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2024年03月17日 イイね!

最低速度位置とラップタイムの関係(ヘアピンコーナ編)

今日は第4回目です。

今回は基本からやり直すことにしました。

今までの走行ラインは実測結果の速度変化や走行ラインになんとなく合うように決めて、それをなんとなく修正していたのですが、今回の検討では”なんとなく決めたライン”では具合が悪いことに気が付きました。

それと今までの走行ラインですが、1mずつ手打ちすると時間がかかるのと、速度変化がキレイでないので走行距離の2乗で半径が変化する式で計算した走行ラインを使っていて、この”2乗”に実測結果の速度変化や走行ラインになんとなく合う以外の根拠がなかったのでこれも見直すことにしました。

さらに、実際のコースの形状に合わせて走行ラインを決めると、いろいろわかりにくくなってきたので、今回は基本に戻って単純なヘアピンコーナを作って、計算することにしました。

まずは、コースと走行ラインです。
走行ラインは曲がり始めから半径が最小になるまでの走行距離(コーナ距離)違いで、80m~140mまでの5種類を作りました。


これらの走行ラインの半径変化


半径は下式で計算しています。

最小半径からXの距離の曲率半径:R=a・X^n+R0 (R0は最小半径で今回は25)

ここでaとnは係数で、コーナ中央までに向きが90°変化し、横方向に40m移動するように計算して決めました。

走行ラインの半径変化のグラフを見てわかるように、コーナ距離が長い方が最小半径に近い走行距離が長いことがわかります。

実際には今回作ったR=a・X^n+R0の計算式で計算される走行ライン以外にも無限大に走行ラインの種類が考えられるのですが、ある程度の傾向を知ることが目的なので、今回はこの走行ラインで傾向を確認しました。

次にこれらの走行ラインをCIVIC TYPE-Rで走らせたときのシミュレーション結果を見てみます。

ラップタイム


減速区間(スタートラインからコーナ中央まで)


加速区間(コーナ中央からゴールまで)


ラップタイムではコーナ距離が100mの走行ラインが最も速いのですが、これを減速側と加速側で分けると、それぞれ異なっているこがわかります。
最も速いコーナ距離は
・減速側:140m
・加速側: 90m

これを走行距離に対する速度変化と時間差で見てみます。


減速側ではコーナ距離140mの速いのですが、ほとんどがブレーキ開始から半径90mの間までで時間差がついていることがわかります。
これは、コーナ距離140mの方が半径が大きい距離が長く、その区間は速度が高いことが理由です。

加速側はコーナ距離100mの方が速く、ほぼ最低速度付近だけで時間差がついています。
これは、コーナ距離100mの方が最小半径距離が短く早く加速ができることが理由です。

この結果から、このヘアピンコーナをCVIC TYPE-Rで走らせた場合は減速側と加速側で最適な走行ラインが異なるということがわかりました。

今までの富士やハンガロリンクの計算で想定と逆の結果になってしまった理由は、コーナの最低速度位置とか、コーナ中央に対して半径変化が対称だとかそういうことが理由ではなくて、減速側、加速側の最適な走行ラインからのズレが大きくなったためと推測されます。

そこで、今回計算した中で最も速い組み合わせ(コーナ中央が最低速度で減速側140m、加速側90m)と、この組み合わせに半径変化を近づけつつコーナ位置を奥側に6m移動した走行ラインを作り比較をしてみました。

最も速い組み合わせのコーナ中央位置は637mで、最小半径を奥側に6m移動した走行ラインの最低速度位置は643mです。


最低速度位置が中央のときと比較して奥側は0.01秒遅くなりましたが、ほぼ同等にすることができました。

次はSF19の計算結果です。

ラップタイム


減速区間(スタートラインからコーナ中央まで)


加速区間(コーナ中央からゴールまで)


CIVIC TYPE-Rとは異なり減速側はコーナ距離が100mのときが最も速くなりました。
この原因は恐らく、SF19はダウンフォースが計算に入っているので、速度が低くなるとその分摩擦円が小さくなり最低速度付近で走行する距離が長くなると、摩擦円が小さい状態で走行する距離が長くなるためと思われます。

SF19でも最低速度位置を643mにした走行ラインで計算したところ、CVIC同様に最速の組み合わせよりも0.01秒の遅れとなりました。

また最低速度位置を手前にした計算もしましたが、奥側にしたときと同様にコーナ中央の最速組み合わせに半径変化を近づけたときが最も速い結果となりました。

これまでの計算結果からおおよそわかったことまとめると
1、クルマの性能(摩擦円の大きさやエンジン加速能力)に対し最速となる走行ラインは異り、減速側と加速側も最速となる走行ラインが異なる。
2、コーナ中央を最低速度としたときの最速走行ラインに近い半径変化をする走行ラインであれば、最低速度位置が前後に5m程度ズレても区間タイムもほぼ同じになる。

ということで、基本的な傾向がわかってきたので、次回から改めて富士スピードウェイとハンガロリンクで今回作ったR=a・X^n+R0の走行ラインでシミュレーションをしてみたいと思います。
Posted at 2024/03/17 21:12:59 | コメント(1) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年02月25日 イイね!

