秋の深まりもそこそこに、師走にかけて一気に冬本番の装いとなってきました。1年というのは年を重ねる毎に加速度を増して過ぎ去っていくように感じますが、そんなあっという間の2017年も南は九州、北は北海道まで何だかんだ言って走っており、オープンカーとオートバイの2台体制になったにも関わらず走行距離は例年通りの状況。週末の逃避行からグランド・ツーリングまで、6つのタイヤと10個のシリンダーを駆使し、ドライビング・プレジャーを求めて津々浦々を駆け回りました。
傍から見れば、馬鹿の1つ覚えのようにハイオクガソリンと高速料金に資産を投じているわけですが、酉から戌へと変わる大晦日に、そんな1年で印象に残ったドライバーズロードを思い返してみることにしました。例によってかなり偏りのある選択になっておりますので、予めご容赦頂ければと思います(伏)。
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生月農免農道(生月サンセットウェイ)
ゴールデンウィークの
九州GTで訪れた、長崎県平戸島の先にある約16.5㎢の生月島。その島の西側には、世界の果てを感じさせる断崖絶壁に張り巡らされた一本の道がありました。そそり立つ荒々しい岩肌と広大な東シナ海、その間でのんびりと佇む牛達が組み合わさったシーサイドラインは、得も言われぬ絶巧のスラローム形状を成しており、そのシークエンスはまさに桃源郷です。V4エンジンの鼓動とテールエンドから響き渡るエキゾーストノートが第六感までをも刺激し、10km程のウエストエンド・ロードを往復で堪能しました。ごちそうさまです。
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ファームロードわいた・スカイファームロードひた
こちらも
九州GTで初めて走った道。通常の観光マップではおそらく記載されないような広域農道ですが、こと走りに関しては、これまでスープラで九州を走った時を含めても、この地で最も印象に残ったワインディングロードの1つでした。熊本・阿蘇から大分方面へ抜ける国道212号線も良い道ですが、この道を走らずに通過してしまうには余りにももったいないと思わせてくれます。
取り締まり注意の看板が随所に見られるので、地元の走り屋のメッカと推察されますが、そうなるのもやむを得ないと感じるほど、ロードレイアウト・路面状況・景観美はまさに一級品。次々と現れるコーナーを重力と遠心力を感じながら駆け抜ければ、もれなくドライビング・プレジャー炸裂といったところでしょう。こういった玄人好みの道を抜け目なくリコメンドしてくるあたり、さすがツーリングマップルです。
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県道11号線(由布岳~やまなみハイウェイ)
一方、こちらは九州に足を運べば誰もが走る
県道11号線由布岳~やまなみハイウェイ。その素晴らしさは私如きが語るるに及ばずですが、久し振りの阿蘇はやはりずば抜けて印象的でした。
足の竦むような高低差のある威風堂々の由布岳や外輪山の淵に立つ大観峰からの景色、九重連山を借景とした目を見張るシークエンス、縦横無尽に張り巡らされた歓天喜地のワインディング・・・挙げたらキリがない程のマテリアルがこのエリアに凝縮されているのですから、楽しくない訳がありません。5月の阿蘇は目にも眩しい新緑に覆われており、鮮やかな初夏の色彩を放つ景観美は、まるで〇〇のよう~というものではなく、唯一無二の存在だと思います。カルデラの中に入ればまた違った見え方になるので、1日ずっと居ても飽きることはないでしょう。やはり、この道を走らずして九州を後にすることは出来ませんね。
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国道152号線天竜川北上
東京からそれほど離れていない静岡県ですが、富士市の先は意外と足を運ぶことが少なく疎遠になりがちです。新調したテントの初張りも兼ねて
10月に奥静岡に足を運んだのですが、その際に走った国道152号線はなかなかのエモーショナルな道でした。これまで走る機会が少なかったのを反省した次第です。
天竜川とクロスラインを描く国道152号線は、極めて緩やかな曲線で構成されるリバーサイドロードであり、諏訪湖から流れ出す水脈の両サイドには険しい崖が迫るジオグラフィックな光景が続きます。交通量は比較的多いもののペースは非常に速く、紫幹翠葉な雰囲気に包まれたローカルな道をのんびりと流すだけで気分上々。ゆる~く流すのが好きな方にはもってこいと言えるのではないでしょうか。おそらく季節が変わればまた違った顔を見せると思うので、来年も訪れてみたいところです。
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国道339号線龍泊ライン
津軽半島最北端の龍飛崎へのアプローチとなる日本海に面する国道339号線。
9月の東北GTで訪れましたが、ここは言わずと知れたドライバーズロードであり、通称・龍泊ラインの名の通り、断崖絶壁に這う龍の背と見間違う道路形状は、まるでオーストラリアのグレートオーシャンロードのようです。頭上を遮っていたメタルルーフを開け、タコメーターの針を振り上げながら起伏に富んだドラマチックなシークエンスへと突入すれば、ステアリングを握るドライバーは魔法にかけられたかのように夢心地の時間を過ごすことが出来るでしょう。龍飛崎に近づく後半は強烈な勾配が付加された羊腸路に変貌するので、一度で二度美味しいコースでもあります。
