ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の「ドライビングエクスペリエンス」について、簡単な紹介と感想を備忘録代わりに記します。
今回お借りしたクルマは718ケイマンTで、90分のプログラム料金は49,500円となります。

この料金には車両のレンタル代、インストラクター代、万が一の事故に対する施設への保険(免責100万円)が含まれています。
免責金額を下げる(100万円→20万円)オプション(安心パック)も+5,000円で入れますが、今回は入りましたが個人的にはどっちでも良いように思います。
ちなみに服装は「長袖・長ズボン・ドライビングシューズ推奨」で、ヘルメットやレーシングスーツは不要です。当日着用することもありません。
私の時は、インストラクターに以下のような体験がしたいと最初に伝えました。
「ミッドシップを安全に乗るための技術を習得したい」
「ポルシェの楽しさを知りたい」
当日、その時の希望に合わせてプログラムは変更し調整されるので、あくまでも一つの参考プログラムとしてこの先は読み進めてください。
借り受けて最初に外周路「ハンドリングトラック」を走り回りました。
最初は時速60km/h以下、コース左側を走行します。主にコースのカーブや景色、勾配などに慣れることが目的です。
走ると分かりますが、コース外側の芝生ゾーン(安全地帯)は少ないです。道幅は広めの片側1車線道路くらいで、道幅もサーキットと比べて狭いです。
2周目からはある程度速度を乗せ、コースを目一杯に使い走ることができます。
教えて頂いたのは「なるべくコース外側からアプローチしていき、緑のパイロン(エイペックスに設置)にクルマを寄せていく感覚で走ってください」の一言のみ。
あとはコーナーごとに「もう少し外側」とか「もう少しアクセルを踏んで」などのアドバイスがありますが、私の時は主な指示は「アウト・イン・アウト」のそれのみでした。
ちなみに走った感想でポイント別でいきましょう。
名物その1、カルッセルコーナーは縦方向にボコボコ、横方向に結構な力がかかります。
コーナー途中から脱出にかけて、やや上り勾配になっていることもあって脱出時に失速することが多いです。(アクセル踏んでとの指示あり)
名物その2、コークスクリューはアプローチ時点でコーナーが見えません。(ブラインドコーナー)
それまでが結構なペースで走れるコーナーが連続するだけあって、結構な減速と繊細なステアリング操作が必要とされます。アクセルを抜く→ブレーキを掛ける→速度を調整しながらステアリングを切る→切り返しながらアクセルを開ける、の足と腕のタイミング合わせが難しいです。そして結構「怖い」です。
全体的に走ってみると、前半セクションは速度コントロールのトレーニングにうってつけですし、カルッセル→コークスクリューはステアリングと速度コントロールの合わせ方を要求されます。外から見ている以上に難しいですが、メチャクチャ楽しいです。
100km/hの速度制限がありますが、速度制限に当たるのは最終コーナー付近だけです。
また、いろんなスキルの人がいろんなクルマ(しかもはじめて運転するクルマ!)で走っている以上、100km/hの速度制限は妥当です。それ以上飛ばしたい気にもならないです。
数週、ハンドリングトラックを走ってから次に向かったのはダイナミックエリアです。
ここでは急加速、フルブレーキング、スラロームの体験ができます。
急加速ではローンチコントロールというモードを(プログラム1回につき)1回だけ試せますが、今回はパスしました。前で911がローンチコントロールで発進していく様を見ましたが、結構危なっかしかったです。(公道使用は控えた方が身のためです。)
次に走ったのはローフリクションハンドリングトラックでした。
ここは路面抵抗が少ない路面を、スタビリティコントロールありで走るとどうなるかを試すところでした。
走る前にそんな説明を聞いて「じゃあ、わざと乱暴に走るとありがたみは分かりますか?」と聞くと「分かる」との返事でした。
1周目は普通に走ってみます。いたって普通に走れます。何もありません。
2周目、わざとアクセルを吹かしたりステアリングをカクッと切ってみます。クルマの挙動がよく分かって、ステアリングを切ってもクルマが曲がりません。(アンダーステア)
アクセルを踏み込んでも、最初は同様ですが遅れてリアが振り出します。(オーバーステア)
感覚的に「クルマ1台分ずれたかな?」というタイミングでスタビリティコントロールが作動します。
運転者の感覚的には「作動するより前にビビってアクセルを抜くな」というタイミングです。
そんなタイミングが分かってから、次にドリフトサークルへ向かいます。
ここが大人気で常時5台以上待ち…週末の人が多いタイミングの時は、ここで走る時間を短めにした方があちこち走り回れると思います。
私の時は3回、ドリフトサークルを走ったのですが1回目はスタビリティコントロールONで走りました。正直に言いますが「スタビリティONでもスピンは可能」です。なぜそう言えるか?…スピンしたからです。(苦笑)
2回目からはスタビリティOFFで走りましたが、先にアンダーステア、オーバーステア、その切り替わりタイミングを知っているので「滑りだすタイミング」は分かります。
そこからドリフトコントロールできるか、というとできませんでした。
「滑りだしてからのアクセルコントロールを、きわめて繊細に行わないとドリフトを続けられない」とインストラクターからの指導がありましたが、それができなかった…ということです。
皆さん必死になってドリフトコントロールをできるようになりたい気持ちは…私は痛いほどよく分かります。(笑)
残り30分ほどになってしまったので、再びダイナミックエリアへ向かってブレーキの練習(目標位置に止める)を2~3回ほど、最後に外周路のハンドリングトラックを3周ほど走って、プログラムの規定時間いっぱい使い切りました。
インストラクターの方曰く、私の運転は「運転操作が正確で、狙ったところに狙ったように乗せていけています」といった内容のことを言われました。そこそこ操作については繰り返しの精度が高いらしく、ブレーキの「目標位置に止める」も大体同じ位置に止まりました。(目標位置よりは手前だったのですが。)スラロームも同じくで、「喋りながら走っているとは思えない」との評。
個人的には、繰り返し精度は高いかもしれませんが「目標に対するズレ」は大きい運転だな…と見つめ直すことができました。
付け加えると、外周路でぶっ飛ばすとミラーを見ない…周囲状況を把握しようとしない欠点もありました。公道でぶっ飛ばすとどれだけ危険かを、コース内で疑似的に体験できました。
全体的には、値段は高いですが目標を持ってプログラムを受けると満足度は高いです。
私は…もう1~2回ほど、同じ車種を借りて練習したいな、と正直に思うほどです。
値段が高いのでおいそれと借りることはできませんが、ポルシェの性能を味わいたい、クルマの運転を楽しみたい、知りたいと思う方にはおススメできます。
逆にお勧めしない方もいます。運転が上手いと自分で思う方にはおススメしません。おそらく飛ばし過ぎて事故ります。次がサーキット走行をそこそこ経験されている方の場合、刺激や勉強は少ないかもしれません。サーキットを走ったことがない、走ろうと思っていない人ほど、このプログラムは勉強になる・刺激になることが多いと思います。