





6月30日から7月3日にかけてイギリスで開催されていたモーター・スポーツの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード 2011」において、「トヨタ セリカ」が、並み居るレーシングカーやスーパーカーを打ち負かし、最速タイムを記録した。
この大改造されたオレンジ色のトヨタ セリカは、かつての英国ラリー・チャンピオンであるジョニー・ミルナーが製作し、この日もステアリングを握った。
ST205型と呼ばれる6代目「トヨタ セリカ GT-FOUR」をベースに、世界ラリー選手権で優勝した「カローラ WRC」の3S-GTE型2.0リッター直列4気筒エンジンを搭載。これにギャレット製GT35/25ターボと、ロトレックス製スーパーチャージャーで過給し、さらにNOS(ナイトラス・オキサイド・システム:亜酸化窒素噴射装置)を組み合わせることで、最高出力は800馬力を超えるという。
車両重量は1,050kgにまで軽量化され、前後重量配分を最適化するためにドライバーズ・シートを約30cmほど後ろにずらしてあるそうだ。
18インチ・ホイールに履いているのはミシュラン製ラリークロス用スリック・タイヤ。ボディにはご覧の通り多くのエアロ・パーツが付加されているが、見えないところにもグランド・エフェクトを利用するためのフラット・フロアを採用し、車体後部にはディフューザーが取り付けてある。
F1マシンからクラシック・スポーツカーまで、年代も形態も様々な車種が集うグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの名物は、全長約2.57km、高低差約91.44mのテクニカルなコースでタイムを計測するヒルクライムだ。最終日となる3日、ミルナーがドライブするセリカは、200台を超える参加車の中で最速となる48.07秒を記録した。参考までに他車のタイムを挙げておくと、例えば「アストン・マーティン V12 ザガート」は61.86秒、「レクサス LFA」が54.14秒、「マセラティ MC12」が49.49秒だった。
トヨタのプレスリリースでは、「セリカが、近年のF1マシンを含む数多くの有名レーシングカーを打ち負かした」とか、「F1チャンピオンのルイス・ハミルトンのようなスターも参加する中で」なんてことも書かれているが、その「近年のF1」で最も速かったのは1981年の「ロータス 88B」で49.87秒。ハミルトンのドライブした「マクラーレン MP4-12C」はデモ走行扱いだったため、リザルトには残っていない。
ハミルトンは、2008年に自身がワールド・チャンピオンとなったときのマシン「MP4-23」もドライブしたが、途中コース上でドーナツ・ターンやバーンアウトを披露し、タイム・アタックよりも観客を楽しませることを優先した。
ちなみに、1999年にニック・ハイドフェルドが「マクラーレン MP4-13」で出したタイムは41.6秒だった。近年のF1が本気を出せばやはり別格なのである。
とはいえ、数千万円から数億円の値が付く、古今のレーシングカーに、新車価格320万円の小さな日本製スポーツカー(を大改造したマシン)が勝ってしまうというのも、このイベントの面白さであり、懐深さでもある。YouTubeには観客の皆さんがビデオ・カメラで撮影した動画が多数上げられているので、興味のある方はご覧になってみては?
Posted at 2018/08/14 19:19:18 | |
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