最低速度位置とラップタイムの関係その3

今日は第3回目です。

前回のおさらい。
シミュレーションの結果、最低速度位置が手前側の方がコーナ中央のときより区間タイムが良いという結果になりましたが、ハンガロリンクの1コーナの場合、コーナ中央でも加速と減速側の半径変化を対称とするよりも非対称としたとき(加速側よりも減速側の半径が小さい距離を長くしたとき)の方が区間タイムが良いことがわかりました。

ハンガロリンク 1コーナの中央非対称走行ラインの半径変化


そこで、今回は富士スピードウェイのTGRコーナでも中央非対称走行ラインの区間タイムを計算してみます。

まずはシミュレーション結果です。

シビックタイプRの場合




SF19の場合




走行ライン
●の位置がそれぞれの最低速度位置です。


シビックタイプR、SF19どちらとも富士スピードウェイのTGRコーナでも中央対称よりも非対称の方が区間タイムが良い結果になりました。

ハンガロリンク、富士スピードウェイの結果を表にまとめました。
表の値は最低速度位置 手前側区間タイムと中央非対称との差です。
+のときは中央非対称が遅いときです。


シビックタイプRのハンガロリンク1コーナを除き、最低速度位置はコーナ中央で加速と減速の半径変化は非対称のときが最も区間タイムがよいという結果でした。

今までの結果からわかったことを整理すると
1、ドライビングスタイル3でコーナの奥側とした位置は実際はほぼコーナ中央に位置している。

2、FSWのTGRコーナ、HGRの1コーナの場合、シビックタイプR、SF19どちらとも最低速度位置をコーナの中央よりも奥側にするとシミュレーションの区間タイムが遅くなる。

3、FSWのTGRコーナ、HGRの1コーナの場合、シビックタイプR、SF19どちらとも最低速度位置は同じコーナ中央でも、加速と減速の半径変化を非対称としたときの方が半径変化を対称としたときよりもシミュレーションの区間タイムが最も速くなる。

ここで、今まで得られたシミュレーションの結果からドライビングスタイル3の結論を修正すると、「欧州式ドライビングスタイルとは加速側よりも減速側の半径が小さい距離が長くなるような走行ラインを摩擦円の縁で走る走り方のこと。」ということになろうかと思います。

実際のSF19はコーナの中央よりも奥側に最低速度がくるように走っており、今回のシミュレーションの結果とは異なる走り方になっているので、この理由についても考察が必要ではありますが、ひとまずこれは置いておいて次の3つについて検討したいと思います。

1、加速側よりも減速側の半径が小さい距離が長くなるような走行ラインの方が速くなる理由。

2、ハンガロリンクの1コーナではシビックタイプRとSF19で最も速い走行ラインに差が発生した理由。

3、ヘアピンコーナ以外のコーナの場合でも同様のことが言えるのか?

それでは、引き続きがんばって考えます。
Posted at 2024/02/25 23:55:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年02月21日 イイね!

最低速度位置とラップタイムの関係その2

昨日は、「最低速度位置がコーナの奥側の方が速い」というこれまでの僕の説が、富士スピードウェイのTGRコーナでは成立してなくて具合が悪いので、”これはコースの違いが影響しているのである”ということにしたところで終わっておりました。

今日はその続きです。

まずはシビックタイプRのハンガロリンクの1コーナのシミュレーション結果を見てみましょう。
ハンガロリンクは1コーナ後の1000m地点の通過時間で比較します。


ドライビングスタイル3のときは、日本式を640m、欧州式を646mとして計算していたのですが、今回は昨日のコーナ中央位置の定義によりコーナ中央を確認したところ、645mがコーナ中央であることがわかったため、コーナ中央を645m、手前側を637m、中央より奥側の650mの3種類で計算しています。
半径の最小値はどの場合も31mで同じです。

