今回のことを、どんな風にまとめればいいのか?
しばらく、迷っていました。色々と考えましたが、私には予定通りの費用負担が
あるようなので、ひとつの体験としてありのままを。
Anycaの初挑戦でスーパーセブンで撃沈?次なる車はシトロエンGS。
少し遠いけれど、関西圏の神戸。
オーナーにメッセージを送って数日後にお返事があり、何度かのやり取りのあと
お貸しいただけることになりました。
そして、昨日。BMWで神戸某所を目指します。
少し迷いながら到着すると、オーナーがすでにGSをガレージから出して
準備されていました。ご挨拶をして、早速、GSの説明を受けます。
「暑いので、扇風機と足元にも風を送る送風シートカバーをつけておきました。」
「ありがとうございます。」
各種スイッチ類の操作も突飛なものは、何もない。
エンジンフードを開けて・
「エンジンオイルは少し減ってますね。足しましょう。」
スペアタイヤの中に予備のエンジンオイルとLHM。
「LHMは、どうやって補充するんですか?」
「車高を最高位に上げて確認するんです。」
と、車高調整レバーを操作して車高を上げる。GSがグィーンと伸び上がる!
「で、この緑のタンクの上の浮きが規定範囲にあればいいんです。
正常値のよう。
「では、他にご質問なければ、乗ってください。」
運転しながら、操作を丁寧に教えてくださる。一回りして・
「では、運転してみてください。」
私に預けて良いかどうか、簡単なテストのようです。
クラッチが、羽根のように軽く、繋がりは判りにくい。シフトパターンは2CVのように
難解ではなく、通常のH型。ブレーキは独特の踏み応え。
踏むと、「ヒワヒワ?」と脈動を感じる。ステアリングはノンパワー?でもタイヤが
超細いので、重くは感じない。
テストは合格?
「芦有で、芦屋に抜けて帰ろうと思うんですが、山道大丈夫でしょうか?」
「全然問題ないですよ。エンジン回してください。」
「では、お気をつけて」と送り出していただく。
そして、東六甲の展望台。意外に空いている。
何の問題もなく走る。アンダーパワーと言えば、アンダーパワーだけど
ちゃんと、ギアを落として、水平対抗空冷エンジンを回せば、元気よく走る。
エンジンを止めると、車高がべったりと落ちるそうなので、車止めが怖くて、ここに駐車。
この子は、写真写りがすごくいい子です。フォトジェニック?なのか?
実際は、43年の歳月を各所に感じます。レザートップも劣化しています。
運転席回り。ここも車の年輪を感じますが、ひどく遣れた部分はない。
トランクリッドは、バンパーごと!跳ね上がり、中は真四角で、使いやすそう。
駐車場は空いているので、移動してみます。
昔のフランス車に定番だった黄色いお目目?が判ります。
GTRが一台いますね。
お天気はあまりよくないけれど・
この時点では涼しい。
売店のおじさんとおばさんは、「この頃、観光客がぐっと減って」と話をしている。
また、GSを移動して、コイーバを吹かす。
これが、格別においしい。
「あれ?」GSが伏せ?をしだした。
これが、通常車高?で。
おしりから沈んでいって、やがて前も沈んで、伏せでお休み。
エンジンをかけると、犬が起き上がるようにおしりがピョコンと上がります。
さて、芦有を降りていきます。
やはり、ハンドリングはアンダーステアを強く感じます。
ノンパワーのステアリングは、タイトターンでは、やはり重くなる。
芦屋の街に下りて、阪神高速→第二阪奈と駆け抜けます。
一般道では、想像したようなヌルヌル感を感じることはなく、普通に感じた乗り心地。
細かな不整は、正直に伝えてきていましたが、高速を流しだすと・
ぴったりと安定して、フラットです。シートが大きくフカフカで包み込まれる感じ。
でも、エンジンパワーは、現代の路上では、もう少し欲しいかな?
開けた窓から腕を出して、Aピラーを自然に握る。そうしていると・
フロントウィンドウからは、一度だけ行ったパリの景色が見えて来るような気がしました。
気分よく、高速を駆け抜けて・ICを降りて最初の信号で停止。
「んっ??」
目の前を白いものが、断続的に。時折、ベンチレーターからもモヤッと。
「あー」
結構、もくもく煙を吐き出した。
エンジンは、普通にアイドリングしている。信号はまだ変わらない。
煙を吐く車は、初めてではありません。
ようやく信号が変わり、近くのスーパーの駐車場へ。
フードを開けると、煙がポヤポヤ。
エンジンはべったりオイルで塗れている。エンジンオイルか?
下を覗きこむと、まだポタポタとオイルがたれていて、すでに溜まりを作っている。
「これは、だめだ。」。重症です。オーナーにメッセージ。
すぐに電話がかかってくる。
「どんな具合ですか?」
どうも以前から、まれにエンジンオイルが漏れて煙を吐くことはあったようで
「トランクにも、予備のオイルはありますし・・」
エンジン下の溜まりを写真で送って、深刻さを理解していただきます。
Anycaに連絡したり、保険会社に電話したり、Iphoneが全開で、電池がみるみる減っていく。
そして、灼熱の暑さ。汗が止まらない。
オーナーからの指示で京都の専門店にレッカーで搬送することになりました。
ものの30分ほどで積載車が到着。
これだけ漏れていますから。
いつもながら?レッカーのお兄さんは仕事が丁寧です。
(この状況に慣れてるのも、何ですが・・)
エンジンは、まだかかるので、自走でパレットに乗せました。
けれど、エンジンを切ると、車高が下がるので、固定に気を遣います。
斜めにすると、リアがぐっと沈みます。
パレットの上にも結構なオイル溜まり。
触ってみると・・??色はグリーン?LHMかもしれない。
近くの駅まで積載車で送ってもらい。荷台のGSを見送ります。
濃密だったな。たったの3時間ほど。こんなに濃密なGSとの時間があるだろうか?
古いハイドロシトロエンから、想像するシーン通りの結末。
けれど・色んな事を思い出した。スパイダーとの夏。パリの夏。
強烈な夏の思い出がひとつ、また出来ました。