ラリーサルディニアが終了しましたね。これで今シーズンのWRCは第8戦まで消化しました。
サルディニアの結果は優勝がヒュンダイのダニ・ソルド、2位がフォードのスニネン、3位にヒュンダイのミケルセンという結果でした。
天候も良くて大した荒れないイベントになるかと思っていると(雨の方がみている分には面白いのですが)、早々にオジェとラトバラがクラッシュと波乱のスタートとなります。
事前の予想通りダスティなコースで砂利搔きのため走行順が早いクルーには相当不利な展開です。主役の一人ヌービルもSS6で早くもドロップしてしまいます。
そんな中でも驚異的な走りを披露したのは、チリ、ポルトガルと連勝しているトヨタのタナクでした。
なんと走行順2番手という圧倒的に不利な状況ですが勝負どころとなるDAY2までを3位で終えるという圧巻の走り。走行順が9番手に改善されたDAY3には上位陣では1人だけミディアムコンパウンドを選択するという鮮やかなタイヤ戦略で他を圧倒。約25秒ものマージンを築いて最終日を迎えます。こんなギャンブルは『のって』ないと行けませんし、ましてや完全に成功させるとなると…まったくここまでは別格の走りでした。
しかし、このまま終わらないのがラリーです。最終日も余裕の走りで最終のパワーステージSS19(SASSRI-ARGENTIRA)を首位で迎えたタナクでしたがここでドラマが起こります。
ここまで完璧な組み立てでラリーを支配していた8号車になんとこの最終局面でマシントラブル。パワーステアリングを失ったタナクはスローペースでの走行に…観ていた人は悲鳴が上がったんじゃないでしょうか(^^;)結局タナクは5位まで順位を落としてフィニッシュ。
劇的な逆転でソルドの2013年ドイツ以来の優勝となりました。
個人的にダニ・ソルドの優勝は嬉しいですね。ターマックスペシャリストのイメージもある彼ですがこれで2勝目なんですね。もっと勝ってるイメージでしたが…というかもっと勝ててたかな。結構いろんなところを渡り歩いたベテランが輝くのを見るのはいいものですね。
そしてフォードのスンニネンとエバンスも安定した走りでしたね。
スンニネンはヤルモ・レーティネンとの初コンビでしたがレーティネンはさすがでしたね。まだトップの3人とやり合うには力が足りないかもしれませんがどんどん良くなっている印象です。後半戦に向けて他チームにとっても意外と大きな影響を及ぼしそうですね。
後半戦に向けてここまでのポイントをおさらいすると…
3位 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ) 143pt
コルスとアルゼンチンの2勝。フルターマックと典型的なグラベルロードでの勝利はさすがのオールラウンダーぶりです。しかし『むらっけ』は例年通りでしょうか(^^;
今年獲らなきゃいつ獲るの?という感じですけど去年は後半戦に失速してます。今年はどうなるか。この頃は精悍さがまして、ますますイケメン度が増してる気がする。全然関係ないか(笑)
2位 セバスチャン・オジェ(シトロエン) 146pt
モンテ、メキシコの2勝。ホントにしぶとい(笑)まだまだ不安定なC3でよくここまで(失礼)同僚のラッピとのポイント差を見てもついつい考えてしまいます。2勝をあげていることも素晴らしいですが今回のイタリアこそポイント圏外で終わりましたがそのイタリアとスウェーデンを除く全てのイベントでポディウムフィニッシュという安定感。
それに今シーズンは落としていてもおかしくない厳しい状況で何度もポイントを拾ってる。どこでどんなマシンをドライブしようが強いものは強い。
王者の風格ですね。個人的には今シーズンも獲りそうな予感がします…
1位 オットー・タナク(トヨタ) 150pt
スウェーデン、チリ、ポルトガルで3勝。去年から圧倒的な存在感がありましたが今シーズンはそれが顕著ですね。スノーだろうがターマックだろうがハイスピードのイベントだとかダスティだとか関係なし。ほとんどすべての主要クルーが以前のノートもない初めてのイベントになるチリでの完勝は印象的でした。
どこでどう走ろうが圧倒的に速い(笑)現役最速のドライバーだと個人的には思うのですが…アルゼンチンでのバッテリーのトラブルや今回のパワステのトラブル、勝ってもおかしくないものを既にここまで2つ3つ落としてる。今年のヤリスのイメージにも重なりますけど『速いけど脆い』。あとあと響かなきゃいいんですけど。
もちろん素人考えですけどね(^^;)
タナクはトヨタ加入の遥か以前から応援しているのでもちろん(笑)一押しです。
マニュファクチャーラー争いの方は実質的にはトヨタとヒュンダイの争いですがトップのヒュンダイ・シェル・モービスWRTが242pt、それを追うトヨタ・GAZOO・レーシングWRTが198ptでその差44ptとなっています。
勝利数でいえばヒュンダイもトヨタも共に3勝ですが、かなりの差がついていますね。今のところはヒュンダイのローテーション制の方が機能しているというところでしょうか。
今回のソルドの優勝も、もちろんですがチリでのローブの3位も大きかったですね。それにしても豪華なナインナップだなぁ。ヌービルが振るわない時もきちんとフォローできてますからね。
ここにきて、ミケルセンの調子が上向きなのも明るい材料でしょう。やっとフォルクスワーゲン時代の輝きが戻ってきました。
しかしトヨタとヒュンダイの差はローテーション云々という以前にチームとしてのトヨタの不安定さにつきますね。トラブル自体はヒュンダイにも結構起こってますがトヨタのはタチが悪い(^^;)今シーズンのトヨタは信頼性の面では疑問符が…
今年加入したミークは場所によっては光る走りを見せていますが、大事な場面で集中力を欠く場面も多くリザルトは振るいません。後半戦は期待できると思いますけど、どちらにしても、もう少し時間が必要なのかもしれませんね。
そして深刻なのが頼みの綱?のラトバラです。ここまでの8戦中、ポイント圏外がなんと4戦‼ポディウムフィニッシュ無しのまさかの超低空飛行です(^^;)。すべてが彼のミスではないにしても、ここまでは、まったく歯車がかみ合っていないようなシーズンになっています。
とりあえずはワールドチャンピオンなんて言いません‼普通に走って無事に帰ってきてほしい…そんな思いでここ数戦は応援しています(泣)
タナク一人の奮戦で踏みとどまっているような現状のトヨタですがマニュファクチャラーの防衛にはラトバラの復調は不可欠。もう祈るしかありません(笑)
WRC後半戦は一月半の休みを挟んで8月のラリーフィンランドから再開です。フィンランドはトヨタにとってホーム戦ともいえるイベントです。去年も後半戦から調子を一気に上げてマニュファクチャラー獲得まで突っ走ったトヨタ。今年も得意のフィンランドで反撃ののろしが上がるのか?またがっかりが待っているのか(笑)
ドライバーズもマニュファクチャラーも後半戦は見どころが多そうです(^o^)