
日本経営管理教育協会が、見る中国 第528回 ――下崎 寛
中国共産党習近平国家主席が、「一帯一路」政策を2013年に提唱し、明、清の時代のように漢民族が、世界のリーダーとなる中華思想を目指している。
いわゆる、中国西部と欧州を結ぶ陸ルート(一帯)の、「シルクロード」と中国沿岸部と東南アジア~中東~アフリカ~欧州の海上ルート(一路)の、「シルクロード」を構築しようとしている。
確かに、現在の世界のパワーバランスは、アメリカを中心とした、アングロサクソン族を中心とした世界から、人口、地理的優位性から、アジア・中国の時代に移行する流れがみられる。
アメリカのトランプ大統領においては、中国に世界のトップの座を取られまいとして、最近では、貿易戦争を仕掛けて、中国を潰そうとしている。1980年のジャパンアズNO.1の日本の時と同じように、アメリカは、地政学的にアメリカを超えてトップになりそうな国を、潰すことに注力する。
日本では、中国の「一帯一路」や、中国のアジアインフラ銀行「AIIB」に、参加するかしないかが大きな問題となっている。
賛成派は、日本は対米一辺倒から脱却して、アジアのリーダーとして、中国と協力して「一帯一路」、「AIIB」に積極的に参加すべきだとする意見である。
反対派は、「一帯一路」は中国フーストであり、中国の「新経済植民地主義」ではないかとの危惧を持ち、日本独自の「自由で開かれたインド太平洋構想」で、日本がリーダーとして主導すべきとの意見である。
いわゆる、リーダーシップの取り合いになっている。
最近の中国は、中国では唯一の株式会社、中国共産党として経営権を独占し、資源確保をベースに、海外輸出で稼いだ資金をアフリカや、カンボジア等に支援を強化している。進出した国においては、当初は低利で融資をし、港湾、鉄道等のインフラを中国人の労働者を使い、中国人村をつくり、借入金が返済不能とみると、そのインフラ施設を無償にて確保する、植民地政策である。
その現況をみて、第2次大戦の日本を思い出す、中高年は多いのではないだろうか。いわゆる「大東亜共栄圏」構想である。
その思想は、日本を指導者として、欧米勢力をアジアから排斥し、日本・満州国・中華民国を1つの経済共同体とし、アジアの広域な政治的・経済的な、共存共栄を図る政策であった。実質は、欧米の植民地主義に対抗して、日本の植民地主義を目論むことであったが挫折した。
このように、日本においては、先の大戦のトラウマがあり、「一帯一路」に参加することに躊躇する理由がある。また、韓国はじめ東南アジアの諸国も、先の大戦のトラウマにあり、日本が「一帯一路」のような政策を提唱すれば、中国、韓国、東南アジアから大反対されるであろう。
そこで、過去の問題も踏まえ、現在の中国の「一帯一路」については、中国ファーストではなく共存共栄の精神を見せる必要がある。(写真は、ウズベキスタンイスラム寺院。提供:日本経営管理教育協会) サーチナ 2018-08-15 10:32
Posted at 2018/08/15 12:32:03 | |
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