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Red13のブログ一覧

2016年05月31日 イイね!

5月の読書

5月の読書前回の記事『BMW M2 試乗』のPVが、えらい勢いで伸びまくり(現在進行形)で、
イイネ!数も自己記録更新中です…((( ;゚Д゚)))
改めてM2の注目度の高さを感じる今日この頃…



あーんど、
『SUBARU STI NBR』クラス連覇&総合20位、おめでとうございまっす!
という今日この頃(笑)。



ソンナコンナデ
“5月” ギリギリのタイミングでようやくアップ。
(その背景には、できる限り長い間 “M2試乗記” を先頭に置いておいてちょっとでも人目に触れるように…、なんていう小賢しい策略があったりなかったりww)





つぅわけで
今月は、怪奇?ホラー?ミステリー?な感じのを3冊です。










 マイクル・コリータ 『深い森の灯台』 (2011)

原題『The Ridge』


…と言いつつ、コレは別にホラーではないな。


時は現代。アメリカ中東部の丘陵地帯。
周りに海など無い、深い森の中になぜか灯台が立つ。
その灯台を建て、その灯台に住んでいる風変わりな老人が自殺した。
死ぬ直前の老人から不可解な電話を受けた保安官は、老人が残したメッセージにより
この灯台の周囲の地域では100年程前から、奇妙な殺人事件が散発している事に気付く。
捜査を進めていく内に立て続けに起こる不穏な現象。
幻覚を見たという部下、突然騒ぎだす猫科獣たち、森の中を漂う青い火。
それらの現象が起こったのは全て  だった。



独創的な切り口のストーリーで謎解きが非常に面白い。
の…だが…
後半に行くと「えー…そっち系ネタ?( ̄д ̄;)」と、個人的にはちょっとシラけた。

ぶっちゃけちゃうと、“死神との取引” 的な話なんですが
でもこの “死神(というような存在とはちょっと違うのですが、適切な表現が難しいのでとりあえず死神と言っておく)” がすげードライな淡々とした感じで、そこにちょっとウケた。
ひじょーにシンプルな取引を作業的にやるだけの “死神” という、これも現代を映す鏡なのかなぁ?と思ったり。

“猫科獣” が一つのキーになり、その扱い方は好きなんですが、
“死神” に対する問題が、根本的には全く何も解決されないまま話が終わるので、ちと納得いかぬ。
読後の「宙ぶらりん感」が凄いw
「この場所でのエピソードはこれで終わり」という感じで、続編を書く気満々なのかどうか。
このテーマをどう纏めて、説得力のある解決を示すのか、見てみたいですね。

映画化を念頭において書いたのかな?とも思える、画面映えしそうな情景が多いです。
昔、あるゲームで『猫は、夜を護る者』なんていうフレーズが出て来たのを思い出した。















 ギレルモ・デル・トロ/マシュー・ロビンス/ナンシー・ホルダー 『クリムゾン・ピーク』 (2015)


一方これは、映画が先で、それのノベライズという作品。
3人並んでる名前の前2人は「脚本」で、3人目が「ノベライズ」です。


時は1901年、アメリカ。
感受性の鋭さを武器に、作家を目指す24歳の女性、イーディス。
英国紳士のトーマス・シャープ卿と出会い、英国のシャープ卿の屋敷へ嫁ぐ。
だが、朽ちかけた古い屋敷は薄気味悪く、視界の隅を黒い人影が横切り、常に誰かに見られているような感覚があった。
トーマスの姉・ルシールの言動もどこか脅迫的で不可解で、不安と孤独に苛まれるイーディス。
シャープ姉弟とは何者なのか? この屋敷には何があるのか? 気配を感じる “ナニカ” の正体は?



この作品のテーマは『幽霊』です。

貞子ばりのヒンヤリ湿度高い系のホラーで、けっこーグロテスクな表現も出て来ます。
しかも出てくる幽霊は1人ではなく、複数の幽霊が身の毛もよだつ、非常にインパクトのある描かれ方で登場します。
映像で見ると怖くてヤだけど、文章でならまぁ大丈夫。( ̄▽ ̄;)
が…
この作品の特徴は、「それら幽霊を、重要人物には置いていない」という所。
ふつーだったらそういう幽霊そのものが “ラスボス” になるモンですが、
この作品ではあくまで一登場人物というか、それですらない 背景 みたいな所もある。
それこそが、この作品が表したい『幽霊観』なのだと思う。
幽霊とはあくまで既に “この世” を去った存在であり、 “この世” での主役にはならない、というような。
とはいえ、“幽霊モノ”である以上映像としては大きな見せ所なので、映画でのその幽霊達のホラー表現はかなり力が入っていますが、物語の上ではそれらは別にそれほど重要な所ではない、というのが面白い。
あ、別にそれら幽霊に意味が無いわけではないですよ?
ただ、あくまでチョイ役であるという事。


このストーリーは結構好きです。
設定にちょっと色気を加えれば、このシャープ姉弟は「不老不死の吸血鬼」だとか「人に化けた悪魔だ」とかっていう話にもできるだろうし、むしろそうしちゃった方が楽なように思えますが、
でもこの作品の中の登場人物は、皆 “ただの人間” です。
一見、ファンタジーものに見せておきながら、「現実的に有り得そうな話」に纏めている手腕がお見事。
まぁ、それもつまるところは本作の『幽霊観』に納得できるかどうかでしょうけど。
ファンタジーではないけど、ロマンティックです。ある意味。
ゾンビ貞子が何人か出て来ますが、読み終え(見終え)たら、それらもちょっと愛おしく思えちゃうかもしれません。

