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2016年10月29日 イイね!

10月の読書

10月の読書3夜連続ブログアップw


"グレイマン祭り" だった先月
5→1→2→3→4と読んだ所で月末になり、
その後もう一回5を読み始め、それが終わったのが今月10日くらいでした。


なので、今月実際読んでる量は4冊なのですが、
新たにカウントするのは2冊のみです。(;´∀`)
































 レイ・ブラッドベリ 『10月はたそがれの国』 (1955)

原題『The October Country』


8月に『華氏451度』を読んで、この著者の本質は短編だなと感じたので、
いくつかある短編集の中から、なんとなく一番好みっぽい雰囲気のを読んでみた。
「10月」という本を10月に読む、のは、まぁ半分狙いました(笑)。


一番最初のデビュー短編集に、新作5編を追加した新装版、とのこと。
実に19編もの物語が入っています。一番短いのだと10頁程度。
なので、サクサク読めるかと思いきや…
どの作品も、なにかどこか不思議な、少し不気味な、ダークファンタジー的な物語ばかりで、
まず「この物語はどういう世界観設定なんだ?」と読み探っていく作業が19回発生します(笑)。
我々が生きる現実世界を舞台にした物もあり、完全にファンタジーな物もあり、ほんの少しだけ何かが変な物もあり。


全ての物語に共通する=この1冊のテーマは 「死」 です。


いろんな形で「死」を取り扱う19の物語。
「なんだかなぁ…?」な話もあり、「おおぉ!」となる話もあり。
ワタクシが気に入った話は5つくらい有りましたが、人によって結構変わってくるかもしれませんね。
ただ、先にも述べたように、全体的に少し "薄気味悪い" 世界観が多いです。
ホラーではなく、怪奇系。或いは、ちょっと病んでる系。


でも、『みずうみ』という物語は是非読んで欲しいです。
この本の帯に書いてある文句をそのまま引用すると

 『みずうみ』は世界で一番短くて残酷で美しい物語

このたった10頁の物語一つを読むためだけに、この短編集を買う価値があると思う。




















 ウラジーミル・ナボコフ 『ロリータ』 (1955)

原題『LOLITA』


「ロリコン」「ゴスロリ」「ロリキャラ」
すっかり日本語として定着している「ロリ」という言葉。
その意味する所ももはや説明するまでも無いでしょう。

でも、その語源であり元ネタであるこの『ロリータ』という小説を理解している人が、いったいどれだけいるのだろう?
今、世に溢れている「ロリ」という概念と、元々の『ロリータ』は同じなのか?違うのか?
どうもどこかでネジ曲がっているような気もする。
…ならば、これは一度 "オリジナル" を知るべきだな、と思って読んでみた次第。
以前『ファウスト』や『ドラキュラ』を読んだ動機も同じ。
"元" を知らずに、知ったか顔でそれを語るのは恥ずかしいと思うので。





まず。
この『ロリータ』という作品に対して、多くの人が「エロいんちゃうん?w」という先入観を持っていると思います(笑)。
確かに、"再婚相手の連れ子に手を出す義父" という構図だけなら、もう立派に完璧にエロ小説ですが、
残念ながら "そういうの" を期待して読むとガッカリするどころか逆ギレするかもしれませんw
そういう描写は無くは無いけど、序盤にちょっと出てくる程度。
主人公がロリータと初めて "致す" 場面は様々な意味で重要なシーンですが、
そのシーンの描写は、非常に芸術性の高い崇高な比喩表現のオンパレードになっていて、普通に読んだら100%ワケワカメですw


じゃあ、この小説はいったい何なのか?


というと、これが非常に難しい。
単一のテーマではない、というか。
いや、確かに、"少女性愛" という大きな主題はあるのですが、その幹から伸びている枝葉がそれぞれ非常に熟成されています。

思春期少女の発達心理学的な要素もあり、
20世紀中期アメリカの生活様式を記した風俗小説でもあり、
アメリカ各地を旅して回るロードノベルでもあり、
非常に難解な推理小説でもあり、
多くの古典文献・小説・演劇からの引用を探してニヤニヤする教養作品でもあり。
様々な事象、問題、精神活動、行動表現が、ハイレベルでバランスされている、非常に ”濃度の濃い文学作品” です。

一度読んだだけでは半分くらいしか理解できない。

普通はこういった文庫にはよくある、カバーの返しや巻頭についている「登場人物一覧」が無いというのも、多分、著者の意図によるんではないかと思う。
自分でその「登場人物一覧」や「地名」なんかをメモしながら読まないと、色んな事を見落とします。



一人の少女の人生を壊した男の回想文かもしれないし、
父と娘の親子愛の物語、と読むこともできるかもしれない。

自分と相手の二人だけの秘密を共有する共犯者として、自分が相手に対して一番影響力の大きい存在だと思っていても、
多感な少女の世界は決してそんな狭い中で完結するものではなく。
親がどれだけ子を管理しようとして目を光らせ、時に無理やり従わせたとしても、
子の世界の広がりの前ではそんな事は全く無意味なのだと、何の抑止力にもならないのだと、
そして、親のその盲目さが、時に、守れる筈の子を守れなくなるのだと。
己が加害者であるという意識を持ちすぎて、その罪とは別次元の所で相手が助けを求めているのに、そのサインに気付かない。
疑心暗鬼は百害あって一利なしですね。

…というような事を言うとネタバレになるかもしれませんけど。
でも、ほら、深いでしょ? 全然エロ小説じゃないでしょ?

