
私は前原さんや、あるいは民主党に対して、好きとか嫌いとか感情的なものはモチロンあります。政策的にもタカ派的言動を無視するわけにはいきません。でも、そうしたアレコレのことを横において「日本名で暮らしていた在日外国人による無知で善意からなる個人献金」に対して、ことさら前原氏を批判し辞任に追い込もうとするのは、あまりにも乱暴すぎやしないかと感じています。
確かに日本国籍を持たない個人が献金できないとしている法に反しているのは確かです。ならば返金して謝罪すればいいのではないでしょうか。自民党の議員だって「僕も知らない間にもらってるかもしれない」「ひとりひとりにあなたは日本国籍ですか?などと聞けるわけがない」と言っているわけですから、実態を見ればカンタンにその場で見分けられないのは明白です。
ならば、とりあえずは外国人は献金できませんというキャンペーンをはりながら、今後については禁止のままでいくのか、緩和するのかについては論議をすればいいではありませんか。そのくらいで収まる問題であることを充分わかっていながら悪態をついて「辞任しろ」と迫るのは、むしろ大人げないのではないでしょうか?
だいたい個人が献金できる額なんて多くて150万円、複数献金しても上限1000万円でしょう?国民ひとりひとりがこの国の「主権者」であり、「ひとり1票」とされている国=民主主義国家だからこそ、個人献金が日常的かどうかで民度が計られると私は考えています。私なんてひとりで1000万円どころか150万円だって献金することはできません。せいぜい1000円程度ではないでしょうかね。
個人の願いは小さくても1票1票が集まって当選させる力になる。同じように個人の献金額は小さくても1円1円が集まってその政党の運営が支えられる。個人という単位で成り立っている国だからこそ、個人献金は最大限尊重されなければならないし、個人献金がわいろ性をもつことはありえないのです。もし、ワイロになるような多額の献金をある特定の個人がもっていたとしたら、危険を冒してワイロを渡すより、そのお金を使って自ら政治団体を立ち上げるなり、民主党みたいに候補者の募集に手をあげたほうが簡単ですからね。
アメリカではネットで献金ができるようになっていますが、わざわざ国民番号を打ち込んだり、指紋を照会したりなんていう面倒くさいことはしません。そもそも人種のるつぼと言われるアメリカでは、移民もいれば、難民もいれば、不法滞在者もいるわけで、はっきりいって国籍をもっている人が誰かなんて分からないほど曖昧な国なんです。おそらく外国人の献金はアメリカでは禁止はされていません。また、一応形だけですが、アメリカでは企業献金は禁止ということになっています。よくも悪くもアメリカというのは大らかな国なんですね。
その意味では、日本で働き、所得税を納めている人ならば、日本を支える事業に貢献しているわけですから、選挙で投票する権利と献金くらい保障すべきだと思います。なんか、どっかの国に乗っ取られる形式のバカらしい論調にネットが侵されていますが、疑心暗鬼になってレッテルをはることばっかりやっていると、そのうち思考が北朝鮮みたいになってしまいますよ。こういう時こそ「個人とはなんぞや」という原点に立ち返って考える必要があります。
さて、個人献金より企業・団体献金が禁止されていないことの方が、私は問題だと思うのですが、どうでしょうかね?だいたい企業がワイロ性のない献金をしないはずがないんです。それが西松建設であり、これまでのリクルートやロッキード事件であり、佐川急便事件だったではないですか。「社会的存在だから、企業献金は社会貢献になるんだ」という人がいますが、献金する金があるなら自分の会社の非正規労働者を正社員として雇ったり、給料を上げたりしたほうが、ずっと社会貢献になります。
だいたい、企業が献金したその金は、本来ならば従業員の給料になるべきお金であり、株主に配当されるべきお金のはずです。従業員も株主も「この企業は民主党に献金しているから就職しよう、株を買おう」などと思っているわけではありません。ひとりひとりが支持政党が違うのです。従業員や株主など個人の思想信条の自由を無視して、お金を政党に献金することこそ金の無駄遣いです。
そもそも社員や株主のお金を使って献金をしたのであれば、労働組合や株主総会で「我が社はこれだけの献金をしたことにより、今年度○○○○億円の公共事業を受注し、利益が上がりました。よってみなさんの給料や配当を上げることができます」と報告しなくてはなりません。ところが企業・団体献金はワイロであってはいけないわけですから、お金を渡して仕事を増やしてはいけないんです。ならば、従業員にも株主にも「私たちの企業は、なんの利益にも結び付かないお金を勝手に献金しました」という説明しかできないわけです。
同じ理屈で政党助成金も個人の思想を曲げるものです。有権者は支持もしていない政党に助成金をあげるために税金を払っているわけではありません。ましてや、在日外国人は投票もできないのに強制的に献金をさせられていることになります。ね、おかしいでしょ?個人とお金の関係をしっかり整理し、哲学をもって自主財源を使い、企業団体献金も政党助成金も受けとらないのは日本共産党だけです。その意味ではこの党は極めて近代的な政党だと言えます。
ところで、2年半前に当時の麻生政権は民主党と結託して外国資本の企業からの献金も合法化してしまいました。経団連会長を排出しているキャノンが外資だったことから、「それはまずいだろ」のひとことで決まってしまったのです。あの~、そのうちハゲタカファンドなど、どこの輩かわからない外資企業の献金によって政治が曲げられてしまう危険の方が在日外国人の個人献金より何万倍も大きいと思うんですが、そう思いません?
前原氏が辞任すべきかどうかで傷に塩をぬるような泥仕合をしているのは、なにより国民不在だと言わなければなりません。それより小沢さんや自民党の先生も含めて、政治とカネの問題をどう解決すべきか、いつまでも逃げ回って宿題にしてないでさっさと論議をして結論を出すべきではないでしょうか。
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2011/03/06 16:19:24