
今月はmaipeco教習のブログを捏ね回したり、他にもちょっと脳内妄想を捏ね回したりしてて、読む時間がペースダウン。
ゆーてたら今度はじょじょエボが復活w
3冊/月ペースは維持してますが、今月はかなりギリギリですた。( ̄д ̄;)
本気出して読んだら1冊2〜3日で読めるんやけどねぇ。
先月の3冊は全てミステリー系にしたので、
今月の3冊は趣向を変えて、現代〜近未来を舞台にしたサイエンス・フィクション系。
どれも結構現実離れした刺激的な内容で楽しめました。
というか、「おぉ、こんな切り口があるのか」と感心すること多々。
フィリップ・K・ディック 『宇宙の目』 (1957)
原題『Eye in the Sky』
ディックの本は
1年弱前に読んだ『高い城の男』以来2冊目。
パラレルワールド系を得意とする?ちょっと作風に癖のある作家ですね。
この『宇宙の目』もまさしく“The パラレルワールド”。
他人の深層心理を具現化した世界の中に放り込まれたら? というテーマ。
8人のグループがとある事故に巻き込まれ、その8人が「8人の内の誰か」の精神世界に順番に叩き込まれる
…という設定は実はどうでもよくて、
順番に体験していく “深層心理を反映した世界” の描写そのものにワクワクする作品。
遊園地のアトラクションを順番に回ってるような感覚。
宗教倒錯者、メルヘンお花畑脳、被害妄想&強迫神経症、共産主義、そんな価値観が支配する “世界” に放り込まれてゾクゾクヒヤヒヤする、非常にエンターテインメント性の高い小説です。
その “精神シャッフル” に陥る状況の説明としては結構無理があるけど、そんな所をどうこう言う作品ではない。
ジェットコースターお化け屋敷ツアーへGO♪(・∀・)
グレッグ・イーガン 『祈りの海』 (2000)
1989〜1998年の間に発表された11編の短編集。
比較的新しい世代のSF作家の中で、結構有名らしいのだが…
「テーマが科学的に濃過ぎて、しかもその辺の技術面の注釈・解説をろくにしない」という評価を目にしたので
面白そうだけど難し過ぎたら嫌だしなぁ…どんな感じの文章書く人なんやい?
…と思っての「短編集」です。
えー…
すげぇ刺激力のある独創性に富んだ作品群。
それぞれの短編で、“現実” とは明らかに違う “世界” をキッチリと作り込んである。
サイエンス的でありながら、生物学的な生々しさも多く、その発想はかなり奇想天外。
「脳の中に人格をコピーする宝石が埋め込まれ、20歳前後で生体脳からそのコピー脳へスイッチし、データ化されたパーソナルで半永久的に生きる人類」とか、
「“可愛い赤ん坊を愛する欲求” を満たす為だけの、“4歳までしか生きない愛玩用乳児” を男性が人工妊娠し帝王切開で出産する…」とか、
「人類の唯一人の母=イヴを遺伝子研究で明らかにし、人類全てが国家や人種を超えての一つの家族である、と証明しようとする研究に対し、人類は男性系であるとするアダム勢力とが対立し、結果的に再び世界的な争いに発展する。=結局、戦争の形が変わっただけ」とか。
読み手の内面の “あまり直視したくない領域” にザクっと切り込んでくる。
11編全てに共通して言えるテーマは「アイデンティティ」。
11もの様々な特殊な環境下で、11人の主人公それぞれが振り回された後、自問するのは「私とは何か」「これが私だ」という所に集約される。
逆に言えば、「私」を表現するのにコレだけ仕掛けに富んだバリエーション豊富な引き出しを見せるこのグレッグ・イーガンという作家。たしかに凄い。
頭の普段寝てる部分を多いに刺激されます。
グレッグ・ベア 『ブラッド・ミュージック』 (1985)
〜The King of SF〜 と言えるアーサー・クラークの『幼年期の終り』。
其れの再来という評価を得ている本作。
しかし、『幼年期』は、人類より高位に進化した存在が人類全体を(地球破滅の日までに)進化させようと計画的に管理しているのに対し、
本作『ブラッド・ミュージック』の “人類の変容” は、人類の意思とは無関係に変容“させられる”。
(といっても、そこに悪意は無い)
遺伝子工学の天才ウラムは、自分の白血球をベースに “知能を持つ細胞” を開発するが、会社から実験中止&破棄を命じられる。
彼はその細胞を自分に注射して研究室から持ち出そうとする。
最初は、長年悩んでいたアレルギーが全て無くなり、風邪もひかなくなったという “変化” に驚きつつも喜んでいたが、次第に身体の内外に異常な変化が現れる。
この “知能を持つ細胞” が、人類はおろか、地球上の自然環境全てを変容させる事になっていく。
…と、実は最後はもっと大きなスケールの話になるのだが…
『幼年期』とは全然違う話だけど、でもある所はとても似ていると感じた。
個体としての記憶の価値は薄れ、種としての記憶を蓄積・集約・共有する。
情報の奔流の中に全人類の意識が混ぜ合わされれば、
肉体など要らず、物理的世界も必要無く、時間の概念すら無意味になり…、という…
嗚呼、ニュータイプ!ww
Posted at 2016/06/28 10:30:04 | |
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