また、走行ラインについては前回の計算とは別に再度設定し直して計算しました。

結果としてはグラフを見てわかるように今回は最低速度位置が最も手前の637mが中央の645mに対し約0.03秒以上も速いということになってしまいました。

さらに具合が悪くなってきたので原因を探ることにします。

まずは、最低速度位置が手前側が速くなった原因です。
これは、走行ラインの設定が原因でした。

前回もそれなりに作り込んだつもりだったのですが、少し詰めが甘かったらしく、約0.05秒も前回の設定の方が遅くなってました。

走行ライン
赤色が今回の走行ラインで、青色の手前(旧ライン)が前回の走行ラインです。


走行ラインだと差がわかりずらいので、速度と半径の変化も見てみます。


前回の走行ラインは微妙に遠回りをしていて走行距離が長く、かつ加速側の半径も小さめに設定していたため加速側の速度が低くなっていました。
(アンダーで微妙にクリッピングポイント外して、出口のラインが苦しくなった状態です。)

もうひとつ理由があり、今回の最低速度位置645mの走行ラインは最低速度位置がコーナ中央になっているので、半径変化を加速と減速側で等しく対称になるように設定していますが、前回は”欧州式”の例として実測の速度変化に合わせて加速と減速側の半径変化が非対称になるようにしていました。

そこで、最低速度位置は645mで、途中の速度変化が欧州式っぽくなるような”最低速度位置 コーナ中央 非対称ライン”なるものを設定し計算しました。

すると、加速と減速の半径変化が等しいラインと比べて非対称ラインの方が約0.02秒速くなりました。

走行ラインと速度、半径変化




まとめるとこんな感じになり、前回と今回で結果が逆転した原因はわかりました。
中央非対称が前回の欧州式で手前(旧ライン)が前回の日本式です。


しかし、”最低速度位置 コーナ中央 非対称ライン”は対称ラインと比べると速くはなったものの、まだ最低速度位置が手前側のときの方が速いことに変わりはありません。

コースをハンガロリンクで計算すれば「最低速度位置がコーナの奥側の方が速い」ことが再確認できるはずと信じて計算してみたものの、結果的には元とは全く逆の「最低速度位置がコーナの手前の方が速い」という結論になってしまいました。

しかも、最低速度位置が中央より奥側の650mはがんばって走行ラインを何度も作り直しても変わらず遅いのです。

どんどん具合が悪くなって頭痛がしてきましたが、何度見直しても計算におかしなところはなさそうだし、前回の結果との逆転理由もわかったので、次回はもう一度コースを富士スピードウェイに戻して計算してみたいと思います。
Posted at 2024/02/21 22:20:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年02月20日 イイね!

最低速度位置とラップタイムの関係その1

今日は前回の続きです。

まず最初に僕のブログを読んでいただいているみなさまに謝らなければなりません。

今回、いろいろ計算した結果、最低速度位置がコーナの奥側の方が速い(ラップタイムが良い)ということでもなさそうだということがわかりました。

大変申し訳ありません。

実際のスーパーフォーミュラの走行データを見る限りは最低速度の位置はコーナの奥側になっているし、速い人の走行データを見てもそういう傾向になっているので、完全に間違っていることもなさそうなのですが、少なくとも僕のサーキットシミュレーションの結果だけからは「最低速度位置がコーナの奥側の方が速い(ラップタイムが良い)」とは言えないことがわかりました。

ということで、長くなりそうなので、今日は第1回目です。

まずは今回の例題に選んだSF19の富士スピードウェイの走行データに合わせこみをします。

全体


TGRコーナ(1コーナ)拡大


減速については全体でなんとなく合うようにした結果、TGRコーナでは減速が緩くなりましたが、今回は相対比較が目的なのでこれで良しとしました。

また、TGRコーナの最低速度位置は走行データでは785mに対し、今回の合わせ込みでは780mとしています。(理由は後述します)

今回の計算条件
 車両重量:750kg
 出力:420kW(570ps)相当
 最大横G:1.72
 最大加速G:1
 最大減速G:1.4
 揚力@100km/h:155kgf

上記条件で合わせ込み後の速度変化見てわかるように実際との差がそれなりにあるので、SF19というよりはSF19っぽい性能のクルマのシミュレーション結果として見ていただければと思います。

早速ですが、今回の計算結果です。
このグラフは横軸がコントロールラインから最低速度位置までの距離、縦軸がTGRコーナ後の1200m地点での通過時間です。
(走行ラインによる距離の差があるため、その分の補正をしています。)