残念ながらこれまで晴天に恵まれた事はなく、今回も上空には鼠色の雲がどっしりと構えていましたが、断崖迫る荒々しい海岸線との組み合わせはかえって最果て感を醸し出しており、ワインディング好きの貴君には是非この荘厳華麗なスネークラインを駆け抜けてもらいたいものです。
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寒風山道路
秋田県と言えば鳥海山・なまはげ・いぶりがっこ(←好きなんです)ですが、
県道55号線寒風山道路も外せないコースの1つです。広大な干拓地である八郎潟の先にある男鹿半島の中央にある標高355mの寒風山へとアプローチする道ですが、稜線に出ると突如広がる芝生に敷かれた1本の曲線は実に壮観。標高はさして高くないのですが、周辺がほぼ全て真っ平なので、これでもか!という程の大パノラマを堪能することが出来ます。
アメリカのグランドキャニオン、ノルウェーのフィヨルドと並ぶ世界三景と称されており、やや持ち上げ過ぎな感は否めませんが、斜陽を浴びながら芝生に囲まれた珠玉のワインディングを駆け抜ければ、感嘆の声とともにもれなくドライビング・プレジャーが炸裂です。9月にもなると頂上は肌寒く感じましたが、稜線へと消えていく夕日が八郎潟を照らしており、隠着沈黙の時間が流れる美しいサンセットタイムを存分に楽しませて頂きました。いやはや、東北にお住まいの方が羨ましい限りです。
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道道889号線宗谷丘陵
日本最北端の宗谷岬にほど近い道道889号線は道内屈指のGTコース。北海道に来たら必ず走る道の1つでありますが、
今年は晴天に恵まれ共に走る同志の存在も印象を色濃く残すエッセンスとなりました。時計の針がゆっくりと進むかのように巨大な風力発電機が旋回する中、グリーン・カーペットを成す丘陵地に敷かれた道は美しいシルエットを放っており、股下で躍動するV型4気筒エンジンのビートに身を任せ幾多ものコーナーを駆け抜ければ、そこはもう桃源郷。その快感たるや筆舌に尽くしがたいライディング・プレジャーであり、北海道へ足を運んだ際は是非、この唯一無二のエモーショナル・ランを味わってもらいたいものです。
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林道美ヶ原線「美ヶ原スカイライン」
元有料道路のビーナスラインで有名な霧ヶ峰・美ヶ原エリアですが、林道美ヶ原線「美ヶ原スカイライン」は
久し振りに走りました。
松本市側からアクセスすると、序盤は目の覚めるような快走路が延々と続き、強烈な勾配と共にぐいぐいと標高を稼いでいきます。路面は多少荒れている箇所もあり注意が必要ですが、常時2車線幅が確保されているので余裕を持って走る事が可能。県道62号線に合流すると一部幅員は狭くなるものの短区間であり、やがて稜線へ顔を出すとその名に恥じぬ美しい丘陵地が視界に飛び込んできます。
標高2,013mの王ヶ頭には電波塔が設置されており、そこへ誘うスラロームは思わずスロットルを緩めてしまう程の情景。終点の美ヶ原自然保護センターまでは僅かな距離ではありますが、ここまでのアプローチを含めて非常に印象深いドライバーズロードでした。しかも真夏に訪れたのにヒルトップは清々しい涼風に包まれているのですから、避暑地としてもおすすめできるかと思います。
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昇仙峡ライン
甲府市から程近い所に位置する昇仙峡へとアプローチする
県道104号線・7号線。THE 観光地として名を馳せる有数の観光地ゆえ、普段はなかなか足を運ぶことはありませんが、交通量の少ない時期・時間帯を選べば、ドライビングダイナミクス全開の素晴らしいワインディングに変貌しているのでした。
ライトターン&ショートストレートのクイックなシークエンスから、九十九折の豪快なヘアピンカーブまで、乗り手を飽きさせないバリエーション豊富な形状は、イチ観光道路としておくには勿体ないほど。スポーツモードにセットされたN52B25A型直列6気筒自然吸気エンジンを無駄に高回転まで回し、エキゾーストノートとのハーモニーをBGMにしながら一気呵成に走り切りました。湿り気のある空気や時折差し込む木漏れ陽、頭上から聞こえる鳥の囀り・・・こうした林間路をオープンで走る醍醐味は一度味わってしまうと中々やめられないものです。
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県道15号線・58号線粕尾峠
足尾から鹿沼へと抜けるいわゆる
峠道。鹿沼側からのアプローチとなる県道58号線は緩急のあるカーブで構成されるウィンディロードであり、良好な路面コンディションと交通量ゼロの環境で構成されたローカルラインはそれだけで走る価値があると言えるでしょう。峠付近からの県道15号線はガラッと様相が変わり、不規則に変化する道幅とガレた路面には注意が必要です。それでも、紅葉シーズンを除けばこんな道を好き好んで走る人は稀であり、交通量は極めて僅少。クイックな切り返しが連続する静厳な林間路をストレート・シックスのサウンドで切り裂きながら、2速メインで豪快に駆け抜けました。途中には広々とした牧場あり、温泉あり、お蕎麦屋さんありとなっており、ツーリング・エッセンスは思いのほか満載です。
思い返してみると、1年で色々な道を走ったのだなと思うと同時に、まだまだ未開のドライバーズロードへの飽くなき探求心が少しだけ大きくなるというもの。来年もまた性懲りもせず今年と同じような事をしているかと思いますが、何卒宜しくお願い致します(伏)。
皆様、良いお年を。