
読売新聞社が21~22日に実施した全国世論調査(面接方式)で、社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げが「必要だ」と答えた人は63%に上った。
ただ、消費税率を政府・与党案通りに「2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるべきだ」と答えた人は16%にとどまった。多くの人は引き上げの必要性は認めながらも、近い将来の増税については慎重に考えているようだ。
少子・高齢化によって、今の社会保障制度を維持できなくなるという不安を感じる人は93%に達した。
制度の水準を維持するために「税金や保険料が今より高くなっても構わない」との答えは37%で、「今より高くならないようにすべきだ」の31%をやや上回った。負担増を容認する人が多数なのは、制度の将来に強い危機感があるためとみられる。
■消費増税は「必要」63%…読売世論調査
(読売新聞 - 01月28日 22:08)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1894292&media_id=20
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まず、消費税をあげる理由としてわざわざ「社会保障制度を維持するために」と言い添えて聞けば「そうだな、福祉を充実させる財源ならば…」と考えて賛成を選びたくなるのは当然です。 これは意図的な世論操作だと言えます。「消費税は必要だとみ~んな思ってるんだよ~」と宣伝したいわけです。
もし「これまで消費税の実施時にも、税率を上げた時にも一度もみなさんは選挙で信を問われていませんが、今回も選挙前に消費税を10%にあげるということには賛成ですか?」という聞かれ方をすれば反対がほとんどを占めると思います。
その下に書いてあるように、「少子・高齢化によって社会保障制度が維持できなくなると不安になる」心理をうまく利用して消費税をあげようとするわけです。
しかし、消費税は社会保障制度を維持するためには使われません。道路特定財源のように「特別会計」に入るのではなく、一般財源に投げ込まれてしまい、どこから入った分の税金なのかは見えなくなってしまうからです。
また消費税は「平等」という論調が未だに振りまかれており、そう信じている人もたくさんいますが、これほど不平等な税制はありません。
【消費税は平等だし必要だと考えている貧乏なAさんの場合】
急な出費をしない場合でも、家計というのは食べる・着る・住む・移動する・教育を受ける・医療や福祉を利用する…など生きるために最低限のお金を必要とします。 たとえば、ここに裕福ではないある人=Aさんが住んでいたとします。
生きるために必要な最低限のお金をAさんは年間200万円かかるとしましょう(その際、収入に対する住民税や所得税、年金や医療保険のお金は横に置いておきます)。Aさんは50代、大手電機量販店のパソコン修理の請負業者をしています。心臓に病気があり、定期的に通院していますが、それほど重くないので障害・介護認定基準は満たしていません。中学生と高校生の子どもがいます。ローンで小さな中古住宅を買いましたが、その後離婚して父子家庭です。
ちなみに、この200万円には「たまには旅行でも行こう」とか「エアコンを買い換えよう」とか「パチンコにいこう」とか「車を買い替えないと」とか「回転寿司でもいこう」とか「子どもの誕生日にプレゼントを買おう」とか、「お年玉をあげよう」とか、「お葬式があるから香典を包もう」とか…そんな最低限の文化的・人間的?なお金、ささやかな願いを叶えるお金の余裕はいっさいありません。
それでも生きるために200万円使えば、それだけで消費税5%、10万円が税金として払わなければならない。つまり200万円ないと生きられないのに190万円しか実質使えないということになってしまうのです。あとは体を壊すなり、飢餓になるなり、冬場は低体温症になり、夏場は脱水症状と闘いなら運に天を任せよということです。
こんな生活でもAさんは「消費税は平等だから仕方がないよな~。でも10%になったら医療や福祉のお金が安くなって楽になるかも…」と思っています。ところが現実は違います。200万円の収入のうち10%、20万円の消費税が取られるようになって、180万円しか使えず、Aさんの命は更に縮まります。病院の診察料も薬代もなぜか下がりません。福祉を利用しようとしても、まだ介護を受けるほど病気が重くなっていないので使えないと言われました。障害者手帳ももらえないので障害年金ももらえないということです。
先に希望の見えなくなったAさんは生活保護を申請しようとしますが「もち家があって、仕事についているのだから、もう少しがんばって、お金がなくなったらきなさい」と断られました。タバコも酒もパチンコもやらず、少しでもお金をためて娘の学費にと思っていましたが、そのお金さえも認めてもらえず、断られる理由になりました。
【消費税など考えたこともない年収5000万円のBさんの場合】
この人は、自分は平均的な人間で富裕層ではないが中間層だと思っています。会社の役員をしていますが、それなりに苦労もし努力もしてきたので、これくらいの収入をもらっても当たり前だと思っています。月一回の役員会に出るのと、時々かかってくる電話での決済くらいが仕事です。今は投資に夢中になってスマホでチェックの毎日です。税金関係は知人の会計士に納入作業もしてもらっているので、詳しくは知りません。株取引や先物取引をしていますが「減税措置があるので心配しないでください」と会計士からは言われています。
よく外食をするし、部下を連れて他企業の役員さんとゴルフにもいくし、外車は3年に一回は買い換えるし、家族旅行にも出かけます。この前はドバイまで旅行を兼ねて別荘を探しにいきました。夜はギャンブルに繰り出し、3万ドル近く負けましたが次は取り返せばいいやと思っています。もう少し先物取引でうまくやれば年収1億円の仲間入りも夢じゃないと思っています。
「消費税が10%になる」とニュースで聞きましたが、中間層・富裕層への軽減措置が作られるとのことなので、影響はないようです。海外に進出しているので、海外で売った分の消費税は国から戻ってきています。おそらく国内で消費している自分のお金は年間1000万位です。これまで50万円ほどの消費税を国に払ってきた計算ですし、10%になれば100万円の消費税を払うことになります。それでも1000万円のお金のうち900万円は使えるわけですし、あとの4000万円もあるわけですから自分にはなんら関係ありません。
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このように200万円使って20万円の消費税を払い、180万円でやりくりしなければならないAさんと、1000万円使って100万円の消費税を払い、900万円で生活するBさんのどこが「平等」なんでしょうか?
平等なのはひとつ「税率」だけです。
生活の苦しさ、文化的な生活は「平等」ではないのです。
「いやいや、年収の多い人はそれだけ努力した人だろう」と言う人もいますが、「努力して成功する人もいれば、そうじゃない人もいる」「お金にならないのに、他人の笑顔のためにもっと努力している人もいる」そういう人がいることを考えれば、お金の大きさで人の努力を計ることはできないのは明白です。
そのほかにも、税制や雇用、労働・社会保障制度の不平等、国としての経済民主主義の未熟さ、それを支える哲学としての憲法論、欧米諸国の政策の成り立ちの違いなど、言いたいことはたくさんありますが、その点は学者さんがもっと分かりやすく書いてくれているとおもますので(要は面倒臭くなった)割愛します…笑)
要は騙されるな…ってことですね。 おわり。
Posted at 2012/01/29 11:55:12 | |
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