今回の計算では、コーナ中の最小半径を30mで固定して、コントロールラインから最小半径位置(=最低速度位置)の距離を755m、765m、775m、780mの4種類で計算しています。

ところで、今までは見た目で中央っぽいところをコーナの中央としていたのですが、コーナの中央の定義が不明確だと、コーナの奥側とはどこなのかも不明確になってしまうため、今回 どこをコーナの中央とするのか?を明確にすることにしました。

今回僕が定義したコーナの中央
「曲率変化が加速側、減速側で同じで、かつコース幅いっぱいの走行ラインの最小半径位置をコーナの中央とする」

文章だとわかりずらいので、図とグラフをご覧ください。

コース図上の走行ラインではこんな感じです。


横軸を距離、縦軸を半径としたグラフではこんな感じです。


今回の定義に当てはめると富士スピードウェイのTGRコーナの中央はコントロールラインから約765mの地点となりました。

TGRコーナの中央は約765mなので、今回の計算では最低速度位置がコーナの中央のときが一番速いということになりました。

さんざん「最低速度位置がコーナの奥側の方が速い」と書いたのにかなり具合が悪い展開になってきました。

しかし、どう計算しても(走行ラインをいろいろ変えても)、やっぱりコーナ中央が最低速度になるような走行ラインのときが最も速いという結果にしかなりません。

もしかしたら、シビック タイプRで計算したら違うのではないか?と思ってシビックタイプRでも計算しました。


微妙にですが最低速度位置が最も手前の時が最も速いという結果になりました。
これはかなり具合が悪いです。

具合が悪いので、”これはコースの違いが影響しているのである”ということにして、続きはまた明日以降にアップします。
Posted at 2024/02/20 23:54:51 | コメント(1) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2019年07月21日 イイね!

ドライビングスタイル3

2014年ごろに何度か書いていたドライビングスタイルの続きでです。

そもそもの発端は、オートスポーツでドライビングスタイルには日本式と欧州式があるという特集があって、その内容があまりに解せなかったことです。

まずは、もう一度 日本式と欧州式をおさらいします。
日本式・・・加減速を重視し、ブレーキはクリッピングまで残す走り方
欧州式・・・コーナリング速度を重視し、減速は直線で終わらせて、コーナは一定速度で走る走り方

この説明で特に解せないのが欧州式の「減速は直線で終わらせる」というところです。
F1のオンボードカメラを見ても、スーパーフォーミュラの欧州ドライバーの運転を見ても、減速を直線で終わらせるドライバーなんて一人もいないのです。

なのに「減速は直線で終わらせる」と書いている。
しかも特定のだれか一人の話として書いているのではなく、複数のドライバーが同じようなことを話しているようでした。

誰もしていないことを、複数のドライバーがしていると言うのは非常に不可解です。

何らかの違いが日本式ドライビングと欧州式ドライビングの間にあるはずなので、その何らかの違いとは何のことを言っているのか?というのが僕にとっての謎でした。

最近やたらとF1やらJBのオンボード映像の解析をしていたのは、解析することで何かわかることがあるのではないか?という想いもあってのことです。

そして遂に謎は解けました!
100%ではないけど、自分としては十分納得です。

今回はシビックタイプRのハンガロリンク 1コーナ走行データを使って説明したいと思います。

解析をするにあたり、重要なことのひとつとして走行データは正しいのか?ということがあります。
正しくないデータでいろいろ考察しても正しくない結果しか得られません。

以前、6、7コーナの走行データを確認した結果から、走行データは正しそうだと結論づけました。
でも1コーナの走行データを確認していたら前後Gが速度データを合っていないことがわかりました。

オレンジ色はオンボード映像画面に表示されている前後Gの値で、桃色は速度から計算で得られた値です。
具体的には、(その時の速度-一つ前の速度)/0.1/3.6(m/sec2)で計算した値を0.1秒ごとの0.3秒区間で移動平均しました。


速度から前後Gを計算するとグラフがギザギザになって見にくいのですが、速度から計算しているだけに、速度とは相関が取れています。

このグラフを見ると、速度から計算した値と画面表示の値が10~20mズレがあって、かつ画面表示の値が全体的になまされていることがわかります。

本当は速度が正しいのか前後Gが正しいのかわからないのですが、一般的には速度は正しく測定できているので、今回は速度と速度から計算した前後Gが正しいとして考えることにします。

次にこの走行データに合うようにシミュレーションの合わせこみをしました。
いつもは5m毎に走行ラインの曲率半径を決めていますが、5m毎だと今回の解析には不十分なため、1m毎としました。

