その6はこちら
だらだら続いてる布教活動、終わる気配がないけど続けるよ~。
さて、サーキットにどっぷりつかってしまった方へ、これから始めるRX-8のサーキット向け車作り、今回は足回りとホイール編です。
RX-8でより楽しく走るために手を加える場所の代名詞です。
・足回り
足回りというと、車高長は何が良い? とか、車高は? バネレートは? という話が良く挙がりますが、それらを行う前にまずは・・・
・アームのリフレッシュ
RX-8の神髄である足回りのうち、サスペンションアームのブッシュ類は経年および走行で確実にへたります。RX-8はアーム配置が良いだけでなく、ボディ剛性が高いので、ブッシュ類を新品に買えるだけで乗り心地が新車並みに戻ります。正直言って、
80,000km以上走行している車や、既に10年以上経過している前期型で一度も変えていない場合は、新しい部品を入れる前にアーム類を新品にすることがオススメです。古いアーム・ブッシュに車高長を入れた場合より、新しいアーム・ブッシュに先に変えた方が、絶対楽しい車になります。全アーム交換で車高長が買えるくらいの値段がしてしまいますので、一度に全部ではなく少しずつでも良いかと思いますが、
全部交換しきったときの効果は絶大で、街乗りでもサーキットでも楽しさ256倍(当社比)になります。
Q:他車のようにブッシュだけ変えられないの?
A:残念ながらブッシュの構造上打ち替えができない理由で、ブッシュ単品で部品設定されている箇所がごく一部に限られるため、基本的にはアームごと交換になります。
使用する部品は純正で十分ですが、リアのトーコントロールリンクのみ車外のアームを使用することを好む方もいます。
アームをそのままにピロボールブッシュに変える手もあります。フロント側は好みによってピロボール化しても良いとは思いますが、リア側ピロボール化は、車の挙動が早くなりすぎて制御が難しい車になりがちになるので、オススメしません。
・アライメント、車高
より楽しく、より安全に走れる車にするためにも、
今までアライメントをとったことがない場合はとっておきましょう。アライメントをとっただけでグンとタイムが伸びた例も知っています。
私は1年に1回は測定してもらい、それでズレていたとき、または足回りの大規模整備を行ったときに調整しています。
RX-8の場合、マツダのスポーツカーの伝統で、基本項目であるフロント側トー/キャンバー/キャスター、リア側トー/キャンバーが全て調整できるようになっています。社外アームの装着例が少ないのは、純正で重量・強度が十分なだけでなくアライメント調整も十分とれるからです。
調整は、素直にRX-8で走行経験のあるショップに任せましょう。調整料金が少々高いですが、個人の乗り方や車の状態によって、最適な調整をしてくれます。そのためのノウハウ量が調整料金に乗っていると思えば良いだけです。
どうしても自分で調整、またはカー用品店や安価な調整屋で自分の考える設定にするという場合でも、個人的には
リアのトーは必ずインにする、ゼロまたはアウトには絶対にしない事をオススメします。基本的にFRの車は、リアのトーをゼロやアウトにするとリアのピロボール化同様に車の挙動が早くなりすぎて制御が難しい車になるので、オススメしません。
リアのトーをゼロやアウトにするのは、車の特性と自分の乗り方がわかっている人が、それらをマッチングさせるためにしている事であり、まだサーキット出始めというのであればリアのトーは絶対にインです。
通常はカー用品店や調整屋は純正指定値で調整するため、リアのトーは必ずインにされるはずです。
Q:車高はオススメはありますか?
A:好みで良いと思います。足回りの作りが良いので、高めでも低めでも十分走れますので、それほど気にする必要は無いでしょう。ただし車高の前後差については、RX-8を含むマツダFR車はアームは位置の関係から、一般的に前後水平よりもフロント側をやや高め(3~10mm)にした方が乗りやすいと言われています。私もいろいろ試した結果、水平よりもフロントを4mm上げた車高に落ち着きました。
・車高調、バネレート、スタビライザー
車高調は、
自分の予算に合わせて欲しいものを入れれば良いと考えています。「初心者だから最初から高級品はちょっと・・・」という声もたまに聞きますが、私は最初から高級品でもかまわないと考えています。我々は趣味でやってるので、欲しいものをつければ良いだけです。
安価なものでも決して悪いわけではありません。むしろ安価で性能が良い物もあります。ですが、安かろう悪かろうな製品もあったりします。
安価な物(RX-8用であれば、定価で20万円以下の商品)であれば、リア側の全長が長いものを選ぶと幸せになれる可能性が高くなります。(写真がとびきり高価な物しかなくてスマヌ)高価な製品の場合は、そのあたりはあまり気にせず取り付けても幸せになれます。ただし高価な物の中には、設定が唐突すぎて超玄人好み、素人には扱いが難しい物も一部あります。その辺はみんカラで情報収集すればわかるかと思います。
なお車高長は消耗品ですので、
メーカー推奨距離に従ってオーバーホールしていった方が、楽しく安全に走れます。
Q:減衰力調整は、高額なあれより安価なこれの方が多いんだけど?