ハッピーエンドでも、バッドエンドでもないし。
読後は、結構なやるせなさと、それでも一定の報われた感と、センチメンタリズムとともに、
「あの時こうしていればもっとマシな流れになったのに。でも、これも自分が歩んできた人生か…」というような、ちょっとした悟りの世界が垣間見えるかもしれません。
そして、読み終わった後でもう一度冒頭を読むと、…また一つちょっと残酷な仕掛けに気付く。





最後に、本作品で全編通して出てくる一つの概念に「ニンフェット」というのがありまして。
これがいわゆる、現代語の「ロリ」に繋がったと思われます。

「少女の姿をした精霊、妖精。或いは悪魔、妖魔。」を意味する「ニンフ」からの造語ですが、作中では
「9歳から14歳までの範囲で、その2倍も何倍も年上の相手(異性)に対して、ニンフ(すなわち悪魔)の本性を現すような乙女が発生する」とし、それを「ニンフェット」と呼ぶ。
ポイントは、単純に "可愛い女の子" = "ニンフェット" では無いところ。

この概念、個人的にけっこー頷けるwww
思い当たる人物が何人か出てくるわwww



あ、もうひとつ解説すれば、
「LOLITA」という ”Lを重ねる名前" も
LILITH(リリス)」から着想しているそうで、
こういう所でも、この作品の構成要素が細部まで奥深いことが伺えるかと思います。



Posted at 2016/10/29 22:00:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年09月28日 イイね!

9月の読書 〜グレイマン強化月間〜

9月の読書 〜グレイマン強化月間〜

今回は、全ワタクシ待望の『グレイマン』シリーズの最新作をメインに、
良い機会なので『グレイマン』の過去作を一気に再読。







 マーク・グリーニー
  『暗殺者グレイマン』 〜THE GRAYMAN〜
 (2009)
  『暗殺者の正義』 〜ON TARGET〜 (2010)
  『暗殺者の鎮魂』 〜BALLISTIC〜 (2011)
  『暗殺者の復讐』 〜DEAD EYE〜 (2013)
  『暗殺者の反撃』 〜BACK BLAST〜 (2016)



『グレイマン』シリーズは現在この5作。
1から4までの過去の読書感想文は、1〜3はこちら4はこちら

邦題はどうも紛らわしいので、原題かナンバリングで呼ぶ方が解りやすい件。(; -´ω`-)
今月は実際には 5→1→2→3→4 と読んで、今もっかい「BACK BLAST」を読んでいる所です。



今回の5作目で、1作目からずっと作品の根底に横たわっていた謎、
"主人公ジェントリーが、CIAから「目撃次第射殺」対象にされている理由"が遂に解き明かされます。

そういう意味で、この1〜5は1つの流れで読むべきものであり、
ここでようやくひとまずの区切りとなります。
(まだまだ続刊するようですが)






















(ドラマティックでハイスピードで躍動感溢れるBGMをw)




















さて。
以下、核心には触れない程度に、少しばかりネタバレを含みつつ
5作通しての解説もどきをさせて頂きます。










物語の鍵となる「目撃次第射殺」指令。
本編では「シュート・オン・サイト」とルビが振ってあり、そう読んだ方が確かにスッと解りやすいかも。

ジェントリー本人には全く思い当たる事が無いのに、
(5作目『BACK BLAST』から数えて)5年前に、突然当時の仲間がジェントリーを殺しにきた。
それを撃退した事で「仲間殺し」の罪で、より「シュート・オン・サイト」が上塗りされたという経緯もあり。





しかし、この「シュート・オン・サイト」指令。

4『DEAD EYE』、5『BACK BLAST』辺りでは、
CIAから命を狙われているというのが、これでもかというくらい強烈に印象付けられているので最初からそうだったような感じになっていましたが、
今回読み返してみて、
実は1『GRAYMAN』では "CIA" は勢力としては出てこない。

「シュート・オン・サイト」の言葉は出ているし、設定としてちゃんと生きてるし、ひたすら刺客から逃げ続けているというのはそうなんですが、
1作目では、ジェントリーは企業に雇われた傭兵の身分で、敵対している刺客達も別の企業に雇われた身分。
つまり、客観的大局的には企業対企業の小競り合いでしかないのです。
この時はCIAはジェントリー狩りに関わっていない。

そして2作目『ON TARGET』の中に興味深い場面があります。
「シュート・オン・サイト」指令を出した張本人、CIA本部長 デニー・カーマイケル
ジェントリーに秘密裏に接触し、「或る任務を成功させたら、シュート・オン・サイトを取り下げてやる」というエサをもって、ジェントリーを自身の作戦に組み込もうとし、実際にジェントリーはその任務を請けます。
この時のカーマイケルは決して最初から騙すつもりであったようでは無く、背に腹を代えられない台所事情によって、止むを得ずジェントリーを使おうとしたようです。
しかし、逆に言えば、この時点では「シュート・オン・サイト」指令はまだその程度のモノだったという事。
本部長の一存で撤回しようと思えばできたという。
この事からも、「シュート・オン・サイト」指令は実は本部長カーマイケルの個人的な事情が強く絡んでいることが伺えます。



が。
正義感の強いジェントリーは、その作戦中にカーマイケルから指示された非道義的な命令を拒否し、独断で任務を続けた。
この事でカーマイケルが激怒し「今までのような生ぬるい制裁で済むと思うな。今後CIAは最優先でおまえを殺す」と宣言。

