2014年10月18日
こんばんは。
僕の名前は…実は公募キャンペーンによって決まりました。
全国から800万通もの応募があったんですよ。
実用的で経済的で…そして信頼性も高くて。
若者から大人まで、みんな僕に憧れたものです。
僕のご主人様も頑張ってお金を貯めて…
ようやく憧れであった僕を買ったみたい。
用も無いのに運転席に座ったり…毎日洗車したり。
とてもこそばゆい感じがしたけど…
愛されている事が実感できて嬉しかった。
週末の買い物やドライブは僕も楽しみだった。
商店街のショーウィンドウに映る自分の姿を見る事が出来る
唯一の機会だったし。
…うん、とても綺麗に乗ってくれている。
ご主人様は…やっぱりショーウィンドウに映る僕を眺めている。
しっかり前を見て運転してよ。
そしてそのままドライブへ。
パワフルな1000ccのエンジンと、フロア4速MT。
軽量ボディに…開放感溢れる大きな窓ガラス。
緩やかなカーブを描く木漏れ日の漏れる峠道。
三角窓からは心地よい風が入り込んでくる。
やっぱり走っている時が一番楽しい。
この瞬間の為に僕は生まれたのだ。
この瞬間が…ずっと続けばいいな。
それから数年後。
白いワンボックスの…大きいクルマが我が家にやってきた。
仰々しい赤色灯と、けたたましいサイレンと共に。
俄に慌ただしい様子を見守っていると…
力無く横たわるご主人様が運ばれてきた。
ご主人様は…チラリと僕を1度だけ見て、
なにかを告げるような素振りを見せた。
やがて白いワンボックスはご主人様を連れ去ってしまった。
仰々しい赤色灯と、けたたましいサイレンと共に。
ご主人様はどこへ行ってしまったのだろうか。
あの時、なにを告げようとしていたのか。
僕には分からない。
あれからどのくらいの季節を巡っただろう。
ご主人様はまだ戻らない。
周りの景色もどんどん変わって行き…
随分綺麗になった目の前の道路には、
どんどん見た事のないような新しいクルマが走っている。
気持ち良さそうに走っている姿には羨望を覚えるけど、
カッコ良さなら僕だってまだまだ負けていない。
またご主人様と買い物に行って…
ショーウィンドウで綺麗な自分の姿を眺めたいな。

そして、また心地よい風を感じてドライブをするんだ。
あの日のように。
(フィクションです)
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つーワケで。
このクルマの車名はなんでしょう。
Posted at 2014/10/18 22:40:52 |
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