A:減衰力の段数は、気にする必要はありません。高額な車高調は、減衰力最大~最小の範囲が広くとられていることが一般的です。調整段数が多くても、最大~最小の範囲が狭ければ、体感できないくらいに細かく調整できるだけで正直あまり意味はありません。
たとえば、高額車高調は減衰調整範囲が0~100で調整10段、安価な車高調が減衰調整範囲が30~50で調整40段だと、どちらが良いでしょうか? ということですので、段数が多ければ偉い、というわけではありません。
バネレートについては、導入時はあまり気にする必要はありません。
車高調であれば後からスプリングの交換は簡単にできてしまうからです。まずは購入状態から試して、必要あれば後から変えていきましょう。
ただし、リア側は車高調本体がハブ側に直接装着される構造上、
本体とバネの干渉を防ぐためにテーパー型スプリングになっている車高調があります。この場合、後からバネを交換する際に選択肢が少なくなってしまうことに注意が必要です。なお改造で普通のバネを装着できるようにすることも可能な物もあります。
写真はRX-8用車高調の中では、街乗りもサーキットも両立できる万能さでメジャーな部類に入る、オーリンズDFVですが、このオーリンズ製(PCV、DFV、Road&Track全て)リア側のバネにテーパースプリングを使う物の代表です。リアのバネを変えるには、同じオーリンズが出しているバネ、TEINが出しているテーパースプリング、またはワンオフ制作しかありません。ただしメジャーなだけに、普通のバネを使用できるように改造する部品・方法も結構あり、そのようなメニューを用意しているショップも多数あります。
スタビライザーは、最初から変える必要はありません。極端に言えば、スタビライザーは左右独立して動く足のメリットを減少させる欠点があるので、バネレートに対してあまりに固いスタビライザーを入れてしまうと、曲がりにくくなるし轍に足を取られるしハンドルは常にキョロキョロ動くしで良いことなしです。
スタビライザーは、足回りが決まった後、一番最後に何を入れるか検討しても十分間に合います。
・その他足回りオススメ部品
個人的には、
リアのサブフレームブッシュをリジッド化する部品がオススメです。RX-8のリアサブフレームは、乗り心地や騒音を減少させるため、ゴムブッシュ経由で固定されています。このゴムブッシュを動かなくするカラーを取り付けるだけで、車の動きが落ち着いて非常に楽しい車に変わります。
部品代が安価な割に効果が大きいです。デメリットとして、室内騒音が少し大きくなってしまう事に注意です。
・ホイールチョイス、タイヤサイズ
タイヤの銘柄は
その5で説明したのでそちらを参照してください。
これからホイールを購入されるのであれば、まず
外径サイズは18インチを強く勧めます。現在のタイヤ開発は18インチが中心になっているので、銘柄もサイズも豊富で選択肢が多くとれるからです。
Q:ホイールの銘柄にオススメや非推奨はある?
A:好きな物を選べば良いでしょう。昔は折れやすい・割れやすいメーカーがありましたが、今はあまり聞きません。
ホイール幅は装着するタイヤ幅に依存しますので、どのタイヤ幅で走って行くかによって選べば良いと考えています。ただし、18インチの8J~10Jホイールとなるとそれなりに高額となりますので、ちょっと先を見越して購入した方が良いかもしれません。
・タイヤ幅を純正の225サイズにこだわるのであれば、8~8.5J
動きが素軽い、コストが安い、車の他部分の強化が少なくて良いというメリットがあります。
また225幅限定の「225Cup」という物もありますので、そこ出場を考えている人はこのサイズが必ず必要になります。
ただし、純正ホイールが8Jであり、とくに一番台数が出たグレードであるTypeSが純正18インチ8J+50なので、わざわざ新たにホイールを購入するメリットはそれほど多くありません。
・タイヤ幅を245サイズにする場合は、8.5J~9J
車の動きが重くならず、なおかつ車の強化も少なくて済むので、バランスが良い車となります。
245サイズでコストを抑えてとにかく走りまくる、というのは大いにアリです。ただし、現在の主流は265サイズとなっているので、新たにこのサイズを購入するのに中途半端間があることは否めません。ただし、それが理由でこのサイズのホイールを手放す人もいるため、そこから安く購入するというコスト削減手段がとりやすいサイズでもあります。
・タイヤ幅を265サイズ以上にする場合は、9.5J~10J
現在RX-8のサーキットアタックで主流のタイヤサイズは、265/35R18です。それにする場合は、9J以上のホイールが必要です。265の標準ホイール幅が9.5Jなので、それ以上を選ぶこととなります。もうサーキットに片足突っ込んでる自負があるのであれば、最初からこのサイズを購入することをお勧めします。9.5Jか10Jかはどちらでも良いと考えています。
9.5Jの場合は、後述するようにフェンダーの爪折り加工が不要なサイズを選べること、10Jの場合は、近年のハイグリップラジアルやモータースポーツラジアルの鬼グリップ能力をより高く引き出すことができることがメリットです。
ただし、車の動きが少し鈍重になり、さらにはタイヤのグリップが大幅に増すため、個人の好みによってはバネレートやブレーキの強化が必要になる場合があることに注意です。ただし、強化しなくても乗れないわけではありません。
インセットについては、
外側はフェンダーの爪折りなしの場合は9.5J +40が限界ギリギリと見て良いでしょう。この場合でも、
リアインナーフェンダーの出っ張り(2枚目写真)は削り取る必要があります。9J以下の場合は、インセット計算サイト等で計算してね☆ それ以上外に出る場合は、フェンダー爪折りが必要です。これ以上外側に出る場合は、フェンダーの加工(爪折りやオーバーフェンダー化等)が必要です。
ホイール内側については、10J +40が、ハンドルをフルに切ったときに干渉するかしないかギリギリです。これ以上内側に入る場合は、ハンドルをフルに切るとアーム類に干渉します。
なおサーキットを走るのであれば、
前後同径、同幅、同オフセット(いわゆる4本通し)を強く推奨します。
特に前後異径(外径が異なる)は、走行中のABS異常を誘発しやすく、それが発生すると大変危険なため、オススメしません。オフセットについても、RX-8は足回りの構造上干渉部分が少ないため、異オフセットにするメリットがありません。
ちなみにフロントエンジン車の前後異幅異径は、他車種も含めて市販車でのサーキット走行では時代遅れで、現在は純正が前後異幅異径の車種でも4本通しが主流です。
今日はこんなところで。
・・・続く