コレは映画も見たいと思った。
映像が先にあるので、“色” に関しての描写が細かくて、場面をイメージしやすい。
し、映像で見てみたいとも思える。




















 ガストン・ルルー 『オペラ座の怪人』 (1910)

原題『Le Fantome De L'Opera』


数々の映画化・舞台化を生んだ超有名作のオリジナル。
それら多くの二次創作ともいえる作品群では、“怪人” がやや美化され、作品自体もラブロマンス扱いされている傾向があるが、オリジナルの本書は怪奇ミステリー色が強く、“怪人” の容姿もゾンビかという程醜悪な描写。


オペラ座で度々起こる不可解な事件。
ホールを歩く死神の様なマントの男。
誰も居ないのに声だけ聞こえる不気味な客席。
首吊り死体で発見される大道具主任。
公演中のステージ上から突然神隠しに遭うバレリーナ。
そのバレリーナに恋した若い貴族が巻き込まれる悲劇。

オペラ座の地下の奈落には迷路のように複雑な通路が縦横に走り、
パリ・コミューンの際に牢獄として使われた空間もあり、
地下水の浸入を防ぐ隔壁や、地底湖まである。
オペラ座で働く者の誰一人として、地下の構造を全て把握している人間はいない。
ただ一人 “怪人” を除いて。



前半部は、歌手クリスティーヌとラウル子爵が “怪人” の引き起こす怪奇に引きずり込まれてゆく過程。
後半部は、クリスティーヌへのストーカーちっくな想いを暴走させる “怪人” に対し、
「ペルシャ人」とだけ名乗る、 “怪人” の正体を知るらしい胡散臭い男とラウル子爵の2人が、地下の “怪人” の居城へ乗り込む『不思議のダンジョン』(笑)。

“怪人” は過去、その容姿を理由に人から(親からも)愛された事が無い人間不信の為、基本自己中です。ジャイアニズムです(笑)。
しかし、愛を知らず愛を求めるが故に、ある意味非常に純粋です。ピュアです。
身勝手でありながらも、悲劇とロマンチックさを内包する “怪人” の行動理念。
オペラ座を巨大な忍者屋敷に仕立て上げ、忍術・奇術・手品・トリック・腹話術を駆使し
オペラ座の全てを裏でコントロールする “怪人” 。
惚れた歌手に、姿を見せないまま “音楽の天使” として交流し、彼女を隠れ家にさらい、
「ぼくと結婚してくれなきゃオペラ座ごと自爆して死んでやる!」というwww


なんだ、厨二病って100年前から居るんじゃん♪(・∀・)ww


ただ、現代の流行りと一つ違うのが
「※ただしイケメンに限る」では無いところwww
“オペラ座の怪人” はマジで直視に耐えないゾンビか死神か、という容姿ってことになってます。このオリジナル小説では。
まぁ、コレがイケメンだったらふつーに何のヒネリも無くておもんないよね!(・∀・)ww
(と、さりげなくアンチテーゼをブっ放してみるw)



ちなみに。
作中で “怪人” が自身の事を「OのF」と称する場面が何度かあり、
ファントムって Phantom やから「OのP」じゃね?と思ったら、
フランス語では Fantome(oの上に^が付く) なのね。(;´∀`)


もひとつちなみに、
以前読んでたお陰で
作中で上演される『ファウスト』の場面描写がよくわかったし、
その上での笑いどころもあって良かったっす。( ̄▽ ̄)
Posted at 2016/05/31 22:18:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年04月27日 イイね!

4月の読書

4月の読書実は今月の3冊は、
全て、「筑波遠征」の前に読んでまして、
筑波から帰ってきた後は(写真整理とかブログ書き書きとかで)読書は全くのサボり状態(笑)。

んで、もう今週末からGWですよ!
初日の29日からゼンカイで遊びの予定いっぱいなので、もう本なんか読んでるヒマ無い!←
というワケで(笑)、ちょいと早めの「4月分」です。




























 ジャック・ヒギンズ 『鷲は飛び立った』 (1991)

原題『The Eagle has flown』


3月に読んだ『鷲は舞い降りた』の続編。
ですが、「最初から考えてあった2部作」ではなく、「後から思い付いて継ぎ足した」パターン。


古今東西問わず、大抵の場合この “「実は生きてました」パターンw” は全然オモんない駄作になる事が多いですが、
どっこい、コレは結構良い出来だと思う。
前作のメイン2人、クルト・シュタイナとリーアム・デヴリン。
今作ではシュタイナはあまり大きな動きはせず、デヴリンが主役になって立ち回る。
そしてその2人以外は殆どキャストが入れ替わっているのだが、どうもその主要キャストは、著者の他作品の主人公キャラが何人か登場しているようで、
さながら、著者の “オールスターキャスト大感謝祭” 的な面があるようです。
とはいえ、僕は著者の他の作品は知らずにこれだけ読んで、それでも充分面白いと思いました。
他のもちょっと読みたくなりましたね。
「ヴァルター・シェレンベルク少将」なんて…
いかにも “非ドイツ人が考える厨二病的「カッコいいドイツ人名」” みたいでゾクゾクしちゃうww


前作『舞い降りた』のエンディングのままでも、多少物寂しさは残るもののアレで一つ完成された形だったと思いますが、
今作『飛び立った』で、読後感が晴れやかになったのが良い。