…なんだよ、やっぱり個人感情かよwww



というか。5年前に「シュート・オン・サイト」指令に至ったそもそもの理由が、
本部長カーマイケル、副本部長、長官、大統領などの上層部の中でも極々少数の限られた人間にしか知られておらず、
現場の指揮官などには一切理由は説明されず「ジェントリーを殺せ」とだけ命令が出た。
当然、現場は困惑し、「命令だから従うが、個人的には疑問を感じる」という人間がCIA内に数多く存在する。
しかし、本部長カーマイケルはCIA内では独裁的権力を有しており、反対派は容赦無く排除する為、表立って異を唱える者は居なかった。





ここで整理、とワタクシ個人の考察。
(軽いネタバレも含みますが)




・6年以上前、ジェントリーは或る単独作戦を命令通り完璧に成功させた。
・その作戦立案にはCIA本部長カーマイケルの個人的な事情が絡んでいた。
・ジェントリーが作戦を成功させカーマイケルは万々歳。

・しかし、ジェントリーもカーマイケルも知らなかったのだが、その作戦にはとある同盟国も絡んでいた。
・カーマイケルの勝利は同盟国の損害だった。

・作戦終了から数年後、同盟国から事情説明を求められたカーマイケルは自分の事情を隠す為、
 現場工作員(ジェントリー)がミスをした、と同盟国に説明。
・ジェントリーを身代わりの生贄に仕立て上げ、さっさと口封じしてしまえば丸く収まる。

・しかしジェントリーが予想外に抵抗し、生き延びる。






…というのが、時系列で言うと、1『GRAYMAN』より前のそもそもの発端ですが、
この内容は5『BACK BLAST』で初めて明らかにされます。

ここまでの時点であれば、
カーマイケルも同盟国に対して「相手が強すぎて殺害は失敗したが、一定の対応はしたし制裁も継続しているから納得してくれ」という口上でなんとか収めたのではないかと推測します。
同盟国側もこの問題は極々上層部の数人しか把握していないという描写が『BACK BLAST』中にあるので、おそらくそういう事なんだと思います。
つまり外交的には "ジェントリーに「シュート・オン・サイト」を出して、一度襲撃した" という時点で一応決着している(んじゃないのかな?)。



で、それが2『ON TARGET』中で、カーマイケルの私怨になったwww
職権乱用もいいとこですねwww
…というのは少し曲解ですが。
とにかく「シュート・オン・サイト」指令はカーマイケルの個人的な失態を隠す為に、カーマイケルが個人的にでっち上げたモノであり、いわば嘘を嘘で塗り固めたもの。
カーマイケル自身、それが解っているから「シュート・オン・サイト」の理由について部下から問い詰められても断固として口を割らない。
ただ「奴はアメリカにとっての脅威だ」と言って国家権力を動員する。
そして、本当の真実はカーマイケル自身の胸にしか無い為、ジェントリーさえ殺して口を封じれば、その事は永遠に闇に葬られる。
ので、必死こいてなりふり構わずジェントリーを消そうとする。
…んだけど、だとすると2『ON TARGET』までは随分悠長に構えていた事が矛盾する。
やはりカーマイケルは最初からジェントリーを騙すつもりだったんだろうか?
…思うに、多分それまでは、なんだかんだで利用価値のある男だし、
"死んだ事にしておいて" より便利使いすれば良い、とか思っていたのかもしれませんが、
ジェントリーの言動にキレて完全に感情論になった、というのが濃厚かしら?





…というのが、5作通しての大きな背景です。





が、ジェントリーに理解を示す者も少なからず居る。

ジェントリーは自他共に認める "正義のヒーロー" であり、
殺し屋稼業をしていても、選ぶ暗殺対象は必ず社会悪であり、道義的な動機がなければ仕事を請けない。
さらに、作戦中の副次的被害を良しとせず、第三者を絶対に巻き込まない。不必要な殺しはしない。
という、どこかの流浪人剣心みたいな話ですが(笑)。

一方で、
単独行動工作員として "最強" の能力を持つジェントリー。
敵の監視を掻い潜って影のように移動し、様々な専門知識で状況分析し、
1人対多数の圧倒的不利な状況でも超人的戦闘能力で切り抜ける。
カーマイケルが国家権力を総動員して潰そうとするのも決して過剰ではない。
基本的には無駄な戦闘を避けてコソコソしている事が多いジェントリーですが、
この人… キレたらメチャクチャ怖いですwww
正に鬼神の如きワンマンアーミーっぷり。
そのシーンに胸躍る。
特に3『BALLISTIC』終盤の展開は痛快爽快。

最初は本当に孤独な戦いをしているジェントリーだが、
作品を追うごとに徐々に協力者が一人、また一人。
この地道に足場を固めていって、大きな脅威に立ち向かっていくという基本構図が
なんだかんだ言って、王道の安定感。










それぞれの個人的短評とか解説みたいなもの。


 1『暗殺者グレイマン』〜THE GRAYMAN〜

  何は無くとも、とりあえずコレを読まなきゃ始まらない。
  内容としては「グレイマン=ジェントリーの自己紹介」という感じか。
  こういう考え方をして、こんなことが出来て、こんなことやる男ですよ、
  っていう、後のシリーズへの前書きのような位置づけ。
  でも、1作品としての纏まりは一番良いかも。ベタな展開だが、王道故に安心・満足。
  冒頭のシーンや、輸送機内での無重力戦闘など、序盤からアクション描写に大興奮。
  中盤、ジェントリーの師匠とも言える人物、老兵モーリスのシーンが印象深い。
  勿論、最大の見せ場はクライマックスの単独での攻城戦。
  舞台はスイス・フランス。
  だが、実はさりげなくこの時点で既に、5作目まで続く伏線が大量に仕掛けられている。
  故郷の父親の存在や、4『DEAD EYE』まで引っ張られる「キエフ」の謎など。



