これはたった一人の男が、わずか半日程度の間にやらかした出来事の数々である。
※すいません、クルマと全く関係ない話です。その上、愚痴混じりの長い話なんで、その点ご承知の上お読みください。
■遅れてきた男
とある日曜の朝。
その日は午後から某家電量販店で買ったエアコン入替え工事の予定があったが、午前中は特に予定なし。珍しく送られてきたフェアの案内持ってディーラーでも行こうかと考えていたら電話が鳴って...
『本日、エアコンの取り付けを担当するものですがー』
「はぁ...」
『午後の予約だったんですが、午前の方が都合がいいんですがー』
「はぁ...」
(てか、そっちの都合かよ。まぁディーラーは午後行けばいいか)
『よろしいですか?』
「いいですよ」
『それでは9時半から10時の間にお伺いします』
で、10時まで待ったが玄関からの呼び出し音は鳴らず、代わりに鳴ったのは電話の呼び出し音。
『すいません、近所まで来てるんですが、道が混雑してるんで、あと20分ほどかかります』
「はぁ...」
(こいつ絶対嘘ついてる。このへん日曜は混まないし、
近所に来てたら20分もかかるはずない)
『すいませんが、もう少しお待ちください』
で、結局やって来たのは10時半過ぎ。
当日朝に予定変更させた上に、その時間さえ守れないとは。
この時点で嫌な予感はしていたのだが...
■がさつな男
一人で現れた男は「遅れてすみません」の一言もなく作業に入る。
玄関先に用意した来客用スリッパを無視して靴下裸足で室内に。
リビングを通り過ぎてベランダに持ってきたホース類と玄関で脱いだ革靴を置く。
革靴は見事に踵が踏みつぶされている。
ベランダには家主のサンダルが置いてあったが、その上に平気でホース類を置いてしまう。
その無神経っぷりというか、がさつさを見て悪い予感は更に募る...(こいつ、ヤバい)...
鉢植えなど邪魔になりそうなものは予め片づけておいたが、予感に従いリビングのラグマットやソファーなど汚されそうなものをできるだけ端に寄せておくことにしよう。
■話がかみ合わない男
量販店で「室内でのホース類のビス止めは不要」と頼んでおいたが、この男、壁に取り付ける室内機用の鉄板を持って『これ、ビス止めしないと設置できないんですが』と言い出す。(そんなの当り前だろうが)と思いつつ、「じゃなくてビス止め不要なのはホース類のこと」と説明。その他、店で頼んでおいたことと男が言う話がほとんどかみ合っていない。こりゃ男の作業内容を逐一監視しとく必要がありそう。
■臭う男
それにしてもこの男、体臭がひどい。推定年齢50代後半のいわゆる加齢臭。
作業っぷりを後ろで見ていると、後頭部に多数付着したフケが嫌でも目につく。
男が帰った後も臭いが残っている気がして、ずーと空気清浄機を回すことに。
■手伝わせる男
これまで何度かエアコンを購入しているが、設置担当は必ず二人のチームでやって来た。
今回はなぜかこの男一人。
二人でやればすぐの作業も一人だと時間がかかる上に、この男、なんだか段取りが悪い。
目についた作業から片づけてるんじゃないかと思うような効率の悪さ。
その上...