終盤ではヒトラー暗殺を巡るドイツ軍内の攻防がありますが、
「ヒトラーが権力の座に居る方が戦争が早く終わる、だから暗殺を阻止する」という視点は
なかなか、歴史の表と裏を考えさせられる部分ですね。















 ギャビン・ライアル 『深夜プラス1』 (1965)

原題『Midnight Plus One』


原題のままで良くね…?(笑)
えー…、ざっくり言うと
「命を狙われている要人を、フランスのカンペール(↓の地図の、左に突き出てる半島の先っちょ)から、



リヒテンシュタイン(スイスとオーストリアの間の国)へ、タイムリミットまでにクルマで送り届ける」というだけの話www





リヒテンシュタインといえば、今話題の「Tax Haven」の一つであり、
この作品の中でも正にその側面を扱っています。
護送する要人は、とある会社の大株主であり、その会社はリヒテンシュタインに籍があり、そこで開かれる株主総会に行かねばならないのだが、命(と、その持ち株)を狙われている、という話。
それを送り届ける2人。大戦中はレジスタンスの工作員であった主人公がドライバーを勤め、護衛のガンマンは実はアル中w

ストーリーはそんな大した事無いんですw が、
小道具の描写がかなり凝ってる。

拳銃のコダワリやウンチクもなかなかのものですが、
メインで使用するクルマが、

シトロエン DS




ロールスロイス ファントムII



この本読んだ理由、ソレだけですwww

全ての制御系が油圧システムであるDSが、銃撃を受けてオイル漏れ→だんだん操作が効かなくなっていく
という描写が、みんカラ的には一番の読みどころ(笑)。
山岳要塞のトーチカ塹壕にファントムで突っ込むなよwwwというネタも。
RRでそういうことやるならペネロープ号でしょw

ストーリーよりも、キャラクターの作り込みを楽しむ作品ですかね。
クルマのチョイスもですが、2人が使う銃にもそれぞれの性格・美学が色濃く反映されていて
なんか背景とか細部が妙にカッコいい作品という印象。
こんだけ細かい描写を入れる著者というのは…そーとーなオタクやで!ww

ストーリーだけならいかにもB級映画的なんですが、
映像化しても、この独特の空気感を再現するのは至難の業かと。















 セバスチアン・ジャプリゾ 『新車の中の女』 (1966)

原題はフランス語なので割愛…


↑上の『深夜プラス1』と同年代の作品で、これまたクルマが重要なファクター。
作中では「サンダーバード」としか言われず、正確な年式は不明だが、
作品の発表年が1966で、「最高速200km/h」とか「2ペダル」といったキーワードで “最新式” という扱いをされているので、おそらく4代目のコレであると思われる。




ヒロイン・ダニーは、
借り物のサンダーバードで、気まぐれの旅に出、初めて訪れる南仏へ。
しかし、なぜか訪れる先々で自分の事を知っている人が現れ、
身に覚えの無い “事実” ばかりを突きつけられ、次第に「自分がオカシイのでは?」と思い始める。
立ち寄ったガソリンスタンドで何者かに背後から襲われ、片手を負傷。
出発時には空だった筈のトランクに、男の死体。
「誰かが私を陥れようとしている」
「いや…それとも、私は誰なの?」


という、ジャンルとしてはスリラー?犯罪小説?です。
見えない流れに飲まれて、『私』が私でなくなっていく過程に読者も引き込まれて行く。
『私』は二重人格なのか?記憶喪失なのか?と思い始めた所で、謎解き編へ。
トリックは古典的でシンプルなんですが、ハイテクでサイバーな世界に辟易している現代人には
ある種、牧歌的でホッとする “スローライフ” な犯罪です(笑)。
「電話をするのにも、交換手の呼び出し待ちで1時間かかる」とか、もう平和過ぎる(笑)。
こういう世界の方が好きだなぁ。


…しかし、なんかフランスの小説って犯罪小説が多いようなのは、気のせいか?( ̄▽ ̄;)


Posted at 2016/04/27 19:40:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年03月29日 イイね!

3月の読書

3月の読書
今月は前半に立て続けに一気読みして、
月後半は殆ど読んでないというアンバランス。

MH19も半分くらい読みましたよ?(笑)





















 ジャック・ヒギンズ 『鷲は舞い降りた』 (1975)

原題『The Eagle has landed』


タイトルだけは良く目にし耳にし、そのタイトルを引用したキャッチフレーズも数知れず。
でも、なんの話なの?( ̄▽ ̄;) と思っていたものが、たまたま本屋で新装版で積んであったので。


第二次大戦末期、戦況が敗色濃厚となってきた頃のナチスドイツ。
ヒトラーの密命を受け、イギリス東部の寒村にドイツ空挺部隊が降り立った。
彼らの目的は 「チャーチル誘拐」 。



…というトンデモストーリーかと思いきや、実はコレ、半分は実際の話なんだそう?
ホントに当時のナチス内でそういう計画があったらしい。
グランサッソでのムッソリーニ救出劇という“前例”に勢いづいた背景があるのでしょう。
………という説明そのものが著者の作り出した設定なのかもしれませんが?