 2『暗殺者の正義』〜ON TARGET〜

  シナリオ的には、他に比べて少し躍動感に欠けてモタつくが、
  前述したように、CIA本部長カーマイケルが初登場し、
  ジェントリーの今後の運命がグラッとズレる瞬間が描かれる。
  また、これまた重要キャラクターである、かつての現場指揮官ザック・ハイタワーも登場。
  ここでのザックとの関係性と話の終わり方が、5『BACK BLAST』に繋がる。
  「第三次世界大戦へようこそ」。
  舞台はスーダン。



 3『暗殺者の鎮魂』〜BALLISTIC〜

  個人的にはこれが一番面白い。し、これだけ単品で読んでも耐えうるかもしれない。
  気になる女、ラウラを守る為に、文字通り命を掛けて戦うジェントリー、の図。
  戦闘に関しては足手まといでしかない素人の一家を守りながら国外脱出させる前半と、
  ラウラを攫われ、1人で巨大マフィアを壊滅させる獅子奮迅の後半。
  シリーズ全体に言えるけども、防戦から反撃に転じる後半のワクワク感が凄い。
  が、ラウラとの結末は、今後のシナリオ展開を考えるとこうするしかなかったな、という大人事情。
  しかし、シリーズ全体通しての視点で見ると本作で一番重要な所は
  かつての上司マット・ハンリーの登場。
  表向きはジェントリーの処刑立会いに来たという体で、
  個人的感情によってジェントリーの窮地を救ったハンリーだが、
  そのあたりの経緯も5『BACK BLAST』への伏線になる。
  舞台はメキシコ。



 4『暗殺者の復讐』〜DEAD EYE〜

  一言で言うと「ジェントリー、濡れ衣を着せられる、の巻」(笑)。
  ジェントリーがかつて受けたのと同じ養成プログラム出身の工作員デッドアイ。
  ジェントリーと同じスキルを持ち、ジェントリーと同じ事が出来る。
  そこでデッドアイは「グレイマン」を騙ってイスラエル首相暗殺を請け負い、
  ジェントリーに汚名を着せ、自身は報酬を受け取って雲隠れしようとする。
  かくして、CIA(の代理業者「タウンゼンド」)とイスラエルの諜報機関モサド、
  両方から追われる事になるジェントリー。
  だがモサドの現地担当官は「グレイマンが道義に反した暗殺を請け負うだろうか?」
  と疑問に思い、「シュート・オン・サイト」には消極的。
  結果、ジェントリーはデッドアイを斃して身の潔白を証明し、モサド幹部に恩を売る。
  この事がアメリカ本国へ帰ってくる足がかりとなり、5『BACK BLAST』の冒頭へ続く。
  舞台は北欧諸国。



 5『暗殺者の反撃』〜BACK BLAST〜

  そして全てが明らかに!!
  シリーズ中最も謎解き要素が強くて、一気に読んでしまう。
  一方アクション面でも、ジェントリーの作戦行動が今までよりも大胆になり、
  敵方の対応も大掛かりになっていて、多くの勢力を巻き込んだ派手な泥沼に。
  再びザックと相見え、ハンリーの下を訪れ、メディアと接触し、カーマイケルに躙り寄る。
  そして、古巣であり還る場所である、厳戒態勢のCIA司令部への単独突撃。
  最強ヒーロー・グレイマンの集大成。





5作終わって、特に意味のありそうな大きな伏線はもうこれといって無いのだが…
強いて挙げれば、

・1『THE GRAYMAN』の時の雇い主、ドナルド・フィッツロイや、人質になっていたその孫娘達との再会の可能性。

・3『BALLISTIC』のラウラとの再会の可能性。

・3『BALLISTIC』で、ラウラを攫ったマフィアを潰す為に、別のマフィアを利用して裏切ってきた為、
 その別のマフィアから狙われている。

・4『DEAD EYE』で、ジェントリー自身はデッドアイの死を確認していない点。
 「あと数分放置すれば死ぬだろう」という状況で立ち去り、
 その後モサドからの報告シーンで「ヤツを殺してくれたんだな」という表現がある。
 →デッドアイ復活という展開は有り得るのでは…?

しかし、5『BACK BLAST』終了時点で「シュート・オン・サイト」指令は消滅した為、
ジェントリーの今後の動機付けがなかなか大変なんでは?説得力に欠けるんでは?という心配が。(;´∀`)










んまぁ、次の6作目も超楽しみである♪(°∀°)


Posted at 2016/09/29 21:15:11 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年08月28日 イイね!