赤と桃が実際の走行データ、青と水色がシミュレーションの合わせこみです。


減速区間がちょっと合ってませんが、次に行う日本式走行ラインでのシミュレーションも同じ条件で計算するので、今回は無理に合わせこみはしませんでした。

ここで赤丸で囲ったところをご覧ください。

6月30日のブログでも同じようなこと書いたのですが、このグラフの方がわかりやすいです。
赤丸で囲ったところはコーナ入り口の減速Gの変化を表しています。
実測もシミュレーションの合わせこみ結果もどちらも605m付近で急に減速Gが低下していることがわかります。

僕の推測ではこれがオートスポーツで言われている欧州式のことです。
速度カーブに折れ点があるのが特徴です。

では日本式ってどういうの?ってことになるので、さきほどの合わせこみ条件の走行ラインのみ変更してシミュレーションしました。

日本式の場合は、コーナリング中も減速を続けているので、減速Gが急に低下しないような走行ラインにする必要があります。

減速Gが急に低下しないようにするためには、曲率半径の変化が緩やかになっていればよいので、そのような走行ラインに設定します。
しかし、そうすると最小旋回半径の位置が少しコーナ手前になるので、今回は6mだけ手前になるような走行ラインとしました。
(グラフ中の646と640は最小旋回半径のスタートラインからの距離です。646は欧州式、640は日本式)

青:実測へのシミュレーション合わせこみ=欧州式
赤:日本式のシミュレーション


走行ライン


またまた赤丸で囲ったところをご覧ください。
速度変化や走行ラインは微妙に違うだけですが、減速Gの変化は大きく異なります。

水色の方は3m/sec2(0.3G)くらいまで急に減速Gが低下しているので、実際の操作としては「ブレーキをぱっと離す」ような運転になっていると思います。

実際は、エンジンブレーキで発生する減速Gは0.15Gくらいしかないので、少しはブレーキを踏んでるのですが、気持ち的にはブレーキを踏んでいないのだと思います。

だから欧州式の説明をする人はみんな「コーナ中はブレーキを踏まない」と言うのだと思います。

一方の日本式はコーナ入り口から最低速度にまで徐々にブレーキを緩めていっているので、クリッピングポイントまでブレーキを残す走り方になっています。

ではどちらの方が速いのか?ってことが気になるので計算結果を見てみます。

今回は1コーナと2コーナの間の1000m地点までの区間タイムと、通過速度を比較します。


欧州式の方が1000mまでの区間タイムも早く、通過速度も高くなっており、欧州式の方が速いことがわかります。

区間タイムでは、たった0.04秒しかないので、ほとんど誤差みたいなものなのですが、コーナが10個あったら0.4秒差となり、全く無視できません。

したがって、欧州式をすすめる人が多いってことなのだろうと思います。

ところで、日本にも欧州にもコーナ中にブレーキを踏まないプロドライバーはいないので、オートスポーツの言う欧州式で走る人は一人もいません。

でも、今回僕の考えた欧州式(コーナ入り口でブレーキを急に緩める)で走るプロドライバーは日本にもたくさんいます。
たぶん、プロドライバーは程度の差こそあれ、みんな欧州式です。

今度機会があったら(あまりないけど)プロドライバーの速度カーブをよく見てください。
速度カーブのフルブレーキングから旋回始めのところに折れ点があることが多いです。
プロ、アマに関係なく、速いドライバーは折れ点のある速度カーブになっていることが多いです。

速度カーブに折れ点がある=減速Gの変化が急激=ブレーキを急に緩める=欧州式です。

ということで、今まで世の中に欧州式で走るプロドライバーいない!!と散々書いてきましたが、訂正します。

プロドライバーは日本、欧州にかかわらず、みんな欧州式で走っています。

ただし、欧州式でもコーナ中にブレーキは踏んでいて、コーナ中の最低速度が日本式と比べて高いわけでもありません。

コーナ中の最低速度位置が少し奥になるような走行ライン上を摩擦円の縁で走る走り方のことを欧州式と言っている というのが僕の欧州式に対する結論です。

結局のところ2014年7月12日のブログと同じ結論なのですが、このときは減速Gの変化をきちんと見ておらず、ブレーキを急に緩めないと欧州式の走り方にならないということに気が付きませんでした。

ところで、ではどうして、コーナ中の最低速度位置が少し奥だと速く走れるのか?と聞かれてもわかりやすく説明できないので、引き続き考えます。
Posted at 2019/07/21 23:54:20 | コメント(3) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記

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サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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