ともあれ、二次大戦とナチスに関する情報を徹底的に集め、そこに巧みに肉付けしたフィクションですが、
もちろん史実の実在人物も登場しますし、IRAの人物が物語内でも重要な役回りをします。
(僕はその辺りの時代背景にあまり明るくないのですが)このIRA兵士も、おそらく実在の人物をモデルにしているのでしょう。

というリアリティさもこの作品の魅力ですが、

当時最も評価された部分として、
「それまでステレオタイプ的な悪役としてしか描かれなかったドイツ軍人を、人間味溢れるヒーローとして描いた点」があると解説文にありました。
確かに、主人公格のクルト・シュタイナ中佐は、
ナチス内の不条理に翻弄されながらも、プロの軍人としての誇りに溢れ、部下を想い、礼儀も重んじる、正にgentleman。
SSの恐怖体制に対し頑に自己の信念を守ろうとする情報部のマックス・ラードル中佐。
皮肉に富んだアイルランド人戦闘員リーアム・デヴリン。
口先ハッタリ演技で生きてきた詐欺師の伊達男 プレストン少尉が、無理矢理作戦に編入され屈辱を感じながらも一戦士としての誇りに目覚めていく様。
リッター・ノイマン副長、ゲーリケ操縦士、シュトルム軍曹、デヴリンに恋する少女モリー。
それぞれの人物が非常にリアルに、活き活きと“立って”いる。

一方、SS長官ヒムラーの徹底した “ド腐れ外道” っぷり等、ナチスの中の典型的悪人という存在も上手く見せています。
(「ヒトラーの密命」という事になっているが、実際のところはヒムラーの独断によるものと読める)
むしろ、ヒトラーですらも、実は(無自覚の)傀儡な面もあったのでは?=ヒトラーは真に悪なのか?というニュアンスが見えたり。

“プロフェッショナルの男達” の物語、です。



Red13指定 必読図書!















 ブラム・ストーカー 『吸血鬼ドラキュラ』 (1897)


まー…「ドラキュラ」ほど有名なダークヒーローも居ますまい。
映画に舞台にゲームに小説。「吸血鬼」を題材にした作品は常にどこかに転がってます。









それらの“元祖”と言える本作品。

僕もご多分に漏れず、そうした世に溢れた“一人歩きしたドラキュラ像”しか知らないもので、
こりゃ本家本元がどういうモノか知っておきたいゾ、と思って手に取ってみた次第。
派生亜種はオリジナルあってこそ。古典には不動不滅の所以あり。


…ま、ストーリーについては、敢えて言いません(笑)。
気になる人は僕と同じ様に、実際に読んでみてください。
一般的な “ドラキュラのイメージ” は第1章の部分から大きくなったものですね。


ただ、この作品の一つの特徴として、
全編を通して “回顧録” の形をとって展開されるという所。
リアルタイムの情景を著者が第三者の視点から述べるのではなく、
登場人物が記した日記や手紙を、時系列順に並べてある、という形。

これがハラハラドキドキの心理効果に一役買ってる気がする。
一つの状況に対して、誰か一人の視点でしか語られないので、
全体像が見えない部分がある。
その “見えない” という事がホラー作品では重要な要素ではないのかな?なんて。

つまり、この事が一つのネタバレになるのですが。
作中では「ドラキュラ伯爵の思考」というのは一切明らかにならないのです。
他の登場人物達があれやこれや憶測しているだけで、ドラキュラ伯爵自身の言葉というのは驚く程少ない。


後の世に多大な影響を与えた功績という以外に、単純に小説としても傑作だと思います。
強いて言えば、終盤にもう一山欲しかったけど。
教養としてどうぞ(笑)。















 ロバート・A・ハインライン 『夏への扉』 (1957)


ロマンチックハインライン、です。

人語を解する猫、という猫版スヌーピーみたいなのが出てきます(笑)。
1957年時点での“未来”、1970年と2000年を描いた時間モノSFです。
作中の1970年は、我々が知ってる1970年とは違うので、そこを意識しておかないと
時々「ん??」と混乱しますw
21世紀の今我々が読むなら、2070年と2100年に置換して読んだら丁度良いかも。


主人公ダニエル・デイヴィスは、友人と小さな会社をやっていたが、秘書として雇い入れた女にハメられ会社を乗っ取られた上、無理矢理コールドスリープさせられ30年後 2000年の世界に放り出される。

最初はその秘書の女を探し出して復讐しようと考えていたが、
30年後の世界には、(彼にとってはついさっきである)30年前に彼が商品化しようと頭の中で考えていた商品が大普及していた。
純粋な好奇心からその商品の特許を調べてみると、自分と同じイニシャルの名で1970年に特許が取られている。
だが、自分はそんな特許を申請した覚えは無い。
何しろまだ頭の中にあるだけで設計図すら描いていない。
だが、目の前にあるその製品は自分の考えた物そのものだ。
ならば、その特許は誰がどうやって1970年に取ったのか?



…という、時間謎解きです。
最初はダメダメでマヌケな主人公が、最後にはスカッと爽快どんでん返しで栄光を掴むという、シンプルで気持ち良いお話。
特に女関係に関してはオトコノコなら一度は夢想するであろう展開かも?(笑)

ハインラインの初期の作品ですが、代表作に挙げる声も多い。
ページ数も少ないし、軽く読めます。





Posted at 2016/03/29 22:30:24 | コメント(2) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2016年02月25日 イイね!