8月の読書

8月の読書久々の月5冊。
お盆休み約1週間、全く本読んで無かったのに。(°∀°)

過去1年色々読んできた中で、そろそろ再読したいなぁと思ってるのが何冊かあるので
来月あたりから再読を挟んでいくかも。
色々経験してきた後で今一度立ち戻ってみると、また見え方が違うことってあるじゃない。(* -`ω-)

9月度はジェントリーの新作が控えているので、
ここでグレイマンシリーズ一挙読み返しってのもアリか。































 ジョン・ル・カレ 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』 (1974)

『TINKER, TAILOR, SOLDIER, SPY』


先月の『寒い国から帰ってきたスパイ』に続いて、ジョン・ル・カレの代表作、にして最高傑作の呼び声も高い一冊。

イギリス情報部〈サーカス〉の中枢にソ連のスパイがいる。
現役を退いた元情報部員スマイリーは、スパイの探索の為に密かに呼び戻された。
膨大な記録を調べ、かつての同僚たちからも証言を集めた結果、幹部5人の中の誰かがスパイだと突き止める。
その5人は役職ごとにティンカー(鍵屋)、テイラー(仕立屋)、ソルジャー(兵士)、プアマン(貧者)、ベガーマン(乞食)という暗号名を持っていた。


…という話。
"元・本職" の著者ならではの込み入った描写が続いて、確かに大作・名作ではあると思うけど。

…うーん…
な〜んか読むのが大変なんですよねー…(; -´ω`-)
面白いっちゃ面白いんだけど、なんか重いというか、難しいというのか、
でもそーいうのともちょっと違うような…なんだろうね。
場面のイメージがあまり変わらないというのがあるかもしれない。
頭の中で映像化した時に全体的にトーンが暗い。お色気要素も無いし(笑)。
ページをめくる手に躍動感が宿らない(笑)。

文学的にケチをつけるわけではなくて、
この著者の作風が僕にはちょっと合わないという認識、発見。(;´ω`)
3部作の1作目ですが、続きは読まないにしよう。




















 レイモンド・クーリー 『テンプル騎士団の古文書』 (2005)

原題『The Last Templar』


著者はイギリスとアメリカでテレビドラマ等を手がける脚本家。
なので、仕事柄「絵的な見え方」を常に意識しているであろう事から、
さっき述べた "頭の中で映像化した時のイメージ" が非常に鮮やか。

「ヴァチカンの至宝展」が開催されるニューヨークのメトロポリタン美術館。
そこへ、テンプル騎士団の甲冑とマントを纏い、馬に乗った4人の騎士が乱入。
警備員を剣で斬り殺し、館内で破壊の限りを尽くし、展示物の一部を強奪して逃走。


…という冒頭のシーンからして、さすが "掴み" が凄い。


日本では多少馴染みが薄いが、アチラでは陰謀モノの題材として "ナチス" と双璧といわれる "テンプル騎士団" ネタ。
知名度は高いもののその実態には謎が多い、という所が「解釈の余地=フィクションの余地」に富んでいるということでしょうね。
個人的にはテンプル騎士団というと、『アサシンクリード』シリーズの悪役として馴染み深い。
『アサシンクリード』でのテンプル騎士団は、中世から現代に至る今でも世界を裏で操る巨大な秘密結社という設定でしたが、
本作で描かれるテンプル騎士団も「世界の在り方を転覆させうる切り札」を持ち、それを公表されては都合が悪いヴァチカン側がそれを闇に葬ろうとし続ける歴史、という一面を描きます。


本作のメインテーマは一言で言えば
「せやから結局、宗教ってなんやねん」っていうトコ(笑)。
特にキリスト教の欺瞞にザクザクと切り込んでいく辺りはなかなか好印象。


「教会はもはや全く人々の支えとなっていないのです。
それどころか戦争や虐殺の言い訳に利用されている。」

「キリスト教、ユダヤ教、イスラム教。信徒たちは自分たちの聖典に書かれている事を守るためなら命懸けで戦う。
だがその根拠は何だ?何千年も昔の神話や伝説か?
滑稽な戯言を寄せ集めたおとぎ話によって、いまだに人の命が支配されている。」

「キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、共通したルーツはアブラハムだ。
アブラハムがその3つの宗教の父であり、唯一神信仰の祖である事をわかっているか?
この3つの宗教は同じ神=アブラハムを信仰していると主張するが、
神の言葉を巡って誰が一番正しい預言者かなどというつまらぬ争いを始め、それは今も続いている。」



ほんまそれなwww

本作で核になる部分は、
・中世当時のテンプル騎士団が、それら3つの宗教の融和を目指していた
・「イエスは神の子などではなく一人の哲学者であった」という "証拠" をテンプル騎士団が隠した
というポイントです。
そのどちらもがヴァチカンにとっては都合の悪い事なワケで。

でもやっぱり著者がキリスト文化圏の人だからか、ストーリー終盤のまとめ方は個人的には不満。
もっとザックリ切り込んで欲しかったけど、
…まぁ、そこそこ知名度&社会的地位のある人物がそこまで言っちゃうと色々と面倒な事になるんだろうから、しゃーない部分かもしれんけどね。
それこそがテーマに対する解答になっているという皮肉。

でも読んでいてヒジョーに楽しかったしワクワクした。
続編があるようなのでそっちも読んでみようと思う。




















 アンドレアス・グルーバー 『夏を殺す少女』 (2009)

原題『RACHESOMMER』


原題はドイツ語で「復讐の夏」。
本にしろ映画にしろ、海外モノの邦題って "残念" なのが圧倒的に多いけど、本作は完全に邦題の勝ち! しかもこの表紙イラストがまた良い!(;´Д`)ハァハァ
正直白状しますと、この邦題と表紙絵でジャケ買いしたようなモン。
でも「これはアタリだ!」という妙な確信を持って買った。
そして実際、アタリでした。(°∀°)

