今年の東京モーターショーは皆様ご存知の通り、リバイバルネームの市販(予定)車種が3台あります。
1台目は何かと話題が尽きないトヨタの
86。
で、そのスバル版が
BRZ。

コンセプト「FT-86」をルーツとする、トヨタとしては久々の、そしてスバルとしては初の渾身のFRスポーツですが・・・
BRZはさておき、86のネーミングの元となったのは言うまでも無く”ハチロク”の名で多くの走り屋やモータースポーツファンに愛されたAE8#型カローラレビン/スプリンタートレノです。

コレがその86ですが(写真はレビン後期)、当然初めから”ハチロク”と呼ばれていたわけではなく、愛好家たちの通称(愛称)がジワジワと浸透して、いつしか誰とも無くそう呼ぶようになったのです。
後年「頭文字D」で再びハチロクブームが来た時にはレビン/トレノではなく、皆”ハチロク”と呼んでいたほどです。
ここで思うのが、愛称はメーカーが決めるものではなく、ファンが育て、受け継いでいくものであるということです。
四半世紀以上にわたって愛され続けているこの愛称を、メーカー自身が商標登録して世に送り出す・・・決して悪いこととは言いませんが、この行為は人によってはそれまでのハチロクユーザーはもとより、モータースポーツファンからも失笑を買うレベルだと思います。
「レビ/トレって世間では今でもハチロクって呼ばれているし、新しいネーミングを考えるよりも、時間もコストもかけずに浸透させられるからこれで行こう!」
・・・章男氏をはじめとした役員連中がそう考えたかどうかはわかりませんが、今回の決定は多くのハチロクファンを失望させたのではないかと。
ハチロクはハチロク・・ある意味「伝説の名車」という括りにして欲しかった。
せめてカローラ店向けで出すなら「セリカ」「レビン」、ネッツ店向けで出すなら「トレノ」として欲しかった。
それが自分の率直な意見です。
次にあげるのがホンダブースに展示される
N BOX。

ご覧の通り、タントやパレット/ルークス対抗馬という出で立ちで登場しましたが、「N」という名称は今後リリースするホンダ軽にも順次採用するそうです。
でも、何故「N」なのか?

そのルーツはホンダが本格的に量産した乗用車「N 360」にあるというのです。
「N360を製造していたころの初心に戻って、新しいクルマづくりを目指したい」・・・そういう願いが「N」という文字に込められているのだとか。
N BOXの開発には元ホンダF1第2期スタッフも参画して、高効率を追求したそうですが、そういう意味では初心にかえったクルマづくりを実践しているとは思います。
事実、製造場所を八千代工業から鈴鹿製作所に移すほどの力の入れようですから・・・
ただ、JCライフのときもそうですが「デザインセンスがねぇな・・・」と思えるほどマーケティング不足の感が否めません。
ハード面を徹底的にこだわったのにソフトが駄目で売れなかった日本車は今まで星の数ほどありましたが、N BOXも(これらほどではないにしろ)また、そのような境遇に陥りそうな要素を備えてしまっているところに残念さを感じます。
個人的には「ステップバン」のほうがしっくり来ると思うのですが、まぁそうは言っても出てしまったものはしょうがない・・・とはいえ、Nの精神を受け継ぐ新世代の軽自動車として出すのであれば、いい意味でのもっとNらしい個性が欲しいと思います。
ハードの造りこみのレベルが高いだけに尚更そう感じます・・・
そして、三菱ブースには来春発売予定とされる
ミラージュがあります。
このモデル、実は国内ではなくタイで生産され、日本に導入される(予定の)れっきとしたインポートカーなのですが、新興国向けに各所が簡素化されているかと思いきや、画像で見る限りでは意外と内装は安っぽさを感じさせない(少なくとも同じタイ生産のマーチよりは)ものだったりします。
車好きの方なら「あぁ~サイボーグとかスイフト(スズキじゃなくて)とか、あるいはXYVYX?アスティ・・・?」というイメージが強いかもしれませんが、元々は(当時の提携先だったクライスラー向けとともに)経済的な小型車として1977年の東モを経て、翌年から市販されたものでした。
今見てもイエローのボディカラーが鮮烈ですが、必要以上にコストをかけずに経済性とスポーティさをうまく両立させた結果、スマッシュヒットを飛ばす結果となったのは皆様ご承知の通り。
海外市場では「コルト」を名乗るなど、三菱のけん引役ともなりました。
でも、今度出るミラージュにそんな華やかさが備わっているとは思えません。
確かにリッターあたり30kmの低燃費や軽自動車キラーと成り得るプライスを引っさげての登場は近年のエコロジー志向に合致するものです。
でも、ミライースやアクアほどのインパクトがない。
増してや、他の同セグメントのライバルを大きく引き離すアイテム/魅力が無い。
どちらかというと「無味無臭」「平々凡々」という言葉が似合う仕上がりだと思います。
三菱の台所事情を考えると、これでも頑張っているほうだとは思いますが、スタイルに関してはお金を賭けずにどうにでもなるファクターなだけに、ここは「ミラージュ」を名乗る以上、思い切ったデザインで勝負して欲しかった・・・というのが個人的な感想です。
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Posted at
2011/12/06 00:20:54