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こんにちは。今日はぐんと冷え込んだ大阪。そろそろ秋から本格的な冬へと向かっているようです。

暦が一日進んで「今日から12月ですよ～」となった途端、お歳暮だ、クリスマスだ、年末だ、大掃除だ、年賀ハガキだ、決算だとザワザワそわそわするのは毎年のこと。それでもこの落ち着かない、浮き足立った、どうしても平常心ではいられないのは仕方のないことなのでしょうか？

もしテレビも新聞も携帯電話もパソコンもコンビニもない、雪に閉ざされた山小屋に住んでいたら、ゆっくりした時間を過ごせるでしょうか？




それでも今年は総選挙がありますし、いろいろ考えて投票所に行くことになります。そもそも3･11以来、人と人との関係の中で生きている以上、この世で起こっていることから目を背けられないことに多くの人が気づいてしまいました。

地球の回転、月の回転、太陽の回転、その連続性・関連性に影響を受けながら、動植物たちは生きてきましたし、人間はそれを文化（宗教や科学も含めて）として咀嚼し、昇華し、活かしてきたのだなとつくづく思います。だから1年が終わって正月がくると、何も変わっていないのに何か新しいような、リセットされた気分がする…というのは、よくできたシステムなのだろうと思います。できれば政治的にも新しい気分で新年が迎えられるようにしたいものです。







私が鬱病になって（なっていたことが分かって）この12月で丸2年を迎えました。その療養生活の糧になってきたのが文庫本です。恋愛小説、青春小説、ミステリー、サスペンス、時代もの、エッセイ、自伝、ホラー…。いろいろ読んでみて、それぞれ面白いのですが、一番気持ちにぴったりときたのが昭和の文豪のひとり、井上靖さんの自伝的小説です。


井上さんは、伊豆の山奥で育ち、その後、新聞社で働く傍ら小説を書くようになっていくわけですが、少年期・青年期の経験をベースにした小説は、その時代、その町、その少年の気持ち、ひとつひとつの描写が手に取るように分かるのです。色や香り、音や手触り、体温や風までがつたわってくるかのような丁寧な表現は、心にジワーッと広がっていきます。


そうした小説の中で、なかなか見つからなかったのがこの「北の海」です。戦争のきな臭い匂いが少しずつ迫るちょっと前の時代。高校受験に失敗した主人公が送った青春の日々を描いたものです。アマゾンで買っても良かったですし、大阪市内にいけばすぐ見つかったのかもしれませんが、「待っていればいつか出会うだろうな」という気がして、無理して探しませんでした。するとこの前、ふと立ち寄った古本屋の棚に納まっているのを見つけたのです。


これを毎日、少しずつ行ったり来たりしながら読み進めていくのが楽しみなんです（私は異常に読むのが遅いです）。うつ病記念日にぴったりのプレゼントでした。