上↑の『テンプル騎士団』もかなり面白く、けっこー(*´Д`)ハァハァしながら読んでましたが、
この『夏を殺す少女』は、それが霞むくらいの大当たりでした。


酔った元小児科医がマンホールに嵌って死亡。市会議員が山道を運転中にエアバッグが誤作動し死亡。どちらもつまらない案件のハズだった。
事故の現場に、一人の少女の姿が無ければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が謎の死を遂げなければ。
一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。ウィーンの若手弁護士エヴェリーンは次第に事件に深入りしていく。
一方ライプツィヒの刑事ヴァルターは病院での少女の不審死を調べていた。
オーストリアの弁護士とドイツの刑事の軌跡が出合う時、事件が恐るべき姿を現し始める。



「中欧・東欧」「少女」という属性が合わさると、みょーにエロチシズムを感じるのはワタクシだけでしょうか?
いや、そんなことは無いはずだ!←
………という期待を裏切らないプロローグですよww

本作の面白さをネタバレしないように説明するのはなかなか難しいんですが…
とある法則による対象者を、 "少女" が事故死を装って殺していく、一方
とある症状で入院している同年代の少年少女達が、これまた何者かに次々と殺されていく。
とまぁー…やたら人が死にます(爆)。
が、その裏に隠された本作のメインテーマは、恐らく "事実を元にした" 犯罪であり社会問題。
そうこう言っている "今" にも行われているであろう、社会の闇。

フィクションでありながらもノンフィクションのメッセージ性も含んだ、社会派の内容と言えます。
が、ミステリー小説としての完成度も非常に高いし、これまた物語の舞台が広範囲に渡り、ちょっとしたドイツ観光の気分も味わえる。

社会の暗部を浮き彫りにする問題提起のシリアスさと、小説としての面白さが高次元でバランスされていて、
予想以上の傑作、"我が心の書棚" に収まる一冊になりました。



















 レイ・ブラッドベリ 『華氏451度』 (1953)

『FAHRENHEIT 451』


華氏451℉ = 摂氏(約)233℃
紙が自然発火する温度と云われる。

 
書物が忌むべき禁制品となった未来のアメリカが舞台。
書物は著者それぞれの主義主張が千差万別であり、「人々を惑わす」として禁書になった。

家々には、壁一面を覆うテレビ画面が何枚も設置された "ラウンジ" と呼ばれる部屋があり、
政府によって無意味な娯楽・当たり障りの無いニュース・仮想の家族が垂れ流される。
用意される娯楽は、エアカーでの暴走・スクラップ場での破壊解体・そして見せしめの焚書ショー。
書物を隠し持っている者は、通報され、昇火士が駆けつけ、全ての書物を家ごと焼き払う。
主人公は、陰徳された書物を焼き尽くす公務員 "昇火士" 。

ラウンジの放送で国民の思考を奪い、焚書で過去の知恵も葬る。
人々は何も考えず、与えられた情報と娯楽だけで満たされ、ただただ楽な方向へと流されていく。



50年以上前の作品ですが、…2016年の今もコレと似たようなもんぢゃね?( ゚д゚)
ポケGO騒動とかマジで同じ。この世界は確実にディストピアへ近づいている。

自分の目で見、耳で聞き、肌で感じ、頭で考え、自分の言葉で話す。
それがなにより重要であり、それが無い人間は人間ではない。
と、強烈に印象づける作品。
今アメリカではこの小説が教科書に載ってるそうです。


…という内容のメッセージ性も勿論重要なのですが、
このレイ・ブラッドベリ。
アメリカを代表する作家の一人で、今回初めて読みましたが…
文章が非常に詩的。ポエティック。美しい。
英語→日本語に訳してあるコレでそう感じるので、原文で読めたらさぞ美しい文章なんだろうと思います。

元々短編だったネタを長編化した作品ということですが、いまいち膨らまし切れていない印象もあり。
序盤に登場したキーキャラクターが途中で居なくなったまま結局最後まで回収されず、とか。
上司の昇火隊長が "禁忌" を犯して本の知恵を蓄えている素振りを見せるが、あまり掘り下げられず、とか。
物語としては少しツメが甘い部分があるものの、
内包したメッセージ性が非常に強烈で印象に残る作品。
一家に一冊必読図書かな。子供に読ませたい本。




Posted at 2016/08/28 10:00:08 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年07月28日 イイね!

7月の読書

7月の読書早いもので、この「○月の読書」シリーズも続けて1年になりました。

海外小説オンリーという、
これまたワタクシの性格を反映したような、需要の低そうなニッチな市場に特化して突き進んで参りました。

が…



…別に今後も改める気は御座いません♪(°∀°)































 ジョン・ル・カレ 『寒い国から帰ってきたスパイ』 (1963)

原題『THE SPY WHO CAME IN FROM THE COLD 』


著者は、なんか「おフランス」みたいな名前ですが、
これはペンネームで、実際はバリバリのイギリス人。
スパイ小説の巨匠と称されるが、実際にイギリス情報部に勤務経歴有りで冷戦下の西ドイツへの赴任も含む。
…という、“本職” の方なのでそりゃ納得。

故に、背景設定や細かい動作の表現が非常にリアル。
が、逆に言えばなんだか「読みにくい」という印象も抱く。
いや、読みにくいというより「難解でわからない」。「何がわからないのかわからない」という息苦しい感覚。
今「8月」用に、“同じ著者で訳者が違う作品” を読んでいますが、やっぱり同じ感じで難解なので、ジョン・ル・カレという作家の作風が “そう” なんだと思います。


本作は大雑把に言えば “二重スパイ” の話なのですが、
そのつもりで読んでいる読者すらも「え?この人今 “どっち” なん?あれ?」と混乱してくる程、偽装工作の描写が込み入ってる。