2月の読書

2月の読書
“ドライバビリティ” という言葉があります。

“乗りやすさ” というような意味で使われますね。
「乗りやすさも性能である」「踏めないパワーは無い方がマシ」っていうアレですね。
「乗りにくいクルマと乗りこなしにくいクルマは全然違う」なんて、昔のエラい人も言っていました(笑)。



それと同じ事が、本にも言えると思います。
“読みやすさ” も著者の腕前のうち。
文章力そのものであったり、全体の構成力であったり。
ちょっと言い方を変えれば “読ませる” “引き込む” 力。
どれだけ労力を掛けて書き上げた大作でも、読みにくくて読んでもらえなければ意味がない。
伝えたい事があるなら、伝わりやすく表現する努力は必要ですね。
(文章に限らず、喋りでも同じ)


今回のラインナップでそれを強く思った…というか、
“絶対的な数字” でソレをハッキリと客観的に示せます。

50と3と4。










ということで、
前回から間が1ヶ月空いての、今年最初の読書感想文。















 ハーマン・メルヴィル 『白鯨』 (1851)


原題『MOBY-DICK』
某レジェンドポルシェの愛称の元ネタはコレです。


「海洋冒険小説」「神学的見地の哲学書」「巧みな集団心理表現」「捕鯨の文化的学術的資料」
…といった、様々な角度からの評価を受けている著名作?
なので、さぞ読み応えのある大作だと思って意気込んで読んでみました。

が。





まー、読みにくい読みにくい (´Д`)


全然オモロない (´Д`)






めちゃくちゃテンポ悪い。
全然読み進まない。
つーか、コレは “小説” じゃねーだろ…

「19世紀アメリカ捕鯨のドキュメント記録」(著者自身が捕鯨航海の経験がある)にちょっとだけストーリー性を後付けしただけの文献、だと思う。
全体の2/3くらいが捕鯨に関する解説。
残り1/3のストーリー部分も特にそんなに面白いとも思えず(爆)。
書き手がプロ(小説家)じゃないからねー…


物語のキーマンとなるのは『かつて白鯨に片足を奪われ、その復讐に燃える船長・エイハブ』


世界中の海で白鯨を探し、自身の復讐を遂げる為に航海に出る。
乗組員達も、船長のその目的は承知しているが、あくまで「無事に還る」のが大前提であり、
刺し違えてでも、という覚悟のエイハブに同調する者は居ない。

幾つかの批評を見ると、
エイハブ=正義 白鯨=悪 とする捉え方が当初は多かった様だが、
逆に エイハブ=悪 白鯨=正義 と見る解釈もある。

また、航海が進むにつれて、船員達がエイハブの “狂気” に煽動されていくのだが、
実はエイハブは “狂人を演じている” とも言え、本人はそれをちゃんと自覚している。
その航海の目的は “復讐を遂げる” 事ではなく、どちらかと言えば “死に場所を求めている” 。



作中では約3年の歳月が流れるのだが、それは全て一航海の間である。
現代のマグロ漁船もそうだが、遠洋漁業の常か、当時の捕鯨航海も年単位の長期航海らしい。

で。
先に触れた「延々と続くテンポの悪い説明文の数々」をチマチマと読み進める “苦行” が、
読者にとっての “3年の航海” なのかと
思える(笑)。

興味無いなりに一応全部読んだお陰で、
当時の「アメリカ捕鯨のなんたるか」の無駄知識は得られましたw

西洋の捕鯨は、ほぼ「鯨油」を絞る事のみを目的としている。
日本の捕鯨が、骨肉まで全て使い切るのに対し、
西洋の捕鯨は、油を採取した後の骸はそのまま海上で放棄してくる。
(この小説を読んだだけでの素人の認識なので、あくまで大別の傾向として、とお思いください)
(作中で狩っているマッコウクジラは特に鯨油に重きを置かれる種であり、食用にされるのはナガスクジラが主らしい)



物語終盤で “エイハブの狂気” に巻き込まれていく船員達の集団洗脳とも言える描写は、一つの見所ではあるけども、
かといって、物語全体を通して特に魅力的な部分があるわけでもなく(爆)、
最後は結局白鯨の返り討ちに遭い、船は沈没、エイハブ含む乗員ほぼ全て死亡、という
あっけないというか、ある意味期待通りの結末。

とはいえ、エイハブの発言が結構独特の節で面白い。
面白いというか、哲学的に読み取れる表現が多く、“神” に対して嘲笑的でもある。
(序盤では神話からの引用が非常に多い。エイハブという人名も神話からの捩り)


『エイハブは人類の住むこの地球の幾百万人の間に一人で立ち、神も人間も儂の隣人ではない』


内面は人間臭い孤独な老人が、狂気を演じて船員達を煽動し、同調を得、一方で(誠実な)反発も受け、
それでも自身の目的(死に場所)に向かって強硬に振る舞う事で、更に孤立していく様を客観的に捉えた独白である。


野生の防衛本能でエイハブの片足を奪った凶暴な白鯨が悪魔なのか?
銛を受けても衰えない不死身とも思える強さの老鯨は神の化身なのか?
白鯨を人類の敵と見なし、討伐に赴く船長が正義なのか?
個人の私闘に乗員を巻き込み死地へ盲進するエイハブは、誰にとっての悪魔なのか?



……そういう、多元解釈を投げかけるという意味では “深い” 作品かな?


