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2021年09月29日

9月の読書

9月の読書 今月上旬は友人Aのコロナ騒動があったので本なんか読んでる場合じゃなく、9月は読書感想文お休みにしようかと思っていたら、
下旬に驚異のハイペースで追い込みして4冊。( ̄▽ ̄;)
(やってるスマホゲームが完全放置プレイでいける週だったという話w)



あ、普段この読書感想文に興味ない人も、
最後の『狼たちの城』の所だけは読んで頂けたら嬉しい(笑)。















 スティーナ・ジャクソン 『娘を呑んだ道』 (2018)

原題『THE SILVER ROAD』


なんでワタクシが海外小説ばっかり読むのかというと、
違う世界、違う風景、違う文化を覗き見できるからというのが大きい。
その中でもアメリカよりヨーロッパの方が好きだったりしますが、今回の1冊は特に異色で、内容云々より著者の出自と物語の舞台だけで選んだもの。

ノールランドと呼ばれるスウェーデン北部。
夏は白夜で一晩中明るく、逆に冬は1日の日照時間が短く日中でも-20℃の世界。
東のボスニア湾(1年の半分以上氷結)から内陸部へは、幹線道路がたった1本。
その道が原題になっている、通称シルヴァーロード。
(白銀の大地を貫く道だから…と思いきや、かつて内陸の鉱山から港まで銀を運んだからという由来)


3年前、スウェーデン北部の村で17歳の少女・リナが失踪した。
地元の高校で数学を教える父親のレレは、今も単独で娘の捜索を続けていた。
レレがクルマでバス停まで送り届け、その後乗る筈だったバスが到着するまでの15分間にリナは行方不明になった。もっと遅く着いていれば。送り届けた後すぐに去らなければ、と自責の念がレレを苛む。妻のアネッテは家を出た。
レレは3年間休職し毎日リナの行方を探してシルヴァーロードを往復していた。

同じ頃、村に流れ着いた母娘が居た。母親が男を変える度、娘のメイヤもあちこち転々としてきたが、これ程遠く北まで来たことは無かった。
母のシリヤは精神が不安定で、男性に依存して生きていて、娘のメイヤはそんな母の生き方を嫌悪している。初めての土地での暮らしへの不安と共に、誰かの愛情を強く求めている。

その夏、リナが失踪した国道から程近い場所でまた1人少女が消えた。



周りの人間全てを疑い、不信と怒りと焦りに囚われ、取り憑かれたように毎晩シルヴァーロードを行き来するレレ。
その中で様々な人とめぐり逢い、凍りつきかけている心が明るくも暗くも揺れ動く。
成長、とは少し違うし、同じ道をひたすら往復しているだけなのだが、ロードノヴェル的な一面もある。

一方、第二の主人公メイヤは、親への反発心と他者からの愛情に飢えている。
母と、受け入れ主の男の家を抜け出して、湖の畔で出会った男兄弟の1人に惹かれていく。
その少年カール-ヨハンの家に転がり込む形で新たな生活、新たな家族に囲まれるメイヤ。
初めて “家族” というものに接して温かさを感じる一方、自分1人の時間を取れない事に苛立ちを感じもする。
(一人っ子からの一人暮らし歴10年以上なワタクシも、この感覚はよぉーくわかるw)

メイヤの存在は、レレの娘リナの影のようなもの。
同年代のリナはどんな娘だったのだろうと、メイヤを通してリナの影絵を描くこの表現は上手いなと思う。

物語後半、レレとメイヤが出会い(レレが教師に復帰し、メイヤが転入生として入ってくる)、
家族を壊された男と家族を知らない娘は、互いの中に娘と父親を見ていく。

リナ失踪の謎解きも勿論メインではあるのだが、どちらかというとこの2人、レレとメイヤの心情描写が読み応えがある。















 R・D・ウィングフィールド 『冬のフロスト』 (1999)

原題『WINTER FROST』


シリーズ5作目。
いよいよ次がラストです。

このシリーズ、ふつーの推理小説3冊分くらいの内容を1作品に凝縮してしっちゃかめっちゃかしてるのが特徴ですが、
今回、過去最高(最悪?)にフロストのおっちゃんスランプ(笑)。
下巻の半分くらいまでいってもまだ事件1つも解決しないw
ちょっとさすがに詰め込み過ぎて最後ドタバタ無理やり纏めてきた?みたいな感じがしないでもないw

愛すべき冴えないオッサンキャラが奮闘し、空回りし、自己憐憫し、それでも強引に突っ走り、最後にはなんとか解決する。
そんな等身大の人間臭さが人気の秘密なんでしょう。

