
2013年に試乗して記憶に残る車を振り返る、今日はアバルト・695エディツィオーネ・マセラティです。
8月に試乗しました。
695マセラティは、フィアット500をアバルトチューンしたアバルト595を、更にマセラティとのコラボでチューンし、日本限定100台・世界限定499台の限定モデルです。
全長3655mm×全幅1625mm×全高1505mmで、車重は1160kg。
1.4L直4ターボが180ps/25.5kgmを発揮し、5速のシングルクラッチの2ペダルMTが組み合わさります。
左ハンドルのみの設定。
価格は、同じようにフェラーリとコラボしたアバルト695トリビュート・フェラーリよりも100万円以上も安い499万円。
しかもこちらは屋根が開きますので、何となくお買い得な感じさえします。
実車は、専用のパープルの外装色を纏い、高そうな皮シートが標準です。
ホイールもマセラティのエンブレムのトライデントをモチーフとした専用の17インチです。
ベースのフィアット500とは比べ物にならない質感の高さですが、車両価格500万円にはとても見えません。
しかもシートは手動で、ステアリングにテレスコも付いていない。
勿論、ナビもETCもオプションです。
いくら趣味性の高いイタ車とは言え、もうちょっと装備を充実させて欲しい。
私は今年のフェラーリレーシングデイズの時に、アバルト595コンペティツォーネの試乗をしました。
その時に感じたことが、とにかく足回りが固いことです。
車の素性云々の前に、あまりの乗り心地の悪さに辟易したのです。
695マセラティも基本的に同じ足回りとのことで、乗る前はさぞかし固いと想像していました。
しかし、シートが良いからか、595コンペティツォーネとは比較にならないほど乗り心地が改善されています。
決してソフトとは言えませんが、これなら実用使いに何とか耐えられそうです。
エンジンをかけた直後は、1.4Lとは思えないほど野太い音が響きます。
営業の人が「全開で踏んで下さい」と言うので、5000回転以上まで回したところ、かなりの加速感と共に澄んだ高い音に包まれます。
中々官能的なエンジンですね。
シングルクラッチも段付き感がさほど無く、ATモードであまり意識せずに走らせてもそんなに不快感を感じずに済みそうです。
車重が軽く小さい車なので、とてもキビキビと走らせることが出来ます。
ステアリングや足下からの情報量も豊富で、人馬一体感を味わえるでしょう。
難点はストップ時からの加速のもたつきです。
高回転型にチューンしたエンジンのため下がスカスカで、ホンダS2000を彷彿とさせます。
信号グランプリではうまく回転数を合わせないと軽ターボにも置いて行かれるのでは。
この車は意識して2500回転以上を維持するようにしなければならないのです。
また、オープンとは言ってもキャンバストップで、サイドのフレームは残ってしまい、解放感には欠けます。
大きなサンルーフ程度の位置付けです。
そのため60km/h位までであれば走行中に開け閉めできるのは良いことですが。
大きさや見た目で街乗り用の車として買うと後悔しかねません。
そのような用途で乗り出しで550万円も出せる人はそうはいないでしょうが。
うまく操るにはそれなりのコツが要りますし、結構気を張ります。
慣れて来ると、鋭い加速が病みつきになる魅力を持っています。
アストンマーチン・シグネットと同じく、マセラティなどを乗り慣れている人が足車に買う車と思われます。
ところで、完売した695フェラーリの中古車が売っていましたが、新車価格とさほど変りませんでした(試乗当時)。
695マセラティにもそれほどの神通力があると良いのですが。
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試乗記 | クルマ
Posted at
2013/12/17 22:27:29