
1月。
走行会の準備であーだこーだ忙しくしておりますが、
意外と本は読めてたらしい(笑)。
基本、仕事中の空き時間に読んでますからねぇ。( ̄▽ ̄;)
面白い本はすぐ読んじゃうし。
んま、ソンナコンナデ。
S・M・ハルス 『ブラック・リバー』 (2015)
「わたしのためにフィドルを弾いて」
病で最期が迫った妻からの願いを、60歳の元刑務官ウェズは叶えられなかった。刑務所の暴動で負った凄惨な傷のせいで。
ウェズは妻の遺灰を携えて、かつて住んでいた刑務所の町 ブラックリバー を訪れる。
そこでは妻の連れ子との18年振りの再会と、暴動の首謀者の仮釈放を決める公聴会での証言がウェズを待つ。
「黒い河」というタイトルと、こんなイントロからは、なんかもうサスペンスしか想像できないんですが…実は違います(笑)。
淡々とした語り口で壮年男性の心理描写を丁寧に描く著者は、執筆当時まだ20代だったという。
模範的刑務官であり、かつて町一番の名フィドル(バイオリン)奏者だったウェズ。
その彼の手の指9本を砕いた、暴動の首謀者ウィリアムズ。
とある事件により、喧嘩別れと言うにはあまりに深い溝を持ったまま18年を過ごした義理の父子。
二人を繋ぐ細い糸だった、妻であり母であるクレアが亡くなった今、父子はお互いの距離をどう測るのか。
日常の風景の中で各登場人物の心理描写を淡々と描くという作風で、
正直、普段ワタクシが読み慣れている冒険アクション系から比べると、
退屈です。(;´∀`)
が、"過去" の謎解きがあるので先は結構気になります。
派手さは無いけど、丁寧な文体もあって、読んだ後にしんみりと「うん、良い話だったね」という印象。
…別に心に残る傑作ってわけでも無いけどね(笑)。
芸術的要素の描写も物語上で鍵になると共に、ワタクシ自身、昔少し齧っていた世界でもあるので
読んでてちょっとウズウズしました。また楽器やりたくなった。
ジャック・コグリン & ドナルド・デイヴィス 『不屈の弾道』 (2007)
原題『KILL ZONE』
グレイマンシリーズが一段落したので、似たようなシリーズを開拓しようと手を出したモノ。
著者は元海兵隊スナイパー。主人公カイル・スワンソンは正に著者自身の分身なのだろう。
同時期・同ジャンルのシリーズ物として、どうしてもグレイマンシリーズと比較してしまうのは仕方ないことかと思うが、
こちらの方がより "軍隊的" で "現場的" な空気。
今思えば、グレイマンはムービーヒーローのような面があり、やや突拍子も無い場面演出や良くも悪くも王道的なシナリオで、なんだかんだ言ってご都合主義な展開も目立つが、
こちらは本職の経験談が多く含まれているので、より泥臭い。
グレイマンに比べて、描写もより直接的な(要は、少しグロい)ものもあったりして、そこに好みは分かれるかもしれない。
が、
「スタンドアローンの超兵士によるワンマンアーミー大活躍」という所は全く同じで、ハラハラワクワクの醍醐味も安定品質。
ただ、グレイマンシリーズと大きく違う点が一つあり、本作では
架空の武器 が登場します。
照準・測距・風の影響の弾道補正まで、本来スナイパー自身が頭で考えて計算してやる作業を全て自動で行う試作スナイパーライフル 『エクスカリバー』。その実戦テストを行う主人公カイル。
元本職ならではの「こんなんあったら良いのにな」を詰め込んだのでしょう。
コート・ジェントリーとはまた違った魅力の愛すべき男 カイル・スワンソン。
続編も買いました。
ルシアン・ネイハム 『シャドー81』 (1975)
ハワイに向かう747旅客機 PGA81便がロサンゼルスを離陸した直後、ハイジャック通告を受けた。
最新鋭戦闘機が、いつでもジャンボ機を撃ち落とせる態勢で81便の真後ろに尾けたのだ。
犯人は約200名の人命と引き換えに、アメリカ政府に対して2000万ドル分の金塊を要求した。
もう、この説明文だけで超絶面白そうじゃないっすか。
ただのハイジャックものではなく、犯人は機内に居ないというのがポイント。
犯行に使用する戦闘機の調達手段も、これまた緻密に練られた途方も無い
ワクワクする計画。
そして、本作最大の美学とも思える点が、
誰も死なない。旅客機に傷がつく事も無い。
ハイジャックものというと、≒パニックものなイメージですが、
本作は全編通して次から次へとスリリングな緊張感が続くものの、クールであり、ワクワクもする。
ハイジャック犯と旅客機機長と主任管制官の3人が状況の中心になっていくわけですが、その3人共が頭の切れるプロフェッショナルとして冷静に対応していく様はどこか美しさすら感じる。
一方、出しゃばってくる
おバカなキャラもしっかりと登場し、ソイツはしっかりとしっぺ返しを喰らうという気持ちよさ。
終わってみれば、実は登場人物の誰も損はしていないのでは?と思ってしまうような、爽やかな読後感。
ひっっじょーにエンタテインメント性の高い、娯楽作品と言える一冊、傑作です。
Posted at 2017/01/31 21:12:03 | |
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