…毎回複雑&ごちゃごちゃで、2回読もうと思わないけどww

今回の “相棒” 坊やは、これまた過去最悪にスカタンな田舎者。
何をやらせても肝心な所で失敗するw
それでも言い分を聞いてできる限り尻拭いして庇ってやるフロスト。
こういう人情オヤジ的な “上司像” もイマドキ少なくなったような。















 アレックス・ベール 『狼たちの城』 (2019)

原題『Unter Wölfen』


ナチス×潜入スパイ×推理ミステリー。
やっぱりワタクシはナチスドイツものが好きなようだ。
舞台は42年春のニュルンベルク。


ユダヤ人古書店主イザーク・ルビンシュタインと家族のもとに、ポーランドへの移送の通達が届く。
彼は絶望のなか、レジスタンスに関わっているとの噂を聞いたかつての恋人クララを頼る。
一度は断られるも、クララはイザークとその家族全員の逃亡を手引きする。
しかしイザークだけ家族とは別ルートになると言われ、ドイツ人らしい風貌の髪型と服装にされ放り出された駅のホームで、渡された偽造パスポートを初めて確認したイザークは呆然とする。
そこに書かれていたのはナチス親衛隊少佐でありゲシュタポの犯罪捜査官、アドルフ・ヴァイスマンなる人物だった。
間をおかず親衛隊の若い士官が迎えに現れる。イザークは混乱と葛藤のままゲシュタポ本部へ案内され、ナチス施設内で起きた殺人事件の捜査に当たることになる。
イザークは正体がバレずに生き延びられるのか。クララの思惑は。



なりすまし潜入スパイ。
しかも、権力ピラミッドの最下層から(ほぼ)頂点への180度逆転。
最初こそ戸惑いと恐怖で萎縮していたイザークだが、生き延びる為には “ナチス的振る舞い” が重要と気付き、階級をタテに強引に押し通す “官僚的” な交渉術を身に付ける。
正に権力であり、ユダヤ人のイザークがそれを行う構図が色々と暗示的である。
細かい揚げ足を取れば色々とツッコミ所はあるものの、一気読み出来る痛快な作品。

(ただ、日本語訳版校正の問題が幾つかありイタダケナイ。
日付が重要な意味を持つ場面で当の日付が間違って表記されているし、「ラグナレク計画」を「レグナレク計画」と誤字ってるのが(発音の違いだけの問題で意味は通るから良いのだが)同じ間違い方が複数箇所あるから敢えて意図的にミスリードさせるためのトリックなのかと思った。
一昔前までの本はこういうミスは1作に1ヶ所有るか無いかくらいだったのに、最近の刊行本では増えているように感じる。
また、元のドイツ語がそういう癖なのか、訳者の手際なのかわからないが、指示語が誰を指しているのか分かりにくい箇所もちらほら有り)



ニュルンベルクが在るバイエルン州フランケン地方の大管区長官はユダヤ人排斥に特に熱心な人物で、バイエルン州はユダヤ人にとってこの世の地獄と言われた。
ナチスNo.3 ラインハルト・ハイドリヒによる “ユダヤ人問題の最終解決” が呈示・発動されてから2ヶ月後。
全ドイツの中でも先駆けてユダヤ人移送が始まった地である。
本作はフィクションであるが、時代背景や施設、時勢の出来事等は史実に忠実である。
本作の舞台は42年3月、その3ヶ月後の6月に当のハイドリヒはプラハで暗殺される。(『HHhH』参照)
こういった縦横の繋がりがわかってくると歴史モノは俄然面白い。


(最近、国内のサブカルコミックを中心にこういう「異世界に行ったら○○だった」的な、所謂 “チート(ゲーム用語で、不正なデータ改造を行ってゲームを有利に進めること。ニューゲーム直後に最強状態等)” モノが流行っているような気がしますが、そういうのがウケるという事は、潜在的劣等感の蔓延という社会的側面があるのだろうと思うし、コロナ禍も少なからず影響しているんでないかとも思う)

もうひとつついでに言えば、
このナチス→ユダヤの弾圧、市民間での密告等の構図が、今のコロナワクチン騒動と重なるように感じる。
ワクチン否定派がユダヤのように扱われる。問題の本質から一人歩きし、世論・風潮に流されている点も同じ。
ワクチンパスポートや飲食店の認定シールは逆ダビデの星。安倍~菅長期独裁政権が遺したモノとして象徴的だわね。






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Posted at 2021/09/29 20:00:16

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