
2013年に試乗して記憶に残る車を振り返る、今日はキャデラック・ATS ラグジュアリーです。
3月に試乗しました。
撮った写真データを無くしたので、キャデラックのHPから借りました。
ATSは、強敵過ぎるBMW3シリーズを打ち破るためにニュルブルクリンクで徹底的に走り込みをしたと言う、キャデラックが満を持して放ったFRセダンです。
全長4680mm×全幅1805mm×全高1415mm、車重1580kgは、まさに3シリーズとガチンコ。
注目すべきはエンジンスペックで、2.0L直4ターボが276ps/35.9kgmを発揮します。
これは、BMW328iの245ps/35.7kgmやアウディA4クワトロの211ps/35.7kgmと比べて、特に最大出力の点で大きく勝っていることになります。
0-100km/h加速は中々優秀な6.1秒。
その分燃費は犠牲になったのか、328iが15.2km/L、A4が13.6km/Lに対して、12.2km/L。
クワトロなので重いA4にも負けています。
ミッションがトルコン式の6速ATなのも燃費が伸び悩んだ原因でしょう。
ベースグレードのラグジュアリーが456万円、装備充実のパフォーマンス(旧プレミアム)が486万円。
パフォーマンスになると、マグネライド・LSD・パドルシフト・18インチホイール(ラグジュアリーは17インチ)などが標準となりますので、価格差30万円の価値は充分あると思います。
一番大きな問題は左ハンドルしか導入されないことです。
そのキャデラックの決定に対し、ヤナセの社長が怒ったと言うのも分かります。
展示車は、12万円以上もする特別外装色のダイヤモンドブラックでした。
これを選ぶと赤革シートが付いてきます。
エロくて堪らない、外装黒・内装赤の出来上がりです。
これはカッコ良い。
フロントデザインは分厚くなったGTRのようですが、中々スポーティーな印象を受けます。
リアライトは独特で、口が悪い人は「昔のクラウン・マジェスタみたい」と言うでしょう。
マフラーが微妙に中央に寄っていて、何だかオカシナ感じです。
MiniクーパーSやゴルフRのように完全に中央に寄せるか、普通に両端にすれば良いのに。
内装の質感はとても素晴らしい。
クライスラー300の時も思いましたが、近頃のアメ車はとても近未来的な内装をしており、視認性の高い液晶パネルをうまく組み合わせています。
ピアノブラックとシルバーパネルの組み合わせが素敵です。
メーター類も見やすく、実用性も犠牲になっていません。
しかし、センターコンソールの8インチのディスプレイはナビではないのです。
本国ではナビなのですが、日本では車両状況のインフォメーションやバックカメラの映像を映し出す単なるモニターなのです。
ナビはその上の部分に後付けで取り付けることとなります。
かなり邪魔な位置にあります。
左ハンドルの件もそうですが、もう少し本気で日本で売る姿勢を見せて欲しい。
トランクスペースも3シリーズに比べて劣っています。
収納容量はともかく、天地が低いため、実用性に欠けそうです。
後部座席も現行3シリーズよりも明らかに狭い。
う~ん、細かい煮詰めが足りないですね。
実際に走らせてみますと、座り心地の良い革シートが適度にタイトで、スポーツマインドを駆り立てます。
しかし、足回りはそれなりに締め付けてありますが、微振動が結構キャビンに伝わってしまいます。
キャデラックらしからぬと言うべきか…。
ステアリングもかなり軽く、インフォメーションも稀薄です。
272psあるとは思えないフワッとした加速。
殆どエンジン音が入って来ない防音性の高い車内。
6速ATはとてもスムースで、繋ぎを全く感じさせません。
この辺りは高級車ブランドを感じさせます。
折角のスポーツセダンなのだから、ベースグレードでもパドルシフトが欲しいところですが。
生粋のスポーツカーではなくて、それなりに走らせて楽しく尚且つ実用性のある車を求めている人向けですね。
つまり、キャデラックが作ったクラウン・アスリートです。
若い人の心も掴もうとスポーツ要素を入れてはみたけれど、どうも今一つあか抜けなく、モッサリとした印象が拭えないところも似ています。
見た目もCTSに似ていますし、よく車のことを知らない人はキャデラックが400万円台で買えるとは思わないでしょう。
見栄とちょっとしたスポーツマインドを満たしたい特に中高年にとって、ATSはまさにドンピシャなのではないでしょうか。
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試乗記 | クルマ
Posted at
2013/12/10 19:58:17