2013年05月23日
「お父さんのクルマだ!」
狭い路地の一番奥にある一軒家から、
小学生低学年くらいの男の子が、
元気に叫びながら玄関から飛び出してきた。
「あ、ほんとだ。」
続いて玄関から出てきたのは30代前半くらいの女性。
「あんたよく分かったねー」
母親と思われる女性に誉められると、
男の子は満面の笑顔を見せた。
程なく、狭い路地をミニバンがゆっくりとバックで後退してきた。
俺はというと…
狭い路地に連なる、ある住宅の屋根の上にいた。
これから本格的な夏が来る前に、
室内温度の上昇を抑えエアコンなどの冷房効率を上げるなど、
節電効果もある「遮熱塗料」を屋根に塗っていた。
太陽光と遮熱塗料から反射した熱エネルギーで挟み撃ちになり、
施行中は相当暑い。
…が、よくした物でその分、塗布部は本当に温度が下がっている。
「これじゃー目玉焼きは焼けないな。」
そんな事を思いながら大きく息を吐きつつ、
男の子と母親が、父親の帰宅を出迎えるという、
ほのぼのとしたシーンを屋根の上から眺めていた。
「お父さーーん!」
大きい荷物を抱えた父親に駆け寄り抱きつく男の子。
「おや、おかえり」と、お婆ちゃんも家から出てきた。
どうやら単身赴任の合間の休暇に帰ってきたような、
そんな感じの会話が聞こえてきた。
よほど積もる話があったのか、暫くはその場でワイワイと話し込み、
大人の話に飽きて来た頃、
男の子が「キャッチボールしよう!」と、父親に甘え出した。
「あとにしなさい、まず荷物を運んであげなさい」
と、お婆ちゃんに優しく窘められると、
男の子は元気に返事をして父親から荷物を受け取った。
男の子がお婆ちゃんと家の中に入っていくと、
父親はミニバンのリアゲートを開け、更に荷物を取り出した。
男の子の母親、つまり父親の妻も荷物を運ぶのを手伝う。
父親は比較的軽そうな小さな荷物を選び妻に手渡すと、
ちょっと照れくさそうに「ひさしぶり」と挨拶をした。
妻も、ちょっと照れくさそうに「…ひさしぶり」と頬を染める。
やっと2人きりになれたと言わんばかりに、
まるで2人だけしか世界に存在しないかのような空気を漂わせた。
そんな心温まる光景に…
エロス!
…と思った。
2人きりじゃねーから!
俺が上からこっそり見てるから!
てい!
Posted at 2013/05/23 16:10:26 |
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