今目の前に並んでいる文章がミクロとして在り、常にマクロに俯瞰で引いた全体像も意識しながら読んでいかないと迷子になる。


東ドイツに送り込まれる主人公は、既に一線を退いた引退間近の諜報員。
が、作戦内容は部分的にしか説明されず、管理官すらも作戦の全容を知らない。
自分が作戦の歯車のどの部分なのか解らないまま、自分に与えられた役割をこなすしかない、という理不尽さや、
味方すらも欺く偽装工作は、味方の中の誰が敵か解らないという疑心暗鬼。
誰が囮で、誰が味方で、餌は誰? 敵軍の味方は本当に味方? 作戦の目的はどこにある?
作戦の “知らされていない部分” に翻弄され、仕掛ける側から尋問される側になり、敵と味方が入れ替わる…



これにはドンパチ銃撃戦も派手な戦闘アクションもありません。
頭脳プレイの騙し合い探り合い謀り合い。地味で難解。
まさに純なスパイ小説。エンターテインメント性という意味ではキャッチー度はかなり低い。
でも、つまらないワケではない。面白い。でも難しい。

もう…頭のなかゴッチャゴチャになりますww
良いトレーニングにはなるかも。
読み終えた時に残る ものっそいやるせなさ
組織の目的の為に潰されていく個人の人間性。
誰かを守る為に味方を騙す。誰かを守る為に味方を見捨てる。そして自分も当て馬だったと気付く。
が…、冷戦下の諜報合戦って、実際こういうものだったんだろうなぁ…という。
フィクションなんだけど、甘くない、ブラック無糖の現実がそこにある。




















 フィリップ・K・ディック 『ヴァルカンの鉄槌』 (1960)

原題『VULCAN'S HAMMER』


毎度お馴染みのディックです。
ハッキリ言おう。本作のノリは正真正銘「B級映画」。ケチの付けようのない完璧な「B級映画」。
真面目に読んでたら途中でガックリと力が抜けるww
一回読んだらもうポイする系ww
世界観設定とかも、まぁ、ありきたりと言えばありきたりな
「核戦争で荒廃した後、巨大コンピューターが政府に成り代わり世界を管理するディストピア」という厨二病なアレ。

P・K・ディックという作家は完全に職業作家なので、
食っていく為に=原稿料の為だけに=あまり中身を練り込んでいない作品を大量生産していた時期、というのがあるようで。
本作は正にその大量生産品のうちの一つwww

で、これまでディックの著作を幾つか読んでみて、毎回何となく感じていた事がありまして。
このディックという人物。既に、とうの昔に故人ですが。
たぶん、何らかの精神疾患があったんではないのか?と。強迫神経症とか、そういう系の。
今まで読んだ作品全てで、なんとなく病的なニホヒが感じ取れる。
他人や社会への不信感であったり、宗教・呪術的な影響であったり。
常に何かしらが引っ掛かる感じ。
それなりに面白いし(ストーリーの先は気になる)、それなりに読み応えもあるんですけど、
「コレめっちゃオモロい!おすすめ!」にはならないのよね〜…




















 スティーヴン・ハンター 『我が名は切り裂きジャック』 (2015)

原題『I, RIPPER』


一転、この著者の本はめっちゃオモロい!! 構成力抜群!
ストーリーの展開も「先が気になって」グイグイ読めるタイプだし、
終盤でさりげなくネタバレさせる「このキャラが実は実在のあの偉人」というネタの仕込み方(及び、それを違和感無くストンと嵌め込む周到な設定)等、
上手い!の一言。


人類史上最大の未解決事件『Jack the Ripper』
未解決= “正解が無い” ゆえ、創作のネタとして普遍的な人気を誇るテーマ。
1年前にも『Jack the Ripper』がテーマの本を読みましたが…
本作はあの幼稚な作品とは雲泥の差。
(てぇかアレについては…処女作でいきなりJack the Ripperを扱うのは無謀だろ…)



本作の特徴は、
『切り裂きジャック』を快楽殺人者ではなく、
数々の凶行は「社会への強烈なアンチテーゼの道義的メッセージ」であり、犯人は教養の有る知識人である。と位置づけている点。
つまり、その犯行には一貫した “信念” があり、全ては緻密な計画に基づいている。

ほら、猟奇殺人事件が陰謀ミステリーに変わった(笑)。
Jackの連続殺人は “目的” ではなく “手段” だとしたら?
ある意味、
本作の成した一番の偉業は「“Jackという神格” を、神でも悪魔でもないただの人間にした」事かもしれない。


…まぁ、本作での “Jackの正体” については、意外性という点では「あーね…」という感じですが、
そこは大して重要ではない、と思えるくらい物語そのものが半端無く面白い!
この著者の本をもっと読みたくなった。

前述の、「ある登場人物が実はあの偉人」というのも一つのハイライトですが、
『Jack the Ripper』の名付けの言語学的考察や、当時のイギリス・ロンドンの生活文化の分析等、
非常にハイレベルに作り込まれているな、という印象。
コレが史実の真実である、と言われても充分な説得力がある物語。

ただし、18禁。グロ表現注意(爆)。




Posted at 2016/07/28 22:00:19 | コメント(4) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年06月26日 イイね!