まぁ、「読んでみて」とオススメはしませんがw それなりに読後感は色々と残ります。
知識の肥やしにはなると思います←

しかし上下巻2冊を読むのに50日を費やした。
敢えて言おう。めちゃくちゃ読みにくい!と。




ちなみに、作中に スターバック という人物が出て来ますが、
これが スタバ の元ネタだそうです。
でも、作中のスターバックはコーヒーのコの字も口にしませんwww















 イーデン・フィルポッツ 『誰がコマドリを殺したのか?』 (1924)

原題 米版『WHO KILLED COCK ROBIN?』 本国英版『WHO KILLED DIANA?』


コレは3日で読みましたw


眉目秀麗の若き開業医ノートン・ペラムは、踏み出しかけていた成功への道を外れる事を厭わず(叔父の定めた婚約を袖にして)、
運命的に出会った美女・ダイアナと、一気に燃え上がった恋の炎に身を任せて結婚する。
叔父は激怒し、将来継がせるつもりであった遺産相続の権利をノートンに与えないと宣告した。
だが、ノートンはダイアナには「ゆくゆくは叔父の遺産を手に入れられる」と嘘をついた。
この嘘が、ノートンの人生を恐怖の渦へ転落させていく事になる。

(「コマドリ」というのは「ダイアナ」の愛称だという設定だが、
おそらく米で出版する際に言葉遊びとして取り入れただけで、特に深い意味は無いと思われる)

3組の男女を中心に繰り広げられる昼ドラ的愛憎劇
執念深い女が本気でキレたらマジで怖い、というお話(笑)。
どっかの古典海洋小説とは正反対に、グイグイ引き込まれて一気に読んでしまいます。

“徹底した悪意”。
それも、衝動的な激情ではなく、静かに冷たく研ぎ澄まされた氷の刃のような、周到に計算された罠。
愛情の深さ故に、その方向が反転した時の恐ろしさ。
しかも、仕掛人が死んだ後に、生きている人間が死者の罠に追い詰められるという。
恥ずかしながら、ワタクシ自身もちょーっと似た様な事に身に覚えがあったものでw
読んでてめっっちゃ怖かった!!(爆)((((;=Д=))))

トリック自体は割と古典的ですが、
戦慄する “悪意” の描写が素晴らしい(爆)。
そして、全体に横たわる “イギリスの貴族社会の優雅な空気感” 。
文章もひじょーに読みやすく、物語やトリックの細部にも破綻が無いので、読後感も納得度高し。















 ディーン・R・クーンツ 『ライトニング』 (1988)


不幸な生い立ちの女流作家・ローラには幼い頃、
危機に陥るたびに、雷鳴と共に現れローラを救う謎の男「守護の使い」が居た。


ナニこのゾクゾクするベタな厨二病設定!!o(・∀・*)o www


んでまたこの「守護の使い」が金髪碧眼の完璧なハンサム星人なんですよw
ソイツが幼い美少女を守る為に現れて、暴漢を容赦無く撃ち殺す。
もうハァハァ(*´Д`)ですよw

「守護の使い」はローラの人生に何度か現れたが、
不思議な事に何年経っても歳をとっていない様に見え、いつも同じ服装だった。


…というワケでチョイバレすると、いわゆる “タイムトラベルもの” です。
「守護の使い」はローラの人生を監視していて、彼女に重大な危機が降り掛かるとその時点に介入して彼女を救う。

しかし、もう何年も「守護の使い」は現れず、ローラがその存在を忘れかけた頃、
またも「守護の使い」が現れ、彼女を交通事故から救う。
が、その直後、更に別の男が現れ、ローラと「守護の使い」を殺そうと襲撃してきた。
なぜ? ローラの人生にどんな秘密があるというのか。



タイムトラベルものの常として、その作者ごと(あるいは、その作品ごと)に “ルール 或いは 縛り” を設定している事が多いです。
(この読書ブログで過去に紹介したホーガンの2冊、『プロテウスオペレーション』『未来からのホットライン』は顕著な例ですね)
この『ライトニング』の設定もなかなか独特の面白いタイムトラベルルールが二つ設定されています。

その内の片方は、ここで言ってしまうと結構大きなネタバレになってしまうので伏せますが、
もう片方の「運命は執拗に構想の復元を企てる」というのは共感しました。

「運命」という言葉で表現するのはなんだか “思考を放棄” しているようで嫌ですが、
「その人の人生のおおよその出来事は予め決まっていて、介入して未来を変えようとしても結局は当初の方向へ向かおうとする」という解釈。
“○○の星の下に生まれた” とかいうのがソレですね。
でも別にコレって、悪い事だけじゃなくて良い事でもそうだよな、と
現実の身の回りの交友を見ても、この考え方で結構納得のいく部分があるな、と思いました。


ストーリーは、前半部は緻密に描かれているな、という感じでしたが、終盤は少し大味。
…おそらく前半部は著者自身の実体験も混ぜ込んであるんじゃないかな?と感じました。
そして後半部はSF要素が濃くなるのもあって、ちょっと説得力不足な場面もチラホラ、展開がやや強引な印象も(笑)。
でも、結果的にスカッとハッピーエンドなのでそれで良し(笑)。
4日で読了。



今まで読んだ “タイムトラベルもの” の作り込みの出来の良さ(説得力の高さ)だと、
『プロテウスオペレーション』が一番かなぁ。



Posted at 2016/02/27 00:38:00 | コメント(3) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2015年12月29日 イイね!