『旦那さん(私のこと)、すいませんが室外機が重いので運ぶの手伝ってください』
ときた。
(配送先に男手がなかったらどうするつもりだったのか)などと思いつつ玄関から廊下に出ようとしたら自分のサンダルがない。なんと家主のサンダルを断りもなく男が履いている。(当人の靴は室外作業用にベランダに置いたまま)。
しょうがないのでベランダ用のサンダルをさっきのホースの下から引っ張り出して、廊下に置いてあった室外機を室内に搬入。
すると今度は、
『すみません、古い室外機の搬出もお願いします』
だそうな。
てなわけで、ひと汗かいて手は泥だらけ。
更に、排水ホースがうまく壁を通せず難儀すると
『すいません。ここ押さえてもらえますか』
と、いいように使われる
(俺はお前の助手じゃない)と思いながらも、とにかく臭いがつらいので早く終わらせたくてせっせと手伝う。
■汚す男(その1)
洗面所で汚れた手を洗いながら、(そういえば一緒に古い室外機を運んだんだから、あの男だって手が汚れてるはず)と思い至り、作業現場に戻ると男は設置する新しい方の室内機を触っているところ。そこで気が付いたのか『洗面所貸してください』って遅いわ。
洗面所から戻った男は汚れてしまった室内機をタオルで拭くが...それって首から下げた汗拭きタオルじゃねーか。
この時点で、もう引き取ってもらおうかとも思ったが、新旧のエアコンやら配管やらがちらかって収拾がつかない状況。設置後に自分できれいすることにして、とにかく最後までやってもらうことに。
■信頼度ゼロの男
で、どうにかこうにか設置と配管が終了するも最後にまた問題が。
今回買ったエアコンは店の勧めもあり電圧200V規格のハイパワー。ってことで配電を200Vに切り替える必要がある。
店では切り替えは簡単そうな話だったが、男曰く、エアコン専用の回線だけではなく、全体のブレーカーを一旦落とす必要があるとのこと。落とす前に影響がないかあちこち確かめると、タイミグの悪いことにケーブルテレビでやっている映画をHDD録画中。放送終了まで待ってられないので、後日再放送を録画することにして、予約キャンセルして録画中断。
電源切替え作業に取り掛かった男だが、様子がなんかヘン。分電盤のある玄関が狭くて作業内容がよく見えないが、何度もブレーカーを上げ下げしている。その都度、室内の電話やインターフォンから起動音がして落ち着かない。どうやらうまく200Vに切り替わらないらしい。
「すいませんが、やり方わからないなら東京電力とかに確認してください。こんなの試行錯誤するもんじゃないでしょう」と言って、東電に電話させる。
電話でやり取りするがらちが明かず、東電のサービスに来てもらうことになったらしい。
ところが、待っている間に、テスター(電圧計)に問題があったことが判明。ほんとは200Vに切り替わっていたのに、テスターがそれを検出できなかった模様。
『このテスター買い替えたばかりなのに...』
(って買い換えたら試運転くらいしといてくれよ)
やって来た東電のサービスに測ってもらって、ちゃんと200V出てることを確認。
東電のサービス曰く『本来は料金取るんですけど今回は結構です。次回はいただきますから』とのこと。
なんだか、余計なことで無料サービスを使ってしまった気分。
もうとことん この男が信頼できないので、帰ろうとするサービスを呼び止めて、他の回線が100Vであることを確認してもらう。
「他の回線に200V流れたらヤバいっすよね」
と言うと、東電のサービスは『まー流されたら家電が壊れるだけですよ』とのこと。
で、この会話が後編の伏線に。
■汚す男(その2)
そんなこんなで200Vでのエアコンの試運転も終わり。
暫く運転して排水の様子を見ようとしてたら、それに気づいた男が給水ボトルを取り出す。
期待してなかったが、やっぱりこいつ、気づかなきゃ排水チェックしようとしなかったな。
で、室内機に流した水が排水ホースから出てくることを確認...なんだけど、これも後々問題に。
ひとまず設置完了ってことで、とっとと引き取ってもらう。
時計を見るともう15時過ぎ。9時半に待機態勢に入ってから6時間近く経過。
さすがにこれからディーラーに行く気力は残っていない。
リビングは加齢臭の残り香とともに、配管をやり直した際に剥ぎ取ったパテの残骸やらテープの切れ端が散乱。前日に掃除したばかりだったが、もう一回掃除機かけ直し。
やっと掃除が終わって、やれやれとトイレに入ると、貯水タンク上部の手洗いが泥まみれ。
そういえばあの男、手洗う前にトイレに入ったっけ。
更にチェックすると洗面所も泥だらけ。
(どうやったらこんなに汚せるんだ?)と、もー半泣きでトイレと洗面所の掃除。
てなわけで、文字通り嵐のように災厄を振りまきながら去って行った男。
しかし、これは更なる災厄への序章でしかなかった...
後編につづく