーナリストが「良いね!」と言っている部分は確かにその通り良かったんですが、言及されていないところで「え??」っていうところがちらほら。
褒めて終わったほうがいいので、不満⇒満足の順に書きますね。(笑)
不満から書くと、一番ダメだったところはエンブレの弱さ。
マークXに乗っているとエンブレの弱さ&遅さに物足りなさを感じるケースがあるんですが、スープラのエンブレはそれ以下でした。
アクセルを抜いて、緩減速しようとしても車が滑走していってしまう。
高速道路で前方が渋滞してペースが落ちるようなシチュエーションで、
フットブレーキを踏まないと車速合わせが出来ない。
はっきり言ってエンジニアに「本気で作った?」と問いかけたくなります。
まぁ、効率のいい(つまり内部ロスの小さい、つまりエンブレが効きにくい)4気筒エンジンですからエンブレが効きにくい(マークX以下)というのはまだ物理現象として納得して、
ならギヤ比で補えと思ってダウンシフトでエンブレを使おうとすると・・・
ノーマルモードのダウンシフトのレスポンス悪すぎなんですよ。
そこに、8段A/Tなので「変速しまくらないと」欲しい減速度が出ないというスパイラル。うーん、、、
スポーツモードに入れると一転して、文句なしと言えるくらい変速は速くなり、
エンブレもノーマルモードよりはわずかに効くようになるんですが、
代わりにシフトマップがやけに尖った設定になってエンジン回転をかなり高く保つんです。
これ、「ガンガン走りたいとき」は良いんですけど、高速道路をこれで走る気にならないってくらい回転高いんです。
どのくらいかって、ボトム2000rpmですよ。2000rpmまで下がるとダウンシフトして2500rpmくらいまで回転が上がります。
ただクルージングしたいだけのためにこれだけ回転高かったらうるさいし、燃費も悪いですよね。
というか、スポーツモードでエンブレ効くならノーマルモード(せめてパドルでギヤを落とした時くらいだけでも)も効かせたらいいのにと思います。
ドライブモードの話になったのでドライブモードの話。
モードはなんとNORMALとSPORTのみ。
NORMALはBMWでいうところの「ECO PRO」みたいなモードです。
つまり、ECO PROかSPORTかの2択です。
BMWって、ECO PRO、Comfort、SPORTみたいな、
名前は忘れましたけど確か3種くらいありましたよね。
それと比べると1つ少ないです。
SPORTはダンパーやステアリング、シフトプログラムと個別設定が可能で、
これがあると結構自由がききそうな気が一瞬しましたが、
この「回転高すぎor変速遅い」の2択は解消しません。どちらも「トランスミッション制御」の一括りだったからです。
どうしてレクサスみたいにノーマル、SPORT、SPORT+と「中間」を作らなかったのか。
中間があったら、シフトマップはノーマルで、変速のさせ方だけアグレッシブという設定をすることが出来ます。
そしてそういうバランスのいい設定こそが普段使いでスポーティさを感じたい、多くのユーザーにベストマッチする設定では?と思います。
変速だと分かりにくいかもしれませんが、
別の例で話をするとタイヤがそうです。
グリップしないエコタイヤは嫌だけど、ロードノイズがうるさく、摩耗も速いハイグリップタイヤまで尖ったものは要らんという人が「プレミアムスポーツ」というバランス重視のタイヤを買うわけですよね。
スープラのモードセレクトには「プレミアムスポーツ」が無いんですよね。
こういうキャラクターづくりのところって、法規だとか開発上の背反があるのは僕も知っていて、
「趣味」の範囲を超えないように書いているので詳しくは書きませんけど、
ここは拘らないと、趣味車でしょ??という感じです。
と言ってもこれで売られてる以上仕方ないので、
どうしようかというと硬いエンジンオイルを入れてやれば
多少はエンブレを強くすることはできます。
新型スープラを気持ちよく乗るにはまずそこだと思います。
(もし乗られていて不満な方がお見えでしたら0W-40とか0W-50とか後ろの数字が大きいエンジンオイルを入れてみてください。)
RZならまだエンジンが6気筒だから、
乱暴に計算すれば1.5倍はエンブレが強くなるのかな?気になりますね。
そしてアイドルストップの入りが速すぎて、
信号とかで止まるときにブレーキの抜きをコントロールしていると、
車がエンジンを切りに来る。
これはスープラ乗る人だったらアイドルストップOFFボタンを押すだけなので、
エンブレと比べるとまだ目を瞑れます。が、こんなのエンジン切るタイミングの制御だけの話でしょ?と思うので強く指摘したいです。
だって、ブレーキを普通に踏んで止まるだけなのに車がぎくしゃくするなんて、
600万、700万の車であり得ます??ってことなんですよ。
こういうのを体験すると、
「BMWさん、、、わざとなの??」
と憶測が・・・
Z4がどうなのか気になります。
Z4が別物だったらわざとですよね。(苦笑)
次のマイナーチェンジできちんと直ってくるかが注目です。
トヨタの開発の方々自身、実際の道でさらに走り込んで色々思うんじゃないでしょうか。
他メーカーと提携で車を作るっていうことは難しいんでしょうね。いろんな意味で。
不満から書き始めてしまいましたが、ちゃんと褒めて終わりますよ。(笑)
ドライブはワインディングにも行きました。
スポーツモードで走るとこちらはとても気持ち良く走れました!
そこまでグリップの高くないタイヤでもきちんとイメージ通りに走ってくれますし、ショートホイールベースのお陰でRの小さなコーナーも楽々です。
高速道路で不満に感じた変速も、スポーツモードで、特にアクセルをきちんと踏み込んだ状態でのアップシフトは抜群のシフトフィールですね。
こういう姿を感じればようやく「スポーツカーだ!」と気持ちも高揚してきます(^^)
SZ-RのエンジンはマークXの2GRエンジンよりもパワーは無いですが、
タイムアタックでもなければ十分に気持ちのいい加速をしてくれます。
良いですね。
ブレーキも、キャリパーは普通ですがペダルタッチがカチッとしていて、
きちんと踏力に対して制動力がついてくるフィーリングで非常に良いです。
ここにレーシングキャリパーを投入したらもう間違いなく最高でしょう。
音も心地よく作られていて、ただ普通に走っているだけでずっと気持ちいいんですよね。
音の気持ち良さって、スポーツカーにとって一番重要なことだと思うんです。
質のいい音、とまで言ったら多分ほめ過ぎですけど、
トヨタ車でこういう感覚が味わえるのはもう最高ですね。
総評としては、「買いたくなるクルマ」だと思います。
この車に乗って「これは要らない。ダメだ」という人は舌が肥えすぎている人だけでしょう。(笑)
しかし買いたくなると評せるレベルであるがゆえに、
ダメなところは大きな不満になりますからメーカーはその責任を感じながら作りこんでほしいですね。
ユーザーは、開発者が開発中に乗る時間の何倍も長い時間、
その車に乗って味わい続けるわけですよ。良いところも悪いところも。
長く乗ると、良いところは慣れて、悪いところは目立つようになる。
名車になれるかどうかは、長く乗って愛着が続くかどうかで決まると僕は思います。
90スープラがきちんと名車になるかどうかはマイナーチェンジで悪い部分を
丁寧に直すかどうかだと思います。
ちなみに脚とブレーキはチューンドマークXのほうが遥かに上でした。
僕はまだまだマークXで行けますね。(笑)