12月の読書

12月の読書月末恒例、読書感想文のお時間です。












 ショーン・フラナリー 『暗号名ゼブラをあばけ』 (1989)


原題『The ZEBRA Network』

“のっけからクライマックス” ばりの展開で、読み物としてとても面白く、
米ソ間の非常にデリケートで清濁混じり合った状況を、あくまでフィクションとして描いている。
今現在の国際情勢もそうなのだろうけども、
「表の外交交渉」と「裏のスパイ活動」は表裏一体であり、正に紙一重の領域である。
白とも黒とも言えない、グレーの濃度の差でしかない。
そのせいでか読了感はストーリーに対してちょっと釈然としないモヤモヤが残る。が、おそらく著者が意図した「テーマ」は正にそれなのだろう。


主人公、CIA工作員デイヴィッド・マカリスターは、任地のモスクワで情報源の元KGB職員から
「ワシントンに気をつけろ、モスクワに気をつけろ、ゼブラワン、ゼブラツー」という謎の言葉を聞かされた直後、
KGBに逮捕され、執拗な拷問を受け、そしてどういうわけかアメリカへ返されるも、飛行機を降りた瞬間から命を狙われ続ける。それも米ソ両方の勢力から。
…逮捕されるまでが本編始まって5頁ですw 始まった途端 “暴走超特急” な展開w
急展開な上に謎だらけすぎるので、自然と読み進むペースが早くなる。
小説を書き慣れた著者だなぁ、と思った(笑)。

誰が味方か敵かわからない疑心暗鬼、孤立無援スタンドアローン。
と思いきや、ここはある意味 “お約束” の、若い女性との一蓮托生という基本構図。
しかも主人公、強い(笑)。
『グレイマン』に通じる、アクション重視系スパイ小説でありながら、
非常に政治的な要素を描いているので頭の体操にもなる。










 ピエール・ルメートル 『その女アレックス』 (2011)


原題はそのまま『ALEX』。ジャンル的には何になるんだろう? ミステリー?犯罪?警察?
「話題作」「ランキング第一位」なんていう見出しで、関連作と一緒に本屋に積んであるかもしれません。
が、僕の目を引いたのは、「女」という言葉の後に、男性に多い「アレックス」という名前が続いているという所(笑)。

拉致監禁された女アレックスと、それを捜査する警部カミーユの、ダブル主人公といえる構成。
解説でも触れられてはいないけど、個人的にはこの小説のテーマは「逆転」である気がする。
その一要素(ではあるけども、メインではなくあくまでちょっとしたスパイス)として、
「女 アレックス」と「男 カミーユ」という、男性名女性名の逆転もあるんではないのかな?と。


ストーリーは綺麗に3部構成です。
その3部毎に、読者のアレックスへの印象が「逆転」する。登場人物の立場も逆転する。
いや。逆転というより、“ひっくり返される”。アレックスに。
たしかにこの構成力は「話題作」のレッテルも納得。(話の内容は、18禁まではいかなくても15禁くらいやけどw)

そして、作中で読者の目線で動いて、謎を少しずつ明らかにして行くのが
もう一人の主人公、カミーユ・ヴェルーヴェン警部である。
本作は(というか、たぶんこの著者は)登場人物のキャラクター作りが秀逸で、どんな人物なのかのイメージが浮かび易い。
ヴェルーヴェン警部は、身長145cmのハゲで短気な、しかし頭の切れる “小さいオッサン” である。
ほら、これだけで何か憎めない愛すべきキャラクターでしょ(笑)。

ストーリーに関してはちょっとでもネタバレすると面白くなくなるので触れません。
ただ、じっくり一言一句逃さずしっかり読む事をオススメします。
たぶん所々で「…?」と、なんとなく違和感がある表現が出てくる箇所があります。
それが第3部で回収されて行くときの「パズルのピースが嵌っていく感覚」が凄いです。
心理学的な知識が多少ある人なら、早い段階でなんとなくのストーリーの方向性は見えると思います。

確かに、一読をオススメする作品かな。
そして。
一度読んだだけでは解らない。






























 J・W・ゲーテ 『ファウスト』 (1808,1832)


言わずと知れた『ファウスト』であります…

一応、一度は読んでおこうかな…と思って買ったみたのが数年前(笑)。
今ようやく読んでみたのでした。

小説ではなく戯曲(劇脚本)なので、ほぼ全て人物の台詞で、場面描写が殆ど無く、
且つ、原文(ドイツ語)は “韻文” で書かれている為、意味の無い表現もあったりして、
それをそのまま訳してあったりもするので、イマイチ場面が把握出来なかったりして難しいです。
買ってはみたものの取っ掛かりが無かったのもそういう所ですね。(訳にもよるかもね)




様々な学を極めたが学問の限界を感じ、人生そのものに欠乏感を抱いているファウスト博士のもとに、
悪魔メフィストフェレスが現れ
「悪魔の力でこの世の欲望を全て叶えてやる代わりに、死後はその魂を貰う」という契約を持ちかけ、
「この世にもはや何も期待していない。それでも何か見せられるというなら見せてみろ」「死後の世界の事など興味ない」と、それを受けたファウスト。
“努力の知識人” ファウストと、それを欲望に堕落させようとするメフィスト。この勝負、どうなるのやら。



 ゲーテの時代は19世紀。
 キリスト教文化の中にありながら、“科学” の足音が聞こえてきている頃。
 死後の世界に興味を示さないという点など、ファウストの性格にもこの辺りが反映されています。
 ファウストもメフィストも、キリスト教的価値観に対して否定的立場のキャラクター。