6月の読書

6月の読書今月はmaipeco教習のブログを捏ね回したり、他にもちょっと脳内妄想を捏ね回したりしてて、読む時間がペースダウン。
ゆーてたら今度はじょじょエボが復活w

3冊/月ペースは維持してますが、今月はかなりギリギリですた。( ̄д ̄;)
本気出して読んだら1冊2〜3日で読めるんやけどねぇ。


先月の3冊は全てミステリー系にしたので、
今月の3冊は趣向を変えて、現代〜近未来を舞台にしたサイエンス・フィクション系。
どれも結構現実離れした刺激的な内容で楽しめました。
というか、「おぉ、こんな切り口があるのか」と感心すること多々。















 フィリップ・K・ディック 『宇宙の目』 (1957)

原題『Eye in the Sky』


ディックの本は1年弱前に読んだ『高い城の男』以来2冊目。
パラレルワールド系を得意とする?ちょっと作風に癖のある作家ですね。

この『宇宙の目』もまさしく“The パラレルワールド”。
他人の深層心理を具現化した世界の中に放り込まれたら? というテーマ。
8人のグループがとある事故に巻き込まれ、その8人が「8人の内の誰か」の精神世界に順番に叩き込まれる
…という設定は実はどうでもよくて、
順番に体験していく “深層心理を反映した世界” の描写そのものにワクワクする作品。
遊園地のアトラクションを順番に回ってるような感覚。
宗教倒錯者、メルヘンお花畑脳、被害妄想&強迫神経症、共産主義、そんな価値観が支配する “世界” に放り込まれてゾクゾクヒヤヒヤする、非常にエンターテインメント性の高い小説です。
その “精神シャッフル” に陥る状況の説明としては結構無理があるけど、そんな所をどうこう言う作品ではない。
ジェットコースターお化け屋敷ツアーへGO♪(・∀・)















 グレッグ・イーガン 『祈りの海』 (2000)


1989〜1998年の間に発表された11編の短編集。
比較的新しい世代のSF作家の中で、結構有名らしいのだが…
「テーマが科学的に濃過ぎて、しかもその辺の技術面の注釈・解説をろくにしない」という評価を目にしたので
面白そうだけど難し過ぎたら嫌だしなぁ…どんな感じの文章書く人なんやい?
…と思っての「短編集」です。

えー…
すげぇ刺激力のある独創性に富んだ作品群。
それぞれの短編で、“現実” とは明らかに違う “世界” をキッチリと作り込んである。
サイエンス的でありながら、生物学的な生々しさも多く、その発想はかなり奇想天外。

「脳の中に人格をコピーする宝石が埋め込まれ、20歳前後で生体脳からそのコピー脳へスイッチし、データ化されたパーソナルで半永久的に生きる人類」とか、
「“可愛い赤ん坊を愛する欲求” を満たす為だけの、“4歳までしか生きない愛玩用乳児” を男性が人工妊娠し帝王切開で出産する…」とか、
「人類の唯一人の母=イヴを遺伝子研究で明らかにし、人類全てが国家や人種を超えての一つの家族である、と証明しようとする研究に対し、人類は男性系であるとするアダム勢力とが対立し、結果的に再び世界的な争いに発展する。=結局、戦争の形が変わっただけ」とか。

読み手の内面の “あまり直視したくない領域” にザクっと切り込んでくる。

11編全てに共通して言えるテーマは「アイデンティティ」。
11もの様々な特殊な環境下で、11人の主人公それぞれが振り回された後、自問するのは「私とは何か」「これが私だ」という所に集約される。
逆に言えば、「私」を表現するのにコレだけ仕掛けに富んだバリエーション豊富な引き出しを見せるこのグレッグ・イーガンという作家。たしかに凄い。
頭の普段寝てる部分を多いに刺激されます。















 グレッグ・ベア 『ブラッド・ミュージック』 (1985)


〜The King of SF〜 と言えるアーサー・クラークの『幼年期の終り』。
其れの再来という評価を得ている本作。
しかし、『幼年期』は、人類より高位に進化した存在が人類全体を(地球破滅の日までに)進化させようと計画的に管理しているのに対し、
本作『ブラッド・ミュージック』の “人類の変容” は、人類の意思とは無関係に変容“させられる”。
(といっても、そこに悪意は無い)

遺伝子工学の天才ウラムは、自分の白血球をベースに “知能を持つ細胞” を開発するが、会社から実験中止&破棄を命じられる。
彼はその細胞を自分に注射して研究室から持ち出そうとする。

最初は、長年悩んでいたアレルギーが全て無くなり、風邪もひかなくなったという “変化” に驚きつつも喜んでいたが、次第に身体の内外に異常な変化が現れる。
この “知能を持つ細胞” が、人類はおろか、地球上の自然環境全てを変容させる事になっていく。
…と、実は最後はもっと大きなスケールの話になるのだが…

『幼年期』とは全然違う話だけど、でもある所はとても似ていると感じた。
個体としての記憶の価値は薄れ、種としての記憶を蓄積・集約・共有する。
情報の奔流の中に全人類の意識が混ぜ合わされれば、
肉体など要らず、物理的世界も必要無く、時間の概念すら無意味になり…、という…
嗚呼、ニュータイプ!ww

Posted at 2016/06/28 10:30:04 | コメント(2) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記

プロフィール

「@あすきー 別に昨今のインバウンドに始まった話ではなく、私がチビッコの頃でも珍しく光景ではなかったです。伊丹空港&新大阪が近い土地柄もあったかもですけど?」
何シテル?   09/25 19:16
派手な赤い車なんで、どこ行ってもすぐバレますw 死ぬまでMT宣言。 _/_/自分で運転した事あるクルマ_/_/ スバル インプレッサ...

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