かくして、
メフィスト=黒ドラえもんの力を利用してナンダカンダまんざらでもないファウスト。


たまたま街で見かけた若い娘グレートヒェンに一目惚れし、
黒ドラえもんにお願い(というか命令)してその娘に取り入るキッカケをセッティングさせて、まんまとお近づきになります。
その娘っこも、“ご身分の高そうなお方” に言い寄られてコロッといっちゃうんですな。
(メフィストはキッカケをセッティングしただけで、別に惚れグスリ的な事はしていない。
メフィストとしてはファウストが単純な肉欲に溺れてくれれば一番手っ取り早かった)
そしてさっさとしっかりちゃっかりご懐妊w
…まぁ、ファウストの “ご身分” はメフィスト抜きにして元々ご立派なのでそこは別にいいんですが、
この時




グレートヒェン 14歳
ファウスト 40〜50歳くらい



タハーーーーー(*ノ∀`)=з wwwwww





(でも、グレートヒェンと出会う直前に、
魔女の若返りの薬を飲まされている描写があるが、効いているのかはよくわからない)

…光源氏といい、このオッサンといい、(似た様な事例は山ほど出てきますが)
古今東西、男がロリコンなのは鉄板確定事項のようですねw
むしろ、近代社会の方が不健全なんじゃないかと思えてくるwww



はい、脱線しました。

しかし、ファウストはグレートヒェンLoveではあるのですが、根が学者であり、知識欲・探求欲旺盛。
そこにあの手この手を考えるメフィストが、あっちこっち連れ回して魔女のお祭りに行ったりして、
まぁ、けっこうグレートヒェンを放置してたようです。
しばらく逢っていない間にグレートヒェンは出産し、一人取り残されて途方に暮れ、生まれた子を水中に投げ、嬰児殺しの罪で処刑される直前。
そこにファウストが(また黒ドラえもんの力を借りて)牢獄に忍び込み助け出そうとするも、彼女はそれを拒み、召され、ファウストは後悔すると共にメフィストを恨む。
…という流れも大方はメフィストの確信犯であるのだろうが。

ココまでが第一部。



第二部は、19世紀版 『女神転生』とでもいうかw
グレートヒェンへの罪の意識でダメ人間になっているファウストを、どうにかそそのかして遊ばせようとするメフィスト。
神話の世界にトリップして、なんか色々ありつつ、神話の美女と結婚したり、
現実世界ではどこぞの国王に取り入って(黒ドラえもんパワーを駆使しつつ)領地を得たりし、
客観的に見ると富と名声を得て成功したように見える。



しかし、またしてもファウストの胸中にあるのは欠乏感だった。
ファウストは元より “行動” “努力” の人であり、いわば “過程” を重んじた。

対して悪魔メフィストは、どんな手段ででも “結果” が出さえすればいいという考え。
作中でのメフィストの「私が馬4頭(の馬車)を買ったら、その馬4頭の力は私の力と言えるでしょう?」という台詞が象徴的だ。

 (…300ps/50kgm、Max250km/hの赤ターボのポテンシャルが
 ワタクシ自身の能力だなどとノボセる事はありませんとも、ええww)


悪魔の力を借りて、言わば “裏技” で得た富と名声で心の充足を得られるワケも無く、
やはり、たゆまず努力し続けるその姿勢こそに意味があるのだ、と至ったファウストは
メフィストとの契約破棄の言葉を叫び、絶命する。

メフィストにすればしめしめ、という所だが…
一部始終は “神” が見ており、ファウストの気高い魂はメフィストの手に渡る前に、
神の遣いによって天上へ運ばれ、グレートヒェンと再会を果たす。



…というのがあらすじですね。

一回ザッと読んだだけなのでイマイチ読解出来てない部分が多いですが、
重要なテーマは「人間が人間らしくある事とは?」でしょう。

ちょー乱暴に纏めれば、
「楽して得たモノは所詮身にはならない」「努力するべし」「停滞とは死である」
という事ですね(笑)。
 (芦有にお集りの紳士達も皆様同じ事を仰いますね)
ゲーテさんはそれを伝えるのに一生を費やしたのです(爆)。




読んでる途中では、「へー、ふーん」程度に読み流していく、抑揚の無い物語に感じますが、
読み終わると、なんだか含蓄深いものがあります。






















 おまけ

 Kamelot 『EPICA』『BLACK HALO』


メロディックメタルバンド・Kamelot の、『ファウスト』をモチーフにしたコンセプトアルバム2作。
(パクリではない。オマージュだw)
主人公と、それを誘惑する悪魔メフィスト、悲劇のヒロイン、という主要素は同じですが、
結構大きく独自設定が入っているので、『ファウスト』を忠実になぞったというモノではありませんが、
だいたいの流れは似ていますし、所々で「ニヤッ」とするフレーズが出て来たり、
「あぁ、これは多分あのシーンのことだろうな」と思う曲があります。

Vo.のロイ・カーンの声がエロカッコ良くて(笑)元々好きなバンドだったんですが、
今回『ファウスト』を読んで更に味わいが増しました。
(ちなみに、現在はVo.交代してます)



Posted at 2015/12/30 00:11:49 | コメント(2) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記

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「この中の文字を使って、(主に関西地名の)架空ナンバーを作れないかゲーム。
取り敢えず、三田・泉佐野・和田山・宮津・大津・豊岡・大山崎、地名ちゃうけど阪神・阪奈…あと大山・津山。
尾道使えたら八尾も作れるけど、ご当地バージョンの元デカールが無いのよね…」
何シテル?   11/10 19:44
派手な赤い車なんで、どこ行ってもすぐバレますw 死ぬまでMT宣言。 _/_/自分で運転した事あるクルマ_/_/ スバル インプレッサ...

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